スレチガイレッドスレッド

中学一年生になって、最初に変わったのは放課後の匂いだった。体育館から流れてくるワックスの匂いと、校庭の土の湿った匂いが混ざって、胸の奥が少しだけ高鳴る。
「今日のシュート、最後惜しかったな」
バスケ部の帰り道、りんたろうが言った。
「入ると思ったんだけどな」
「思うだけじゃ入んないやつ」
二人は笑った。
「てかさ」
「ん?」
りんたろうは、ちらっと教室の方を見る。
「また、ゆきの見てたろ」
「見てないって」 「いや、見てた」
ゆうごは何も言わず、靴先で小石を蹴った。
「……可愛いと思う?」
不意に聞かれて、りんたろうは少しだけ驚いた。
「そりゃ、思うだろ」
その日の夕方、ゆうごは校舎裏でゆきのを呼び止めた。
「え、なに?」
「急でごめん」
沈黙が落ちる。
「俺さ」
喉が渇いた。
「前から、ゆきののこと好きで」
ゆきのは目を瞬いた。
「……ほんとに?」
「うん」
「冗談じゃなくて?」
「冗談だったら、こんなとこ呼ばない」
少しの間。
「……そっか」
ゆきのは、困ったように笑った。
「うれしい」