スレチガイレッドスレッド

朝の体育館は、まだ少し寒い。
バスケ部の朝練。
ボールの音と、シューズが床を擦る音だけが響いている。
ゆうごは、シュートを打ちながら、
昨日のことを考えないようにしていた。
——明日も、ここにいる。
自分で言った言葉なのに、
胸の奥で何度も反響する。
「ゆうご、今日調子悪くね?」
りんたろうが、軽い口調で声をかけてきた。
「そう?」
シュートは入る。
でも、手応えがない。
「無理すんな」
それだけ言って、
りんたろうはそれ以上踏み込まなかった。
それが、ありがたかった。
授業中。
黒板の文字を追っているはずなのに、
視界の端に、ゆきのが入るたび、
心臓が少しだけ速くなる。
笑っている。
友達に囲まれて。
——変わってない。
でも、
自分だけが、
知ってしまった。
昼休み。
ゆうごは、購買に向かうふりをして、
いつもの場所を避けた。
近づきたい。