スレチガイレッドスレッド

代わりに、立ち上がる。
「行け」
短い言葉。
でも、逃げ道はなかった。
「今」
背中に、手を置く。
強くない。
でも、離れない。
「今年知り合った俺が言うんだからさ」
少しだけ、笑った。
「間違ってても、許されるだろ」
ゆうごは、立ち上がった。
足が、震えている。
「……怖い」
正直な声。
「知ってる」
即答。
「だから、行け」
背中を押した。
はっきりと。
初めて。
ゆうごは走り出す。
体育館を出て、
廊下を抜けて、
夕焼けの校舎を駆ける。
りんたろうは、その背中を見送った。
今年知り合ったばかりの友達。
それでも。
——ここまで来たなら、もう大丈夫だ。
ベンチに座り直し、
一人で息を吐く。
「……行けよ、ゆうご」
小さな声は、
誰にも聞こえなかった。