今日も学校の自習室を出ると案の定、外は真っ暗闇だった。
はぁ、と息を吐いてみれば瞬く間に真っ白に染まった。
もう自習室には飽きるほど行ったし、早く家に帰りたい。
そこにいたのは、幼馴染でもある村田梨緒だった。
「あれ、拓眞じゃん。こんな時間にどうしたの~?」
梨緒はどこに住んでいるのか知らないけど、こんな時間に梨緒の方こそどうして学校の近くにいるんだろう。
「ちょっと自習してた。梨緒は?」
「あっはは、彼氏としゃべってたらこんな時間に…」
ああ、彼氏か、彼氏、ね…
彼女の言う「彼氏」とはオレの友達でもある添田広平のことだ。
オレが彼女にたいして絶対に恋愛感情は抱くことはないと思っているが、広平のことを話す梨緒を見ていると胸の奥で何かが煮えたぎるような思いに駆られた。
なんで、あいつなんだろう、そう思っちゃいけないのは重々承知だ。彼女が選んだのだから。
しかし、オレも頭がきれる方ではある。だから、こうしたんだ。
そうして今までのオレの作戦通りに梨緒に話をした。
今夜は、しんとしている夜だった。
静かになってしまった彼女を抱えて、オレは自分の家に帰ることにした。
梨緒の家からオレの家までは20分程度ある。歩いてる間は、傍から見たら恋人に見えるかもしれない。
「ねぇ拓眞、さっき言ってたこと、嘘だよね、ねぇ?」
「ほんとう。広平がほかの女にプレゼント渡してたのも、さらにほかの女と学生のくせにホテル行ってたのも」
彼女がまた泣き始めた。先ほどもわんわん泣いて泣き疲れたせいで、無防備にも、オレの腕の中で眠ってしまったくせに。
「はぁ…だからやめておけばよかったのに」
あきれるように言うと、梨緒が涙をそのままに見上げ、オレの瞳を捉えた。
「のどかわいた…泣いたせいで水分不足なの…」
「飲めばいいじゃん、水筒持ってないの?」
そういって彼女のカバンをもってくると、中身はとても軽かった。
水筒が入っているかを確認する間もなく入っていないだろう。
仕方ない、と席を立ち、冷蔵庫のお茶をついできてもたせると、喜色満面で飲み始めた。
「ごめんね、ありがとう」
そういうとすぐ帰ろうと立ち上がろうとするのでぐっと腕を寄せる。
「今日は泊っていったら?何にもできないかもしれないけど、梨緒が一人で泣いてたら一番キツいのはオレだし」
自分の口からさらりとその言葉が出たことに内心驚きながらも、つかんだ手をさらに引いて腕の中に閉じ込めてやる。
「え、ぇ、拓眞、どうしたの?…っ、もう、」
困惑し始める彼女が安心のためか、驚きか、恐怖かで泣き始めたのをみて背中をさすり、子供の時のように抱きしめた。
彼女は先ほどと同じように、涙の跡もそのままに寝てしまった。
いとおしい。あんなやつに、こんなにかわいい君は不釣り合いでしかない。自分がしたことの重大さと、自分がしたことで梨緒を救えたことに満面の笑みを浮かべた。よしよしと頭を撫でれば、ふふ、とすこし嬉しそうな顔を見せてくれた。
「よかった、ぜんぶ上手くいった。」
はぁ、と息を吐いてみれば瞬く間に真っ白に染まった。
もう自習室には飽きるほど行ったし、早く家に帰りたい。
そこにいたのは、幼馴染でもある村田梨緒だった。
「あれ、拓眞じゃん。こんな時間にどうしたの~?」
梨緒はどこに住んでいるのか知らないけど、こんな時間に梨緒の方こそどうして学校の近くにいるんだろう。
「ちょっと自習してた。梨緒は?」
「あっはは、彼氏としゃべってたらこんな時間に…」
ああ、彼氏か、彼氏、ね…
彼女の言う「彼氏」とはオレの友達でもある添田広平のことだ。
オレが彼女にたいして絶対に恋愛感情は抱くことはないと思っているが、広平のことを話す梨緒を見ていると胸の奥で何かが煮えたぎるような思いに駆られた。
なんで、あいつなんだろう、そう思っちゃいけないのは重々承知だ。彼女が選んだのだから。
しかし、オレも頭がきれる方ではある。だから、こうしたんだ。
そうして今までのオレの作戦通りに梨緒に話をした。
今夜は、しんとしている夜だった。
静かになってしまった彼女を抱えて、オレは自分の家に帰ることにした。
梨緒の家からオレの家までは20分程度ある。歩いてる間は、傍から見たら恋人に見えるかもしれない。
「ねぇ拓眞、さっき言ってたこと、嘘だよね、ねぇ?」
「ほんとう。広平がほかの女にプレゼント渡してたのも、さらにほかの女と学生のくせにホテル行ってたのも」
彼女がまた泣き始めた。先ほどもわんわん泣いて泣き疲れたせいで、無防備にも、オレの腕の中で眠ってしまったくせに。
「はぁ…だからやめておけばよかったのに」
あきれるように言うと、梨緒が涙をそのままに見上げ、オレの瞳を捉えた。
「のどかわいた…泣いたせいで水分不足なの…」
「飲めばいいじゃん、水筒持ってないの?」
そういって彼女のカバンをもってくると、中身はとても軽かった。
水筒が入っているかを確認する間もなく入っていないだろう。
仕方ない、と席を立ち、冷蔵庫のお茶をついできてもたせると、喜色満面で飲み始めた。
「ごめんね、ありがとう」
そういうとすぐ帰ろうと立ち上がろうとするのでぐっと腕を寄せる。
「今日は泊っていったら?何にもできないかもしれないけど、梨緒が一人で泣いてたら一番キツいのはオレだし」
自分の口からさらりとその言葉が出たことに内心驚きながらも、つかんだ手をさらに引いて腕の中に閉じ込めてやる。
「え、ぇ、拓眞、どうしたの?…っ、もう、」
困惑し始める彼女が安心のためか、驚きか、恐怖かで泣き始めたのをみて背中をさすり、子供の時のように抱きしめた。
彼女は先ほどと同じように、涙の跡もそのままに寝てしまった。
いとおしい。あんなやつに、こんなにかわいい君は不釣り合いでしかない。自分がしたことの重大さと、自分がしたことで梨緒を救えたことに満面の笑みを浮かべた。よしよしと頭を撫でれば、ふふ、とすこし嬉しそうな顔を見せてくれた。
「よかった、ぜんぶ上手くいった。」
