スレチガイレッドスレッド

夕方の校舎は、昼とは別の顔をしていた。
チャイムが鳴り終わり、部活の声も遠くなって、廊下には靴音だけが残る。
ゆりかは、ゆきのの後ろ姿を見つけていた。
一人。
友達はいない。
——今だ。
階段の踊り場。
誰も通らない、使われなくなった掲示板の前。
「ゆきの」
名前を呼ぶ声は、驚くほど落ち着いていた。
ゆきのが振り向く。
「あ……なに?」
警戒しているのが、すぐ分かった。
「別に。ちょっと話したいだけ」
逃げ道を塞ぐほど近づかない。
でも、距離は保つ。
それが、ゆりかのやり方だった。
「最近さ」
ゆりかは、窓の外に視線を向ける。
「ゆうご、元気ないよね」
ゆきのの肩が、ほんの少しだけ揺れた。
「……そう?」
知らないふり。
でも、声が小さい。
「6月20日」
その数字を出した瞬間、
空気が凍った。