スレチガイレッドスレッド

ゆきのは小さく手を振って、足早に去っていく。
背中が、遠ざかる。
追いかければ、まだ間に合う。
でも、足は動かなかった。
——逃げてる。
そう分かっていても、止められなかった。
その夜。
メッセージアプリを開いて、閉じてを繰り返す。
「話したい」
それだけ打って、消した。
重すぎる。
「久しぶり」
軽すぎる。
結局、何も送れなかった。
布団に潜り込み、天井を見つめる。
6月20日。
守られた日。
そして今は、
自分が、何もできなかった日。
踏み出したはずの一歩は、
相手に届く前に、
静かに崩れた。