お嬢様は結婚したくないっ!

「なんで御影さんまでこのインチキ和歌の解説ができるんですか!? っていうか、なんで吹き飛ぶんですか!?」

「しょせん、この程度でおじゃるか、亜子様の心は頂いていくでおじゃる」

「まだだ!!」

 真幸はボロボロになりながらも立ち上がる。

「亜子お嬢様には指一本触れさせない!!」

「真幸くん……」

 亜子は赤面しながら真幸を見つめていた。

 真幸は大声でバトル和歌を詠む。

「バッタがバタバタくたばった」

「やんごとなきいいいいいいいい!!!!!」

 吹き飛ぶ麻呂を見て、真菜はまたツッコミを入れる。

「だから何で毎回そうなるのよ!!!?」

「バッタという言葉に対して三回も掛詞を使い、その中で見事に生命の終わる瞬間の無情な儚さ、生へのしがみつきを表現しているでおじゃる。高度なバトル和歌でおじゃるな……」

 麻呂に褒められ、真幸は気まずそうに頭を掻く。

「どうしよう、真面目に解説されるとスッゲー恥ずかしい」

 麻呂は立ち上がり、バトル和歌を繰り出した。

「アルミ缶の上にあるみかんがみっかんない!!」

「ぐわあああああ!!!」

 真菜はもはや吹き飛ぶことにツッコミも入れなくなった。

「まだでおじゃる、具現化せよ」

 麻呂が言うと、複数の何かが真幸に向かって飛んで行った。

「何かメッチャ飛んできた!?」

 それは直撃して真幸にダメージを与える。

「『かぼす』だこれええええ!!!!」

 大量のかぼすによって地面に膝をつく真幸を妹の真菜は指さした。

「なんでかぼすなの!? この流れだったらせめてみかんであれよ!!」

 フラフラと立ち上がり、真幸は詠んだ。

「イルカは居るか!!」

 だが、麻呂は吹き飛ばなかった。

「ふん、この程度でおじゃるか、今までのは、まぐれだったようでおじゃるな」

 真菜は頭が痛くなってきた。

「わかんないよ!? ダメージ与えられる基準がわかんないよ!!」

「そち達も詠むと良い、まとめて相手してやるでおじゃる」

 真菜と真弓を見て麻呂は言う。どうしようかと悩み、二人はバトル和歌を詠む。

「こ、紅茶が凍っちゃった!」

「布団がふっとんだ! なんてね……」

「ふっ、それで終わりなら麻呂の勝利でおじゃるな」

 麻呂は勝ち誇り、亜子は震えてそれを見ていた。

「まだだ!!!」

 真幸は立ち上がる。お嬢様を守るために。

「カッターで指切った……」

「和歌にすらなってないでおじゃる。苦し紛れよのぅ」

「痛カッター!!」

 とどめの和歌を食らい、麻呂は吹き飛ぶ。

「ホーリーシッツ!!!!!」

「英語で悪態ついて倒れた!?」

 フッと笑って御影は勝負を止める。

「勝負、ありですね」