三等級の娘

拙いながらも話をしようとする裕司と、それをどこか
心地よく感じている美嘉。
二人はとても順調そうに見えた。


桜の季節とはいえ夜になると少し肌寒く、
河川敷はゆるやかな風がとめどなく吹いていた。
ブラウス一枚で来てしまった美嘉に対し、着込んできた裕司はみるからに快適そうで体をごろんと伸ばしていた。
「寒すぎない、ここ」
美嘉が震えて縮こまっていると、これ着ていいよ、
と慣れた手つきで上着を差し出す祐司。
あらためて美嘉は男の人の頼もしさや暖かさを感じる。

この人となら。ずっと一緒にいたいと思える。
こんなに安心できる人は、裕司しかいない。
本気でそう思ったのだ。

心配なので美嘉が帰る地下鉄まで送ると言い出した。
これもまた今までにない出来事だったため、猛烈な驚きと感動に見舞われる。
地下鉄までの大通りを、美嘉はなるべくゆっくり歩く。
この時間が1分でも長く続くように。

今日を覚えておこう。
美嘉は大通りの風景を目に焼き付けるように何度も目を瞬かせた。