【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~戦闘力ゼロの追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と送る甘々ライフ~

 レオンたちも王妃たちも女神の歌声につい涙をこぼしてしまった。

 あの日どん底の絶望の中から這い上がり、ついにここまで来た。築き上げた理想郷、笑顔が溢れる国、百万人の民が幸せに暮らしている。

 その苦闘の歴史を最高神が高らかに歌い上げねぎらってくれている、こんな幸せなことが、こんな光栄なことがあるだろうか。

「ぱぱ、ないてるの?」

 黒髪の(りん)が不思議そうにレオンの袖を掴んだ。いつの間にか目を覚ましていたらしく、大きな黒い瞳がレオンを見上げている。

「うん……。幸せすぎて……ね」

 レオンは涙を拭おうともせず微笑んだ。拭く必要などなかった、これは恥ずかしい涙ではなく誇らしい涙だ。

「ふぅん、しあわせでもなくのね……」

 (りん)は小首を傾げた。三歳児にはまだ分からないだろう、幸せで泣くということが、嬉しくて涙が出るということが。しかしいつか分かる日が来る、その時この子は何を思うだろうか。きっと自分と同じ顔をして泣くのだろう。その時まで、この国を守り続けよう、この幸せを次の世代に繋いでいこうと、レオンは心に誓った。


           ◇


 その時、大きな打ち上げ花火がドンドン!と打ち上げられ、虹色の大輪が次々と目の前で花開いていった。それはこの国の十五周年を祝う祝砲であり、新しい時代の始まりを告げるファンファーレだった。

「うわぁ!」

 目を輝かせた(りん)がパタパタパタと飛び上がっていく。背中の金色の翼が花火の光を受けてきらきらと輝いている。

「おい! ダメ! 危ないから!」

 レオンが慌てて手を伸ばしたが届かず、小さな天使はもう手の届かない高さまで飛んでいってしまった。横を見れば璃愛(りあ)星羅(せいら)緋奈(ひな)も同じように飛び上がり、花火の方へと飛んでいく。

「きゃははは!」「すごいすごーい!」「わーい!」「きれー!」

 四人の天使が夜空を舞っている。花火の光の中で金色の翼が輝き、赤い光を浴び、青い光を浴び、金色の光を浴びて、小さなシルエットが光の中で踊っている。その姿はまるで絵本の中から飛び出してきたようだった。

「「「「戻ってきなさい!」」」」

 四人のレオンの声がハモって夜空に響いたが、子供たちは聞いていない。夢中で花火を追いかけ、キャッキャッと楽しそうな笑い声を夜空に響かせている。

 王妃たちはその光景を見て顔を見合わせ、ため息をついてから微笑んだ。

「もう、しょうがないわね」というエリナの呟きには諦めと愛情が混じっている。

「あの子たち、完全に天使に心奪われちゃったわね」とルナが苦笑する。

熾天使(セラフ)の弟子かぁ……大変なことになりそう」とシエルが頭を掻く。

「でも、楽しそうでいいじゃない。ふふっ」とミーシャがいつもの聖女の微笑みを浮かべた。

 レオンたちは花火をバックに飛び回る天使見習いたちを見つめた。花火と金色の翼、それはこの国の未来を象徴しているようだった。小さな天使たちが大きな空を舞っている、今はまだ不格好な飛び方だが、いつかあの子たちは大空を自由に翔けるようになるだろう。

 困難はあるだろう、試練はあるだろう、シアンはまた無茶な要求をしてくるだろう。しかし怖くはなかった。隣には愛する人がいて、空には愛する子供たちが飛んでいて、この国には百万人の仲間がいる。何があっても乗り越えていけると、そう確信できた。


         ◇


 こうして波乱万丈の収穫祭は幕を閉じた。

 熾天使(セラフ)の襲来という予想外のハプニングはあったものの結果的には大成功で、いやむしろあのハプニングがあったからこそこの祭りは伝説になった。

 「神族に勝った日」としてこの日は永遠に語り継がれることになり、酒場で家庭で学校で、「あの日俺もエアモンを飛ばしたんだ」「私も声援を送ったのよ」「僕たちは神に勝ったんだ」という言葉が何度も何度も語られることになる。

 そしてレオンとその家族たちの日常は、さらにいっそう賑やかになっていく。

 十年後、四人の姫君たちはシアンの弟子として天界の修行のため、海王星へ留学することになった。

 最初は心配だったレオンたちも、子供たちの成長を見るうちに次第に安心するようになっていった。

 (りん)はエリナ譲りの剣の才能を開花させ天界でも一目置かれる存在になり、

 緋奈(ひな)はルナ譲りの炎の魔法を習得してその火力は師匠のシアンをも驚かせ、

 星羅(せいら)はシエル譲りの弓の腕前を磨いて百発百中の精度を誇るようになり、

 璃愛(りあ)はミーシャ譲りの策略家の才能を発揮して天界の政治にまで影響を与えるようになった。

 子供には子供の人生がある。親にできるのは見守ることだけ。そしていつでも帰ってこられる場所を用意しておくことだけだ。

 さらに十年後、四人の姫君たちは立派な天使として成長し、宇宙を股にかけて大暴れすることになる。「アルカナの四天使」としてその名が宇宙中に轟き、暴走する星を止めた話、滅びかけた文明を救った話、宇宙海賊を壊滅させた話、そのどれもが英雄譚として語り継がれることになる。

 しかしどれだけ強くなってもどれだけ有名になっても、彼女たちは必ず帰ってきた。大アルカナ王国へ、父と母のいる場所へ。

 「ただいま」と言って玄関をくぐり、「おかえり」と言って家族が迎える、それだけで彼女たちの心は満たされた。

 そこが彼女たちの原点だから、そこが彼女たちの故郷だから、どれだけ遠くへ行っても必ず帰ってくる場所、それが家族というものなのだ。

 ――そのお話はまたの機会に。


       ◇


 夜空に最後の花火が打ち上がった。それは金色の翼を持った天使の形をしていて、四人の天使が夜空で手を繋いでいる。

 その光が消えるまでレオンたちは空を見上げ続けた。

 大アルカナ王国の新しい夜明けはすぐそこまで来ていた。