ほんとうにごめんなさい

【週刊芸能】 1984年8月号

 ◼️衝撃スクープ! 宮下茉莉子の「遺書」入手
 自殺の真相は熱愛スキャンダルへの絶望か

 去る8月15日未明、人気アイドル歌手・宮下茉莉子(19)が都内の自宅マンション10階から飛び降り、即死した。遺体は午前4時ごろ、通行人によって発見された。

 宮下は今年3月にリリースしたシングル「恋のシャボン玉」が大ヒット、紅白歌合戦への出場も確実視されていた若手アイドルだ。清純派として売り出され、ファン層は中高生を中心に幅広い支持を得ていた。

 しかし、本誌7月号が、宮下と大手広告代理店勤務の男性(26)との熱愛を報じたところ、ファンから事務所に抗議の電話が殺到。宮下の所属事務所は「交際の事実はない」と否定したものの、騒ぎは収まらなかった。

 関係者によると、宮下はスキャンダル報道後、ひどく落ち込んでおり、仕事も休みがちだったという。

「撮影現場でも上の空で、スタッフが声をかけても反応が鈍かったんです」(テレビ関係者)

 本誌は、宮下の友人A子さんを通じて、彼女が自室に残していた「遺書」を入手した。

 それは、くしゃくしゃになったルーズリーフに、震えるような筆跡で綴られていた。

「ほんとうにごめんなさい」
 


 全文ひらがなで書かれたその文章は、まるで小学生が書いたかのような幼い印象を与える。几帳面な性格だったという宮下らしからぬ乱れた字は、彼女が極度の精神的動揺の中にあったことを物語っている。

 A子さんは涙ながらに語る。
「茉莉子ちゃんはほんとうに真面目な子だったんです。ファンを裏切ったって、自分を責め続けていて。『アイドルなのに恋しちゃった私が悪い』って」

 事務所関係者によれば、宮下は几帳面で礼儀正しく、スタッフからの評判も良かったという。しかし一方で、完璧主義な面もあり、自分に厳しすぎるところがあったとも。

 警視庁は、熱愛報道による精神的ストレスが自殺の原因と見て、関係者から事情を聞いている。

 宮下の所属事務所は「このような形でお別れすることになり、残念でなりません。謹んでご冥福をお祈りします」とコメントを発表した。

 清純派アイドルとして輝き始めた矢先の悲劇。芸能界に激震が走っている。

 (週刊ポスト編集部)