あれから——
秋人のバイクに乗り、美羽は黒薔薇学園へと戻ってきていた。
校門をくぐった瞬間、春の風がふわりと頬を撫でる。
校庭には、満開の桜。
卒業式を終えたばかりの空気は、どこか浮き足立っていて、少しだけ切ない。
そのとき。
「美羽~~!!おかえりぃ~~!!」
遠くから、聞き慣れた声が飛んできた。
美羽はぱっと顔を上げる。
「……莉子!!」
駆け寄ってくる莉子の姿に、美羽の表情も自然と緩む。
「おまたせ!ただいま!」
「もう、ほんっと遅いんだから~!……って、あれ?」
莉子は美羽の後ろに立つ秋人を見て、にやりと笑った。
「お兄ちゃんも一緒だったんだね!お勤めご苦労さまです~!」
秋人は肩をすくめ、余裕の笑みを浮かべる。
「いえいえ。お転婆なお姫様の送迎は、なかなか刺激的だったよ?」
ちらり、と意味深に美羽を見る。
「……っ!」
美羽は一瞬で顔が赤くなった。
「ちょ、ちょっと秋人くん!変な言い方しないでよ!!」
そのやり取りを見て、莉子は吹き出す。
「あはは!美羽、なんか元気そうだね。よかった」
「……うん」
美羽は小さく頷いた。
「色々あったけどね!」
秋人は空を仰ぎながら、くすっと笑う。
「まぁ、あんなの見せつけられたら…そりゃ大丈夫でしょ?」
「え?!なになに?!美羽と椿くん、どうだったの?!教えてよ、お兄ちゃん!」
莉子が詰め寄った、その瞬間。
「は~い、ストーーップ」
後ろから、軽い声が割り込んだ。
「兄妹でイチャつかないの~」
振り向くと、そこには遼がいた。
「……遼くん!?」
莉子が驚いた隙に、遼はさっと莉子の手を取る。
「ちょ、ちょっと!?」
「ほら、行くよ莉子ちゃん。」
「え、待って——!」
そのまま、遼は走り出した。
振り返りざま、秋人に向かって不敵な笑み。
「秋人くん、莉子ちゃんは…もう俺のだからね?」
「はいはい~やれやれだねぇ」
秋人は苦笑しながら肩をすくめる。
校庭は、相変わらずのドタバタだった。
「美羽ちゃーん!!遅いじゃーん!早く写真撮るよー!!」
悠真が、片手をぶんぶん振って叫んでいる。
「ごめん、悠真くん!今行くねー!」
美羽はぱあっと表情を明るくして駆け出した。
その途中。
「碧くん?!ちょっと待って!それ何!?」
「筋トレグッズです!!卒業式後も鍛錬は欠かせません!!」
「いらないから!!ってか卒業証書はどこ行ったの!?」
笑い声が弾ける。
シャッターチャンスを逃して頭を抱える玲央。
筋トレ器具を持ち込もうとする碧。
騒ぎながらも、どこか名残惜しそうな空気。
桜の花びらが、ひらひらと舞い落ちる。
美羽は、少し立ち止まり、空を見上げた。
——佐々木先生……あの時、急に空手を辞めて、ごめんなさい。——
胸の奥で、そっと呟く。
どうやら、私——
“危険すぎる恋”に、落ちてしまいました"
けれど、それは——
怖くて、切なくて、でも一生に一度の、どうしようもなく大切な恋だった。
「美羽ちゃーん!おーい、こっち来なよ~!」
秋人の声が、校庭に響く。
美羽は振り返り、にっと笑った。
「うん!今行くー!」
卒業証書の筒をぎゅっと握りしめて、再び走り出す。
桜の下、笑い合う仲間たち。
遠くへ旅立った、大切な人。
——そして、ここから始まる新しい日々。
空は、どこまでも青かった。
秋人のバイクに乗り、美羽は黒薔薇学園へと戻ってきていた。
校門をくぐった瞬間、春の風がふわりと頬を撫でる。
校庭には、満開の桜。
卒業式を終えたばかりの空気は、どこか浮き足立っていて、少しだけ切ない。
そのとき。
「美羽~~!!おかえりぃ~~!!」
遠くから、聞き慣れた声が飛んできた。
美羽はぱっと顔を上げる。
「……莉子!!」
駆け寄ってくる莉子の姿に、美羽の表情も自然と緩む。
「おまたせ!ただいま!」
「もう、ほんっと遅いんだから~!……って、あれ?」
莉子は美羽の後ろに立つ秋人を見て、にやりと笑った。
「お兄ちゃんも一緒だったんだね!お勤めご苦労さまです~!」
秋人は肩をすくめ、余裕の笑みを浮かべる。
「いえいえ。お転婆なお姫様の送迎は、なかなか刺激的だったよ?」
ちらり、と意味深に美羽を見る。
「……っ!」
美羽は一瞬で顔が赤くなった。
「ちょ、ちょっと秋人くん!変な言い方しないでよ!!」
そのやり取りを見て、莉子は吹き出す。
「あはは!美羽、なんか元気そうだね。よかった」
「……うん」
美羽は小さく頷いた。
「色々あったけどね!」
秋人は空を仰ぎながら、くすっと笑う。
「まぁ、あんなの見せつけられたら…そりゃ大丈夫でしょ?」
「え?!なになに?!美羽と椿くん、どうだったの?!教えてよ、お兄ちゃん!」
莉子が詰め寄った、その瞬間。
「は~い、ストーーップ」
後ろから、軽い声が割り込んだ。
「兄妹でイチャつかないの~」
振り向くと、そこには遼がいた。
「……遼くん!?」
莉子が驚いた隙に、遼はさっと莉子の手を取る。
「ちょ、ちょっと!?」
「ほら、行くよ莉子ちゃん。」
「え、待って——!」
そのまま、遼は走り出した。
振り返りざま、秋人に向かって不敵な笑み。
「秋人くん、莉子ちゃんは…もう俺のだからね?」
「はいはい~やれやれだねぇ」
秋人は苦笑しながら肩をすくめる。
校庭は、相変わらずのドタバタだった。
「美羽ちゃーん!!遅いじゃーん!早く写真撮るよー!!」
悠真が、片手をぶんぶん振って叫んでいる。
「ごめん、悠真くん!今行くねー!」
美羽はぱあっと表情を明るくして駆け出した。
その途中。
「碧くん?!ちょっと待って!それ何!?」
「筋トレグッズです!!卒業式後も鍛錬は欠かせません!!」
「いらないから!!ってか卒業証書はどこ行ったの!?」
笑い声が弾ける。
シャッターチャンスを逃して頭を抱える玲央。
筋トレ器具を持ち込もうとする碧。
騒ぎながらも、どこか名残惜しそうな空気。
桜の花びらが、ひらひらと舞い落ちる。
美羽は、少し立ち止まり、空を見上げた。
——佐々木先生……あの時、急に空手を辞めて、ごめんなさい。——
胸の奥で、そっと呟く。
どうやら、私——
“危険すぎる恋”に、落ちてしまいました"
けれど、それは——
怖くて、切なくて、でも一生に一度の、どうしようもなく大切な恋だった。
「美羽ちゃーん!おーい、こっち来なよ~!」
秋人の声が、校庭に響く。
美羽は振り返り、にっと笑った。
「うん!今行くー!」
卒業証書の筒をぎゅっと握りしめて、再び走り出す。
桜の下、笑い合う仲間たち。
遠くへ旅立った、大切な人。
——そして、ここから始まる新しい日々。
空は、どこまでも青かった。



