幽体離脱な俺の変わっている彼女


   ***

 年明け。新学期が始まった。
 購買で買ってきたパンを手に提げながら俺は自分の椅子に腰を下ろした。うちの高校の購買のパンは種類が豊富だ。昼飯はここのパンと決めている。
 俺は鞄の中からクッキーの包みを取り出した。冬休みに彼女とデートした時に買ったうさぎやのクッキーだ。これも食おう。
「……ほんと、俺の彼女変わってる」
 教室の窓から外を見てクッキーをかじりながら俺は呟いた。
「お、どうしたどうした」
 安達がやってきてわくわくした様子で尋ねてきた。前の席の椅子に逆向きに腰掛ける。
「いや、クリスマスプレゼント、喜ばれた」
「いやそれ、別に変わってないから」
 安達のツッコミにあいまいに頷きながら、窓の外を眺める。パンを一口かじった。
「いいや。変わっている」
「どんなとこがだよ?」
 窓の外に、見知った顔が見えた。ベンチに向かって歩く数人の女子の集団の中に、彼女はいた。寒いのに、外でお昼を食べるらしい。 俺がずっと見つめていると、こちらに気付いたようだ。両手を挙げて元気に手を振ってくれる。
「あ。葉山さんじゃん」
「うん」
 俺はにっこり笑って彼女に手を振り返した。葉山は女の子たちにどつかれている。「見せつけんな!」という笑い声がかすかに聞こえてきた。
「ほんと、俺の彼女変わってる」
「だから、どこが」
「かわいすぎる」
 真顔でそう言うと、安達は「ノロケは一日一回までにしてくださーい!」とため息をついた。