スレチガイレッドスレッド

別れたはずなのに、日常は驚くほど変わらなかった。
「おはよ」
「おはよ」
朝の教室で交わす挨拶は、付き合っていた頃と同じだった。声の高さも、距離も、ほとんど変わらない。それが、ゆうごには余計につらかった。
「最近さ」
昼休み、りんたろうが弁当を開きながら言った。
「ゆきのと、普通すぎじゃね?」
「普通でいいだろ」
「……普通ってさ、一番きついやつだと思うけど」
ゆうごは箸を止めた。
放課後、廊下ですれ違う。
「今日、部活?」
「うん」
「そっか」
それだけ。
話せるのに、話さない。
聞けるのに、聞かない。
ゆきのもまた、同じだった。
友達に囲まれて笑いながら、心はいつも少し遅れてついてくる。
「ねえ、最近どう?」
「どうって?」
「元気?」
「元気だよ」
嘘ではない。でも、本当でもなかった。