君の春に別れを——運命が変わったあの日

2.「待ってー。フリータイム安すぎ。」
「今日は予定ないから何時でも付き合うよ!」
「じゃー。歌い潰れよう!」
玲奈がそう元気よく言ってくれたので私は安心した。
学校にいる時の玲奈はいつも何処か寂しげにしている。
私にはどうしようも出来ないことなのかもしれないけど、、、。
「愛衣〜。こっちだよ。」
「あ。うん。今行く。」
そう言い私は、玲奈のもとへ走った。

「広い部屋だ!2人で使うには勿体ないね。」
「ラッキーだね。」
そう言い、玲奈は部屋に入った。
にしても、この部屋がフリータイムで500円って安すぎないかな?と少し不安に思ったがそんな事はいつしか忘れていた。
「だいぶ、歌ったね。今何時?」
「まだ、6時。てか、上手な人いない?どこだろう」
「探しに行ってくれば?」
「え?」
「ほらほら。行ってらっしゃい」
玲奈に言われるがままに歌が上手い人を探しに行った。
いくら探しても見つからなかったのでドリンクバーで烏龍茶を入れて部屋に戻ろうとした。
その時、ふと。さっきまで聞こえていた声がまた聞こえてきた。
急いで声のする方に足を運んだ。
私たちの部屋の周りには誰も居ないのにその人の所だけは、たくさんの人が居た。
この人だかりだと、見えそうもないので諦めて私は玲奈のもとへ帰ろうとした。

この時、私がこの部屋に来なければ穏やかに過ごせていたのに——
この時から私たちの中のなにかが変わり始めていた。