お嬢様は結婚したくないっ!

 吹き飛んだ麻呂に従者が駆け寄った。

「麻呂様!! あ、やべっ。足蹴っちゃった」

 どさくさに紛れて足を蹴られる麻呂。

「お前、絶対わざとでおじゃる!!!」

 従者が麻呂を起こし、真幸に向かって指をさす。

「ともかく、今日の所は引き上げましょう!!」

「そうでおじゃるな……。今日の所は勝ちを譲ってやるでおじゃるが、次こそバトル和歌で貴様を蹴散らしてくれるでおじゃる!!」

 捨て台詞を吐いて車に乗り込む麻呂。そんな彼に真幸は手を振って言った。

「もうこないでねー」

 亜子は真幸に駆け寄り、体の心配をする。

「真幸くん!! 体は大丈夫!? 怪我していない!?」

「えぇ、大丈夫ですよお嬢様。それより、あのマシュマロは……。許嫁候補とか聞きましたけど……」

 真幸の言葉に、亜子は俯く。

「隠していてごめんなさい! お父様が、勝手に許嫁候補の人と結婚をさせようとしてくるの!」

 真菜は「えぇー!?」と驚いて、亜子に言う。

「そんな、勝手になんて!!」

「うん……。それで、許嫁候補は執事と勝負をして、勝ったらお見合いができる仕組みなの……」

 真幸は「金持ちの考えることは分からんな」と思いながらお嬢様に同情していた。

「なんですか、そのクソシステム……。あ、でも御影さんは……?」

 御影は真幸に事情を説明してやる。

「私は、亜子お嬢様のお父様の執事。身の回りのお世話はいたしますが、許嫁候補様へ干渉することは禁じられています」

「ってことは。俺達がどうにかしないと、お嬢様の戸籍が危ない……ってコト!?」

 亜子は状況を理解した真幸に頭を下げて謝罪する。

「ごめんなさいっ!! 執事が居ないと、あの麻呂さんとお見合いが待っていたの」

 そんな亜子に、真幸は言った。

「頭をあげて下さいお嬢様。俺達はお嬢様に助けられました。今度はこちらがお助けする番です!!」

 真菜と真弓も胸を張って言う。

「私も亜子お姉様を守る!!」

「そうねぇ、私もお嬢様をお守りしないと」

 釧路家の頼もしい言葉に亜子は涙ぐむ。

「ありがとうございます。ですが、これから夏休みなのでお見合いの話がどんどん来ると思います……」

 真幸は胸を叩いて、亜子に自信満々に言った。

「任せて下さい! 亜子お嬢様には指一本触れさせません!」

 が、次の瞬間。真幸のお腹が鳴った。

「あっ」

 母、真弓がクスクスと笑う。

「あらあら、真幸お腹すいちゃったのね?」

 なんとも締まらない感じだったが、亜子も笑顔で笑い始めたので、まぁいいかと思う真幸であった。