レオンは、少女たちの顔を一人一人見つめた。
エリナ。ミーシャ。ルナ。シエル。
それぞれが深い傷を抱え、絶望の底を知っている。
「今朝、追放され、絶望に打ちひしがれていた僕の前に……」
レオンの声に、感謝の響きが宿った。
今朝のことを思い出す。
カインに殴られ、セリナに捨てられ、冷たい石畳の上に這いつくばっていた。
全てを失い、死すら覚悟した瞬間。
あの時、本当に終わりだと思った。
なのに――。
「君たち四人が、現れてくれた」
路地裏で出会った、四人の少女。
傷だらけで、汚れていて、絶望の底にいた彼女たち。
でも、その瞳の奥には、消えない光があった。
その光を見た瞬間、レオンは確信したのだ。
まだ、終わりじゃない。ここから、始まるのだと。
「それが僕の人生を、最高にラッキーに輝かせてくれたんだ」
レオンは、微笑んだ。
心からの、感謝を込めた笑顔。
「まさに君たちは、僕が見つけた『四つ葉のクローバー』だ」
四つ葉のクローバー。
幸運の象徴。見つけた者に幸せをもたらすという、奇跡の葉。
四人の少女たちが、まさにそれだった。
「僕にとっては、この出会いのためのパーティ名にしか見えないんだ」
四人が、息を呑んだ。
「君たちが幸運を願って付けた名前が、僕に幸運を運んできてくれた」
レオンの翠色の瞳が、温かく輝いている。
「そして、その幸運は、君たちにも等しく降り注ぐ」
僕だけじゃない、みんな幸せになるのだ。
エリナの硬い表情が、ゆっくりとほぐれていった。
「ははっ」
伸びやかな笑い声。
「まさか、そんなめぐり合わせがあるとはね」
漆黒の瞳に、涙が滲んでいる。
でも、それは悲しみの涙ではなかった。
「四つ葉のクローバーが、本当に幸運を運んでくるなんて……」
シエルが、感慨深そうに呟いた。
「こうなることが、分かってたみたい……」
銀髪が、ランプの光を受けて輝いている。
「名前の通りになった……。ふふっ、いいじゃない」
ミーシャが本心からの温かい笑顔を浮かべた。
「でも……」
ルナが、困ったように皆の顔を見回す。
「もう四つ葉じゃないよね。五人になっちゃった……」
その言葉に、全員がハッとした。
「うーん、『五つ葉』ってわけにもいかないしねぇ……」
シエルが、首を傾げた。
五つ葉のクローバー。
それは、稀少ではあるが、必ずしも良い意味ではない。
「不幸を呼ぶ」とも、「金運だけは上がるが、他の運が下がる」とも言われている。
パーティ名としては、あまり縁起が良くなかった。
「さて……」
レオンも、腕を組んで考え込んだ。
「名前を決めるのって、難しいんだよな……」
沈黙が流れる。
全員で新しいパーティ名を考えたが――なかなか良い案が浮かばない。
「五人組」では味気ない。
「星」や「月」などキラキラした名前は、他のパーティとかぶりそうだ。
うんうんと唸る五人。
その時だった。ミーシャが、優雅に手を口元に当てた。
「それなら」
聖女の微笑み。
「『アルカナ』は、いかがでしょう?」
その言葉に、全員の視線が集まった。
「へ?」
ルナが、きょとんとした顔をする。
「アルカナ?」
エリナが、聞き慣れない言葉に首を傾げる。
レオンも、その言葉に惹かれるものを感じた。
アルカナ。
どこかで聞いたことがある。でも、詳しい意味は知らない。
「古い言葉で、『秘密』『神秘』という意味ですわ」
ミーシャが、金髪を優雅にかき上げた。
「タロットカードでは、運命のカードとも呼ばれているの」
タロットカード。
未来を占うための、神秘的なカード。
その中核を成すのが、「大アルカナ」と呼ばれる二十二枚のカード。
愚者、魔術師、女教皇、皇帝、恋人、戦車、運命の輪……。
それぞれが、人生の重要な転機や、運命の分岐点を象徴している。
「まだ誰も知らない、私たちの本当の力……」
ミーシャの空色の瞳が、神秘的な光を宿した。
そして、一人一人を見つめながら、言葉を紡いでいく。
「隠された才能……、秘められた可能性……まだ見ぬ未来……」
「そして、何より――」
最後に、レオンを見つめた。
空色の瞳が、真っ直ぐにレオンを捉えている。
「自分の運命を、自分の手でめくっていく」
運命を、受け入れるのではない。
運命を見据え、自分たちの手でカードをめくって変えていくのだ。
新しい未来を、切り開く。
「まさに、私たちにぴったりではありませんこと?」
ミーシャは、自信を映す微笑みを見せた。
シエルの碧眼が、子供のように輝いた。
「アルカナ……運命のカード……」
その言葉を、何度も口の中で転がす。
「いい響き……。なんか、かっこいい」
ルナが、両手を胸の前で組んだ。
まるで、祈るように。
エリナ。ミーシャ。ルナ。シエル。
それぞれが深い傷を抱え、絶望の底を知っている。
「今朝、追放され、絶望に打ちひしがれていた僕の前に……」
レオンの声に、感謝の響きが宿った。
今朝のことを思い出す。
カインに殴られ、セリナに捨てられ、冷たい石畳の上に這いつくばっていた。
全てを失い、死すら覚悟した瞬間。
あの時、本当に終わりだと思った。
なのに――。
「君たち四人が、現れてくれた」
路地裏で出会った、四人の少女。
傷だらけで、汚れていて、絶望の底にいた彼女たち。
でも、その瞳の奥には、消えない光があった。
その光を見た瞬間、レオンは確信したのだ。
まだ、終わりじゃない。ここから、始まるのだと。
「それが僕の人生を、最高にラッキーに輝かせてくれたんだ」
レオンは、微笑んだ。
心からの、感謝を込めた笑顔。
「まさに君たちは、僕が見つけた『四つ葉のクローバー』だ」
四つ葉のクローバー。
幸運の象徴。見つけた者に幸せをもたらすという、奇跡の葉。
四人の少女たちが、まさにそれだった。
「僕にとっては、この出会いのためのパーティ名にしか見えないんだ」
四人が、息を呑んだ。
「君たちが幸運を願って付けた名前が、僕に幸運を運んできてくれた」
レオンの翠色の瞳が、温かく輝いている。
「そして、その幸運は、君たちにも等しく降り注ぐ」
僕だけじゃない、みんな幸せになるのだ。
エリナの硬い表情が、ゆっくりとほぐれていった。
「ははっ」
伸びやかな笑い声。
「まさか、そんなめぐり合わせがあるとはね」
漆黒の瞳に、涙が滲んでいる。
でも、それは悲しみの涙ではなかった。
「四つ葉のクローバーが、本当に幸運を運んでくるなんて……」
シエルが、感慨深そうに呟いた。
「こうなることが、分かってたみたい……」
銀髪が、ランプの光を受けて輝いている。
「名前の通りになった……。ふふっ、いいじゃない」
ミーシャが本心からの温かい笑顔を浮かべた。
「でも……」
ルナが、困ったように皆の顔を見回す。
「もう四つ葉じゃないよね。五人になっちゃった……」
その言葉に、全員がハッとした。
「うーん、『五つ葉』ってわけにもいかないしねぇ……」
シエルが、首を傾げた。
五つ葉のクローバー。
それは、稀少ではあるが、必ずしも良い意味ではない。
「不幸を呼ぶ」とも、「金運だけは上がるが、他の運が下がる」とも言われている。
パーティ名としては、あまり縁起が良くなかった。
「さて……」
レオンも、腕を組んで考え込んだ。
「名前を決めるのって、難しいんだよな……」
沈黙が流れる。
全員で新しいパーティ名を考えたが――なかなか良い案が浮かばない。
「五人組」では味気ない。
「星」や「月」などキラキラした名前は、他のパーティとかぶりそうだ。
うんうんと唸る五人。
その時だった。ミーシャが、優雅に手を口元に当てた。
「それなら」
聖女の微笑み。
「『アルカナ』は、いかがでしょう?」
その言葉に、全員の視線が集まった。
「へ?」
ルナが、きょとんとした顔をする。
「アルカナ?」
エリナが、聞き慣れない言葉に首を傾げる。
レオンも、その言葉に惹かれるものを感じた。
アルカナ。
どこかで聞いたことがある。でも、詳しい意味は知らない。
「古い言葉で、『秘密』『神秘』という意味ですわ」
ミーシャが、金髪を優雅にかき上げた。
「タロットカードでは、運命のカードとも呼ばれているの」
タロットカード。
未来を占うための、神秘的なカード。
その中核を成すのが、「大アルカナ」と呼ばれる二十二枚のカード。
愚者、魔術師、女教皇、皇帝、恋人、戦車、運命の輪……。
それぞれが、人生の重要な転機や、運命の分岐点を象徴している。
「まだ誰も知らない、私たちの本当の力……」
ミーシャの空色の瞳が、神秘的な光を宿した。
そして、一人一人を見つめながら、言葉を紡いでいく。
「隠された才能……、秘められた可能性……まだ見ぬ未来……」
「そして、何より――」
最後に、レオンを見つめた。
空色の瞳が、真っ直ぐにレオンを捉えている。
「自分の運命を、自分の手でめくっていく」
運命を、受け入れるのではない。
運命を見据え、自分たちの手でカードをめくって変えていくのだ。
新しい未来を、切り開く。
「まさに、私たちにぴったりではありませんこと?」
ミーシャは、自信を映す微笑みを見せた。
シエルの碧眼が、子供のように輝いた。
「アルカナ……運命のカード……」
その言葉を、何度も口の中で転がす。
「いい響き……。なんか、かっこいい」
ルナが、両手を胸の前で組んだ。
まるで、祈るように。



