◼️◼️◼️にまつわる物語


〈テロップ:音声が一部かすれております。ご了承ください〉


 こんにちは。

 また来てくれたのね。うれしいわ。職員さんに、今日もマル(ピー)さんが来るって聞いてたから楽しみに待っていたのよ。
 やっぱりあなたは私の見込んだ通りの人だったわ。ほかの人とは違う。すばらしい逸材なのよ。さあ、これを受け取って。ほかの人には内緒よ。働かなくても、お金のことは私がちゃんと援助するから安心してちょうだい。そのかわり、あなたはこれからもここへ来るの。ここに来て自分の役割をまっとうするの。明日も明後日も、ずっと先もね。よろしく頼むわね。
 さあ、さっそく前回の続きをしましょう。
 折り紙の残り、これだけあるのよ。千羽作るのってだいぶ時間がかかるのね。早くはじめないと、またすぐ時間になってしまうわ。今日もたった二時間よね? 短いわ。あなただけ残業にしてもらおうかしら? 作業が終わらなかったって言えばどうとでもなるわ。
 あの人たちね、私の言うことはなんでも聞くのよ。あなたがここにいるのも、私が「ひとり分多く求人を出せ」って命令したからなの。この個室も私だけの特別待遇なのよ。私がこの施設のオーナーだから、口答えができないのよ……ああ、今はそんなことどうでもいいわね。時間がないわ。早くはじめてちょうだい。
 え?
 どうしたの。大丈夫よ。
 ほら、こんな感じに描いて、鶴を折ればいいだけの話よ。簡単でしょう。今日中にできるだけ進めてちょうだい。ほら、早く。……そう。そう。


 手を動かしながら聞いてちょうだい。
 私たちの『敵』の話よ。
 どこにいるかはわからないの。ただ、彼らは常に私たちを監視しているわ。
 ずっと、見張られている。だから一秒たりとも気を抜いてはいけないの。ご飯を食べているときも、身体を休めているときも。こうして部屋にこもって、鶴を折っている時間もね。
 逆に、私たちがあいつらのことを見つけられたらいいのだけどね……。なかなか難しいわ。私は動けない状態だし、動けたとしてもこの地球上の、どこにいるのか。それでも、私はこうして行動しているの。なんの意味もないかもしれないけれど、信じているの。あいつらには屈しない。あいつらに負け続けるなんてあり得ない。この命が燃え尽きるまで、戦ってみせるわ……。
 …………。
 あら。
 あなた、あいつらに似ているわね。


 ……。気持ち悪いわね。なんでそんな顔をしているの? 前からそんな顔をしていたかしら?
 ……あなた、不快だわ。
 私に顔を見せないで。うしろを向いて。ほら早く。手は止めちゃ駄目よ。……。……。あなた、最初からそんな顔だったかしら……。

 あなた、何者なの?
 あなた、
 まさか、  
   村の……。



 誰か!



 誰か!
 来てちょうだい!



 こいつを今すぐ追い出して!