うちのトム知りませんか?

◆エピローグ
人口ピラミッドの未来予測で新築着工数が減少し、既築住宅のリフォーム需要が増加すると分析されていた頃から早20年程が経過した。エコノミストの予想通り、リフォーム需要は増え、ホームセンターや家電量販店などが次々とリフォームマーケットに参入した事で群雄割拠する激戦市場となった。そこで闘うリフォーム戦士は幅広い知識とスキルを求められ、生き残る為には智慧と忍耐が必要だ。その為、勤続3年で「ベテラン」と呼ばれる。ウチは中堅ハウスメーカーのリフォーム部隊。立ち上げ4年目。リフォーム業界としては後発組の新鋭というポジションで着実に業績を伸ばしていた。本隊の名は知られているが、リフォーム部隊の知名度はまだ低く、人手不足は否めない。そんな我が部隊に彗星の如く現れたのが「居長トム」42歳男、2人の子持ち(女の子)大手ハウスメーカーの元リフォーム部隊のトップセールスで年間1億円以上売り上げた凄腕営業マン。履歴書の写真はとてもアラフォーとは思えない。20代にしか見えない爽やかイケメン。こんな人が何でウチに応募してきたんだろう?彼の正体を課長も三浦も山田も、まだ何も知らない。

――この人が来ることで部隊は変わるのか?それとも……?期待と不安が入り混じる中、扉の向こうにトムが現れる。