数分が経ち、少し落ち着いてきた。
(お別れに、泣いちゃうのはダメだよね)
気を取り直して、改めてお別れを伝えようとした。
そのとき、画面上の〈お知らせ〉欄に赤いドットがついていた。
(なんだろう?また増えた……)
不思議に思いながらタップしてみると、それはフレンド要請だった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『ちょろぎ』からフレンド要請があります
受けますか? 承認 否認
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
杏瑞はびっくりした。まさかフレンド要請されるとは思ってもみなかったからだ。
しかも、辞めようとしていたこのタイミングで。
(ちょろぎさんから?なんで私なんかに……)
先ほどの試合を最後に『やめる』というのは心から思っていた。
それに、今までにないくらいの充実と楽しさがあった試合だったので、良いイメージのまま終わったことに満足していた。
(どうしよう……私が、あの試合を最後にやめるって、ちょろぎさんは知らないし)
(でも、あんなに良くしてもらって拒否するのも申し訳ないかも)
(そもそも、私とフレンドになっても、迷惑かけるだけだし……)
葛藤が続いたが、考えた末、
(一度フレンドになって、やめることを伝えよう。誘ってくれたのに申し訳ないけど、無視するよりよっぽどいいし……)
フレンドのコメント欄に事情を書き、謝るつもりで『承認』ボタンをタップした。
すると、画面上には
――――――――――――――――――――
『ちょろぎ』が、あなたを招待しています。
受けますか? はい いいえ
――――――――――――――――――――
“一緒にプレイしよう”とのメッセージ。
杏瑞は一瞬、戸惑った。
5秒……4秒……3秒……
カウントダウンが始まり、慌てて『はい』を押してしまった。
すると、『ちょろぎ』のロビーに『アプリコット』が移動する。
二人が並んで表示された。
――――――――――――――――――――
[ルーム内チャット]
承認ありがとう。迷惑じゃなかったかな?
そんなことないです。びっくりしました。
あまり自分からフレンド申請しないけど、
アプリコットさんとは、楽しくできそうだったからつい…… 笑
そんなこと初めて言われました 笑
買いかぶりすぎです 笑
ご謙遜を 笑
そろそろ寝ないといけない時間だったけど、
アプリコットさんにお礼が言いたくて。
こちらこそ、さっきは本当に楽しかったです。
今日はもう時間がないので、
もし良ければ、明日一緒にできますか?
(あっ、そうだ。説明しなくちゃ)
杏瑞は悪いと思いつつ、正直に話した。
実は、あの試合が最後で……やめるんです。
フレンド要請されて困ったんですが、
黙っていなくなるより、伝えた方がいいと思って、承認ボタンを押しちゃいました。
えっ、そうだったんですか。
家庭の事情ですか? もし、よかったら
理由を聞いてもいいですか。
もちろん、イヤなら話さなくていいです。
杏瑞は少し考え、ちょろぎに話すことにした。
実は――――――
『チーター』『チームキラー』
そして、先ほどの試合で新たに気づいた
『独りの寂しさ』……
杏瑞は書き始めると、指が止まらなくなった。
(私の話を聞いてくれる人……)
書いているうちに昔に受けた〈いじめ〉についても書き出してしまっていた。
当時のことを思い出す。涙が溢れて、手も震える。フリックが上手くできない……
『顔』も『声』も、『本当の名前』さえ知らないちょろぎに『心の叫び』を伝えていた。
長文になったが、ちょろぎは終わるまで黙って読んでくれた。
感情的になりすぎた杏瑞は『はっ!』となり、ちょろぎに謝った。
ごめんなさい。調子にのって書いちゃいました。
しかも、寝る時間だったのに長文で……
迷惑でしたよね、忘れて下さい。
そして、本当にありがとうございました。
手の震えも落ち着き、冷静さも取り戻した。
ちょろぎさんに出会えて良かったです。
一方的に書き込んで、去ろうとした杏瑞に、ちょろぎが書き込む。
なるほど。そう言う理由だったんですね……
アプリコットさん。ここまで話すのは、すごく勇気がいったでしょう。
でもね、それなら——
辞めなくてもいいと思いますよ。
「えっ!」つい、声が出てしまった。
怪しいプレイヤーがいれば、俺が運営に通報します。
チームキラー? そんなの俺が守ります。気にしないで下さい。
それより……
『独りがつらい』って、ずっと抱えてきたんですね。
俺で良ければ、その寂しさが少しでも軽くなるように手伝いたい。
人との会話が苦手なら、ここでチャットすればいい。
うまく言えない気持ちだって、そのままで大丈夫です。
だって——
俺はここにいますから。
アプリコットさんが話したいと思ってくれたことが、何より嬉しいから。
愚痴でも、独り言でも、泣き言でもいい
思ったこと、全部そのまま投げてくれていいんです。
もし迷惑だと思ってるなら、それは違います。
アプリコットさんと話しているのは、楽しいですよ。
だから……
俺で良ければ、友達になって下さい。
いや、もうフレンドなんですけどね 笑
アプリコットさん。
これでもまだ、辞めると言いますか?
私は声を出して泣いてしまった。
家族以外に気にかけてくれる人がいなかった私。
初めて会った人に話を聞いてもらえて。
初めて会った人に親身になってもらえて。
私は泣きながら、フリックする……
よろしくお願いします。
色々、話しをしてくれてありがとう。
アプリコットさんと知り合えて良かったです。
明日もログインするので誘います。
覚悟して下さい 笑
それでは、おやすみなさい。
杏瑞も一言……さらに言葉を添えた。
おやすみなさい……
そして、ありがとう…… と。
――――――――――――――――――――
(お別れに、泣いちゃうのはダメだよね)
気を取り直して、改めてお別れを伝えようとした。
そのとき、画面上の〈お知らせ〉欄に赤いドットがついていた。
(なんだろう?また増えた……)
不思議に思いながらタップしてみると、それはフレンド要請だった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『ちょろぎ』からフレンド要請があります
受けますか? 承認 否認
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杏瑞はびっくりした。まさかフレンド要請されるとは思ってもみなかったからだ。
しかも、辞めようとしていたこのタイミングで。
(ちょろぎさんから?なんで私なんかに……)
先ほどの試合を最後に『やめる』というのは心から思っていた。
それに、今までにないくらいの充実と楽しさがあった試合だったので、良いイメージのまま終わったことに満足していた。
(どうしよう……私が、あの試合を最後にやめるって、ちょろぎさんは知らないし)
(でも、あんなに良くしてもらって拒否するのも申し訳ないかも)
(そもそも、私とフレンドになっても、迷惑かけるだけだし……)
葛藤が続いたが、考えた末、
(一度フレンドになって、やめることを伝えよう。誘ってくれたのに申し訳ないけど、無視するよりよっぽどいいし……)
フレンドのコメント欄に事情を書き、謝るつもりで『承認』ボタンをタップした。
すると、画面上には
――――――――――――――――――――
『ちょろぎ』が、あなたを招待しています。
受けますか? はい いいえ
――――――――――――――――――――
“一緒にプレイしよう”とのメッセージ。
杏瑞は一瞬、戸惑った。
5秒……4秒……3秒……
カウントダウンが始まり、慌てて『はい』を押してしまった。
すると、『ちょろぎ』のロビーに『アプリコット』が移動する。
二人が並んで表示された。
――――――――――――――――――――
[ルーム内チャット]
承認ありがとう。迷惑じゃなかったかな?
そんなことないです。びっくりしました。
あまり自分からフレンド申請しないけど、
アプリコットさんとは、楽しくできそうだったからつい…… 笑
そんなこと初めて言われました 笑
買いかぶりすぎです 笑
ご謙遜を 笑
そろそろ寝ないといけない時間だったけど、
アプリコットさんにお礼が言いたくて。
こちらこそ、さっきは本当に楽しかったです。
今日はもう時間がないので、
もし良ければ、明日一緒にできますか?
(あっ、そうだ。説明しなくちゃ)
杏瑞は悪いと思いつつ、正直に話した。
実は、あの試合が最後で……やめるんです。
フレンド要請されて困ったんですが、
黙っていなくなるより、伝えた方がいいと思って、承認ボタンを押しちゃいました。
えっ、そうだったんですか。
家庭の事情ですか? もし、よかったら
理由を聞いてもいいですか。
もちろん、イヤなら話さなくていいです。
杏瑞は少し考え、ちょろぎに話すことにした。
実は――――――
『チーター』『チームキラー』
そして、先ほどの試合で新たに気づいた
『独りの寂しさ』……
杏瑞は書き始めると、指が止まらなくなった。
(私の話を聞いてくれる人……)
書いているうちに昔に受けた〈いじめ〉についても書き出してしまっていた。
当時のことを思い出す。涙が溢れて、手も震える。フリックが上手くできない……
『顔』も『声』も、『本当の名前』さえ知らないちょろぎに『心の叫び』を伝えていた。
長文になったが、ちょろぎは終わるまで黙って読んでくれた。
感情的になりすぎた杏瑞は『はっ!』となり、ちょろぎに謝った。
ごめんなさい。調子にのって書いちゃいました。
しかも、寝る時間だったのに長文で……
迷惑でしたよね、忘れて下さい。
そして、本当にありがとうございました。
手の震えも落ち着き、冷静さも取り戻した。
ちょろぎさんに出会えて良かったです。
一方的に書き込んで、去ろうとした杏瑞に、ちょろぎが書き込む。
なるほど。そう言う理由だったんですね……
アプリコットさん。ここまで話すのは、すごく勇気がいったでしょう。
でもね、それなら——
辞めなくてもいいと思いますよ。
「えっ!」つい、声が出てしまった。
怪しいプレイヤーがいれば、俺が運営に通報します。
チームキラー? そんなの俺が守ります。気にしないで下さい。
それより……
『独りがつらい』って、ずっと抱えてきたんですね。
俺で良ければ、その寂しさが少しでも軽くなるように手伝いたい。
人との会話が苦手なら、ここでチャットすればいい。
うまく言えない気持ちだって、そのままで大丈夫です。
だって——
俺はここにいますから。
アプリコットさんが話したいと思ってくれたことが、何より嬉しいから。
愚痴でも、独り言でも、泣き言でもいい
思ったこと、全部そのまま投げてくれていいんです。
もし迷惑だと思ってるなら、それは違います。
アプリコットさんと話しているのは、楽しいですよ。
だから……
俺で良ければ、友達になって下さい。
いや、もうフレンドなんですけどね 笑
アプリコットさん。
これでもまだ、辞めると言いますか?
私は声を出して泣いてしまった。
家族以外に気にかけてくれる人がいなかった私。
初めて会った人に話を聞いてもらえて。
初めて会った人に親身になってもらえて。
私は泣きながら、フリックする……
よろしくお願いします。
色々、話しをしてくれてありがとう。
アプリコットさんと知り合えて良かったです。
明日もログインするので誘います。
覚悟して下さい 笑
それでは、おやすみなさい。
杏瑞も一言……さらに言葉を添えた。
おやすみなさい……
そして、ありがとう…… と。
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