潮風が、二人の間をすり抜けていく。
波は相変わらずきらきらと光っているのに、美羽の胸の奥はひどく苦しかった。
抱き締められたまま、
椿は、ゆっくりと言葉を落とした。
「……4年」
「……え?」
美羽は、思わず顔を上げる。
涙で滲んだ視界の向こう、椿の表情は真剣だった。
「4年経ったら、帰ってくる」
「だから……俺を、待っててほしい」
その瞬間、張り詰めていた何かが音を立てて崩れた。
「……っ」
美羽の涙が、一気に溢れ出す。
ぽろぽろ、ぽろぽろと止まらない。
「ばか……!」
「長いよ!!」
美羽は、椿の胸をぽかぽかと叩いた。
力なんてない、ただの八つ当たり。
「……ごめん」
椿は、そう言って、さらに強く抱き締める。
「私が……」
「私が浮気しちゃったら、どーすんのよ!?」
また、ぽかぽかと椿の胸を叩く。
「……それは、嫌だな」
椿は、少し困ったように答えた。
「じゃあ!!」
「秋人くんに、すがりついちゃうかもしれないよ!?」
また、胸を叩く。
椿は、苦笑いを浮かべながら、少しだけ目を伏せた。
「……それは、妬けるな」
その声が、あまりにも寂しそうで。
「何よそれ!」
「私はっ……!」
言いかけた、その瞬間。
椿は、美羽の顎にそっと手を添え、
迷いなく、唇を重ねた。
「……んっ」
美羽は、一瞬目を見開き、
そして、ゆっくりと目を閉じる。
波の音。
潮の匂い。
体温。
全部が、椿だった。
やがて、椿は名残惜しそうに唇を離す。
「……美羽」
低く、震える声。
「もし……、俺が帰ってきて…そのとき、まだ美羽が、俺を好きでいてくれたら——」
一瞬の間。
「……美羽。俺と、"結婚してほしい"」
時間が、止まった。
「……っ」
美羽は、目を見開いたまま固まる。
顔が、熱くて、熱くて、どうしようもない。
次の瞬間——
「……何それぇ……」
声が、震えた。
「ずるい!!」
「そんなの……ずるいよ……!!」
美羽は、その場に崩れるように泣き出した。
嗚咽混じりで、言葉にならない。
「……ごめん」
椿は、苦笑いしながら、美羽の背中を撫でる。
「俺、ほんと……」
「美羽を泣かせてばっかりだな」
しばらく、二人はただ抱き締め合っていた。
泣き声が、波音に溶けていく。
やがて、美羽の涙が落ち着いた頃。
椿は、そっと美羽の額に触れ、優しく言った。
「……美羽、可愛い。ずっと好きだ、愛してる」
そう言って、もう一度、キスをする。
今度は、深く、ゆっくりと。
海の光が反射して、
椿の瞳が、宝石みたいに輝いていた。
美羽は、震える声で答える。
「……私も椿くんが、ずっと好きだよ」
「泣いてばっかりで……ごめんなさい」
「謝るな」
椿は、また美羽を抱き締めた。
「それも全部、好きだ」
海辺に、夕陽が差し込み始める。
二人の影が、ゆっくりと重なった。
——離れる時間は、ある。
——不安も、きっと消えない。
それでも。
この海辺で交わした約束は、
確かに、二人の未来を結びつけていた。
四年分の距離と、
一生分の想いを抱えて。
波は相変わらずきらきらと光っているのに、美羽の胸の奥はひどく苦しかった。
抱き締められたまま、
椿は、ゆっくりと言葉を落とした。
「……4年」
「……え?」
美羽は、思わず顔を上げる。
涙で滲んだ視界の向こう、椿の表情は真剣だった。
「4年経ったら、帰ってくる」
「だから……俺を、待っててほしい」
その瞬間、張り詰めていた何かが音を立てて崩れた。
「……っ」
美羽の涙が、一気に溢れ出す。
ぽろぽろ、ぽろぽろと止まらない。
「ばか……!」
「長いよ!!」
美羽は、椿の胸をぽかぽかと叩いた。
力なんてない、ただの八つ当たり。
「……ごめん」
椿は、そう言って、さらに強く抱き締める。
「私が……」
「私が浮気しちゃったら、どーすんのよ!?」
また、ぽかぽかと椿の胸を叩く。
「……それは、嫌だな」
椿は、少し困ったように答えた。
「じゃあ!!」
「秋人くんに、すがりついちゃうかもしれないよ!?」
また、胸を叩く。
椿は、苦笑いを浮かべながら、少しだけ目を伏せた。
「……それは、妬けるな」
その声が、あまりにも寂しそうで。
「何よそれ!」
「私はっ……!」
言いかけた、その瞬間。
椿は、美羽の顎にそっと手を添え、
迷いなく、唇を重ねた。
「……んっ」
美羽は、一瞬目を見開き、
そして、ゆっくりと目を閉じる。
波の音。
潮の匂い。
体温。
全部が、椿だった。
やがて、椿は名残惜しそうに唇を離す。
「……美羽」
低く、震える声。
「もし……、俺が帰ってきて…そのとき、まだ美羽が、俺を好きでいてくれたら——」
一瞬の間。
「……美羽。俺と、"結婚してほしい"」
時間が、止まった。
「……っ」
美羽は、目を見開いたまま固まる。
顔が、熱くて、熱くて、どうしようもない。
次の瞬間——
「……何それぇ……」
声が、震えた。
「ずるい!!」
「そんなの……ずるいよ……!!」
美羽は、その場に崩れるように泣き出した。
嗚咽混じりで、言葉にならない。
「……ごめん」
椿は、苦笑いしながら、美羽の背中を撫でる。
「俺、ほんと……」
「美羽を泣かせてばっかりだな」
しばらく、二人はただ抱き締め合っていた。
泣き声が、波音に溶けていく。
やがて、美羽の涙が落ち着いた頃。
椿は、そっと美羽の額に触れ、優しく言った。
「……美羽、可愛い。ずっと好きだ、愛してる」
そう言って、もう一度、キスをする。
今度は、深く、ゆっくりと。
海の光が反射して、
椿の瞳が、宝石みたいに輝いていた。
美羽は、震える声で答える。
「……私も椿くんが、ずっと好きだよ」
「泣いてばっかりで……ごめんなさい」
「謝るな」
椿は、また美羽を抱き締めた。
「それも全部、好きだ」
海辺に、夕陽が差し込み始める。
二人の影が、ゆっくりと重なった。
——離れる時間は、ある。
——不安も、きっと消えない。
それでも。
この海辺で交わした約束は、
確かに、二人の未来を結びつけていた。
四年分の距離と、
一生分の想いを抱えて。



