三等級の娘


 もどかしいデートもそろそろ終わりをむかえる頃。
 考えらなかったようなキラキラな時間が終わって
 魔法が解けてしまうのではないかと不安に襲われる。

あっという間に駅のホームに着く。
「またどこか行こうよ」
を言いそびれた美嘉は、何か言いたそうにしたが
裕司が手を振ってしまっているのを見てそれを諦めた。
無情に去っていく後ろ姿までもが端正で、
それが美嘉をいっそう不安にさせる。


美嘉には気になることがあった。
今日一日中、裕司が話しかけ、美嘉がそれに対し応えたり笑いかけるような展開が増え、裕司は少々気まずそうにしていたのだ。
美嘉には、自分から話題を振ったり、笑わせようという考えがなかった。
なぜなら、家を出る前に観た〝モテテク〟や少女漫画には、女の子側から積極的にいく描写などなかったから。
気まずさを安心感と捉え、心地よく感じてしまっていたから。

裕司の心境に気づけなかった美嘉でさえ、
…もしかしたら、二度とこうして会えないかもしれない
なんとなくそう感じていた。

この時はまだ、この不安がどんな意味をもつのか
理解できていなかった。