美術室には由香が待っていた。教室にいない僕を探してここに来たようだ。僕と一緒にいる加瀬君に気付くと目を伏せた。
「由香、ちょっと話せる?」
由香は俯いたまま小さく頷いた。加瀬君は気を利かせてくれたのか、僕と由香は二人で美術室に入った。
何から話したらいいのか。
つき合いが長いだけに馴れ合って、つい先送りにしてきたけどいい機会だ。そろそろはっきりさせよう。
「由香、これまでたくさん迷惑かけたし心配させたと思ってる。幼なじみだからって甘えてたんだ、ごめん」
「伊吹……」
「小さい頃は絵を描くのが好きだった。よく一緒に描いたの覚えてる? いつの間にか忘れてたけど、由香は覚えてたんだな。だから僕を美術部に誘ってくれたんだよね」
「私、伊吹を信じられなかった。加瀬君にも酷いこと言っちゃった。ごめんなさい」
「僕が悪いんだ。この絵を描いてる間、すっごく楽しくてさ。これからも絵を描きたいって思った。僕にしか出来ない事は絵だとわかった。これからはサボったりしない。真面目に部活に参加するよ」
「伊吹が変われたのは加瀬君のおかげなのね。それなのに私……」
泣いてる?
由香が泣くなんて、加瀬君にそんなに酷いことを言ったのか?
「大丈夫だよ。加瀬君は気にしてないから」
僕は由香の頭をポンポンと撫でてやった。小さい頃は良くやっていたが、由香の方が大きくなってからは、やられる側にまわっていた。
「だからさ、もう口うるさく文句言わなくていいよ」
「……私、口うるさかった……?」
「うん、口うるさいし、しつこいし、流石にウンザリする時もあったけど、僕の為だってわかったよ」
「……ウンザリね。それは大変失礼しました」
あれっ、怒ってる……ような気が……?
「今度無断で部活休んだら、幼稚園の時の鼻水垂らして泣いてる写真、掲示板に貼るからね! それと髪が乱れるから頭触らないで!!」
バン!とドアを開けると廊下にいた加瀬君を睨みつけた。
「聞いてたでしょ?」
「き、聞いてないです!」
「嘘……笑い声聞こえたから。これで帳消しよ!」
それだけ言うと、さっさと行ってしまった。
どこで地雷を踏んだ? 全くわからない。
こんなに反省したのに、逆ギレするなんて。
ホント、可愛くない。
「伊吹、彼女いないだろ? これまでずっと」
なんだよ、面白そうに。
どうせ僕はモテないよ。
そんなこと、いま関係ないだろ。
んっ? いま『伊吹』って呼ばれたか?
ま、いいけど。
「由香、ちょっと話せる?」
由香は俯いたまま小さく頷いた。加瀬君は気を利かせてくれたのか、僕と由香は二人で美術室に入った。
何から話したらいいのか。
つき合いが長いだけに馴れ合って、つい先送りにしてきたけどいい機会だ。そろそろはっきりさせよう。
「由香、これまでたくさん迷惑かけたし心配させたと思ってる。幼なじみだからって甘えてたんだ、ごめん」
「伊吹……」
「小さい頃は絵を描くのが好きだった。よく一緒に描いたの覚えてる? いつの間にか忘れてたけど、由香は覚えてたんだな。だから僕を美術部に誘ってくれたんだよね」
「私、伊吹を信じられなかった。加瀬君にも酷いこと言っちゃった。ごめんなさい」
「僕が悪いんだ。この絵を描いてる間、すっごく楽しくてさ。これからも絵を描きたいって思った。僕にしか出来ない事は絵だとわかった。これからはサボったりしない。真面目に部活に参加するよ」
「伊吹が変われたのは加瀬君のおかげなのね。それなのに私……」
泣いてる?
由香が泣くなんて、加瀬君にそんなに酷いことを言ったのか?
「大丈夫だよ。加瀬君は気にしてないから」
僕は由香の頭をポンポンと撫でてやった。小さい頃は良くやっていたが、由香の方が大きくなってからは、やられる側にまわっていた。
「だからさ、もう口うるさく文句言わなくていいよ」
「……私、口うるさかった……?」
「うん、口うるさいし、しつこいし、流石にウンザリする時もあったけど、僕の為だってわかったよ」
「……ウンザリね。それは大変失礼しました」
あれっ、怒ってる……ような気が……?
「今度無断で部活休んだら、幼稚園の時の鼻水垂らして泣いてる写真、掲示板に貼るからね! それと髪が乱れるから頭触らないで!!」
バン!とドアを開けると廊下にいた加瀬君を睨みつけた。
「聞いてたでしょ?」
「き、聞いてないです!」
「嘘……笑い声聞こえたから。これで帳消しよ!」
それだけ言うと、さっさと行ってしまった。
どこで地雷を踏んだ? 全くわからない。
こんなに反省したのに、逆ギレするなんて。
ホント、可愛くない。
「伊吹、彼女いないだろ? これまでずっと」
なんだよ、面白そうに。
どうせ僕はモテないよ。
そんなこと、いま関係ないだろ。
んっ? いま『伊吹』って呼ばれたか?
ま、いいけど。
