美羽と秋人は空港に到着した。
人の波、アナウンス、キャリーバッグの音。
秋人は近くにバイクを止めると、美羽に言った。
「俺はここまで、美羽ちゃん、先に行って!」
「え、秋人くん?」
「……早くしないと、会えなくなるよ!」
「う、うん!!」
その言葉に、美羽は頷き、走り出した。
(椿くん……!)
見渡しても、どこにもいない。胸が、ぎゅっと締めつけられる。
「椿くんっ?!椿くーんっ!!」
「どうしよう!?……間に合わなかったのかな!?」
その瞬間。
「——美羽!!」
上から響く声。見上げると、二階のロビー。
そこに、椿がいた。
「椿くん!!」
安堵した瞬間——
ドンッ。
誰かとぶつかり、よろける。
「す、すみません……!」
反射的に謝って振り返った美羽の視界に入ったのは、
キャリーバッグを引いた、がらの悪そうな男たちだった。
ぶつかった男が、わざとらしく肩を押さえる。
「おい、おいおじょーちゃん…ちょっと痛ぇんじゃねぇか?」
じろり、と値踏みするような視線。
「病院代、肩代わりしてもらおうかぁ?」
美羽は一瞬だけ目を瞬かせ、首をかしげた。
「ぶつかったのは、ごめんなさい。」
「でも……病院って、どこ診てもらうんですか?」
無自覚な煽り。
男たちは一瞬きょとんとし、次の瞬間、顔を歪めた。
「……あぁ?」
ぞろぞろと、周囲から仲間が集まり、美羽を囲む。
「冗談じゃねぇ!!調子に乗りやがってぇ!!」
「俺たちと来てもらおうかぁ!」
男の手に、鈍く光る刃物。
その光景を、二階のロビーから見ていた椿が叫ぶ。
「おいっ美羽!!逃げろ!!」
だが——
美羽は、逃げなかった。
ぎり、と歯を食いしばり、前に出る。
「……逃げる?」
そして、真っ直ぐ男たちを睨みつける。
「私は、絶対に逃げたりしない。あなたたちこそ——」
拳を握りしめ。
「私と椿くんの…"愛しい別れ"を邪魔してんじゃないわよ!!」
「上等だ、コラァ!!」
男が殴りかかる。
——次の瞬間。
美羽は一歩引き、正拳突きを瞬時にかます。
ドゴォォオ!
鈍い音と共に、男がよろける。
そのまま踏み込み、跳躍。
「——っ!」
回し蹴りが、綺麗な弧を描く。
次々倒れていく男たち。
だが。
ナイフを持った一人が、よろめきながら起き上がり、美羽に突っ込んでくる。
「美羽!!」
椿が焦り、走る。だが、距離が足りない。
(——間に合わない!)
「美羽ぇっ!!」
その叫びと同時に——
ドンッ!!
横から飛び込んできた影。
「——っ!?」
男は一瞬宙に浮き、次の瞬間、かかと落としが叩き込まれ、床に沈んだ。
「……っ」
静寂。
美羽は、目を見開く。
「……秋人くん?!」
秋人は、軽く肩を回しながら、不敵に笑った。
「大丈夫かい?Crazy girl?」
そして、ウインク。
「いや、クレイジーじゃないから!!」
即座に飛ぶ美羽のツッコミ。
そのやり取りを見て、椿は——深く、息を吐いた。
「……はぁ」
胸に溜まっていた不安が、ゆっくりとほどけてい
く。
(無事で……よかった)
美羽は振り返り、椿を見上げた。
少し強がった笑顔だった。
人の波、アナウンス、キャリーバッグの音。
秋人は近くにバイクを止めると、美羽に言った。
「俺はここまで、美羽ちゃん、先に行って!」
「え、秋人くん?」
「……早くしないと、会えなくなるよ!」
「う、うん!!」
その言葉に、美羽は頷き、走り出した。
(椿くん……!)
見渡しても、どこにもいない。胸が、ぎゅっと締めつけられる。
「椿くんっ?!椿くーんっ!!」
「どうしよう!?……間に合わなかったのかな!?」
その瞬間。
「——美羽!!」
上から響く声。見上げると、二階のロビー。
そこに、椿がいた。
「椿くん!!」
安堵した瞬間——
ドンッ。
誰かとぶつかり、よろける。
「す、すみません……!」
反射的に謝って振り返った美羽の視界に入ったのは、
キャリーバッグを引いた、がらの悪そうな男たちだった。
ぶつかった男が、わざとらしく肩を押さえる。
「おい、おいおじょーちゃん…ちょっと痛ぇんじゃねぇか?」
じろり、と値踏みするような視線。
「病院代、肩代わりしてもらおうかぁ?」
美羽は一瞬だけ目を瞬かせ、首をかしげた。
「ぶつかったのは、ごめんなさい。」
「でも……病院って、どこ診てもらうんですか?」
無自覚な煽り。
男たちは一瞬きょとんとし、次の瞬間、顔を歪めた。
「……あぁ?」
ぞろぞろと、周囲から仲間が集まり、美羽を囲む。
「冗談じゃねぇ!!調子に乗りやがってぇ!!」
「俺たちと来てもらおうかぁ!」
男の手に、鈍く光る刃物。
その光景を、二階のロビーから見ていた椿が叫ぶ。
「おいっ美羽!!逃げろ!!」
だが——
美羽は、逃げなかった。
ぎり、と歯を食いしばり、前に出る。
「……逃げる?」
そして、真っ直ぐ男たちを睨みつける。
「私は、絶対に逃げたりしない。あなたたちこそ——」
拳を握りしめ。
「私と椿くんの…"愛しい別れ"を邪魔してんじゃないわよ!!」
「上等だ、コラァ!!」
男が殴りかかる。
——次の瞬間。
美羽は一歩引き、正拳突きを瞬時にかます。
ドゴォォオ!
鈍い音と共に、男がよろける。
そのまま踏み込み、跳躍。
「——っ!」
回し蹴りが、綺麗な弧を描く。
次々倒れていく男たち。
だが。
ナイフを持った一人が、よろめきながら起き上がり、美羽に突っ込んでくる。
「美羽!!」
椿が焦り、走る。だが、距離が足りない。
(——間に合わない!)
「美羽ぇっ!!」
その叫びと同時に——
ドンッ!!
横から飛び込んできた影。
「——っ!?」
男は一瞬宙に浮き、次の瞬間、かかと落としが叩き込まれ、床に沈んだ。
「……っ」
静寂。
美羽は、目を見開く。
「……秋人くん?!」
秋人は、軽く肩を回しながら、不敵に笑った。
「大丈夫かい?Crazy girl?」
そして、ウインク。
「いや、クレイジーじゃないから!!」
即座に飛ぶ美羽のツッコミ。
そのやり取りを見て、椿は——深く、息を吐いた。
「……はぁ」
胸に溜まっていた不安が、ゆっくりとほどけてい
く。
(無事で……よかった)
美羽は振り返り、椿を見上げた。
少し強がった笑顔だった。



