◆電話と逆ギレ
課長からの電話。受話器を取るやいなや、トムは息を吸い込むように言った。「いただいてるお電話で恐縮なんですが、今ちょうど次回配信の衣装を決めてまして――あ、すみません、今から出かけるので」
ぷつん。
課長は、まだ口を開いてもいなかった。もう一度かけ直す。だが今度は留守電。仕方なく短いメッセージを残すが、その声が再生されることは、二度となかった。
会議で注意される。「何かと言い返さないと気が済まないみたいだけど、そういうのはやめたほうがいいよ」トムは椅子をわずかに引き、唇を尖らせて言い放つ。「言い返してませんけど!」
その瞬間、空調の音だけが残った。部屋の空気が一枚、氷に変わる。
課長からの電話。受話器を取るやいなや、トムは息を吸い込むように言った。「いただいてるお電話で恐縮なんですが、今ちょうど次回配信の衣装を決めてまして――あ、すみません、今から出かけるので」
ぷつん。
課長は、まだ口を開いてもいなかった。もう一度かけ直す。だが今度は留守電。仕方なく短いメッセージを残すが、その声が再生されることは、二度となかった。
会議で注意される。「何かと言い返さないと気が済まないみたいだけど、そういうのはやめたほうがいいよ」トムは椅子をわずかに引き、唇を尖らせて言い放つ。「言い返してませんけど!」
その瞬間、空調の音だけが残った。部屋の空気が一枚、氷に変わる。



