【番外編 恋人になってからの、放課後】
恋人になってから、世界が急に変わったわけじゃない。
相変わらず学校は慌ただしいし、部活は忙しい。
でも――。
「澪」
名前を呼ばれるだけで、胸が温かくなるようになった。
放課後の弓道場。
私はいつものように弓を構えながら、
入口の方をちらりと見る。
そこに立っていたのは、
私の――恋人。
「見に来ちゃった」
制服じゃない颯真先輩は、
もう“先輩”じゃないはずなのに、
その呼び方が抜けなくて、少しだけくすぐったい。
「集中しろ」
そう言いながらも、
視線はずっと私を追っている。
独占欲、ちょっと強め。
でも、その目は優しい。
練習が終わって、二人で帰る道。
自然に、指が絡まった。
「……離れないでよ」
小さく言われて、思わず笑ってしまう。
「離れません」
そう答えると、
先輩――颯真は、満足そうに目を細めた。
「じゃあ、約束」
そう言って、
今度は遠慮なく、キスをする。
春の夕暮れ。
放課後に始まった恋は、
ちゃんと日常になって、
それでも、特別なままだった。
恋人になってから、世界が急に変わったわけじゃない。
相変わらず学校は慌ただしいし、部活は忙しい。
でも――。
「澪」
名前を呼ばれるだけで、胸が温かくなるようになった。
放課後の弓道場。
私はいつものように弓を構えながら、
入口の方をちらりと見る。
そこに立っていたのは、
私の――恋人。
「見に来ちゃった」
制服じゃない颯真先輩は、
もう“先輩”じゃないはずなのに、
その呼び方が抜けなくて、少しだけくすぐったい。
「集中しろ」
そう言いながらも、
視線はずっと私を追っている。
独占欲、ちょっと強め。
でも、その目は優しい。
練習が終わって、二人で帰る道。
自然に、指が絡まった。
「……離れないでよ」
小さく言われて、思わず笑ってしまう。
「離れません」
そう答えると、
先輩――颯真は、満足そうに目を細めた。
「じゃあ、約束」
そう言って、
今度は遠慮なく、キスをする。
春の夕暮れ。
放課後に始まった恋は、
ちゃんと日常になって、
それでも、特別なままだった。


