【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~戦闘力ゼロの追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と送る甘々ライフ~

 その後も大盛り上がりの中イベントは進行し、日が傾いてきて空が茜色に染まっていく――。

 会場に司会のアリスの声が響いた。

『本日最後を締めくくるのは、アルカナ大学三年生のシンガーソングライター、美奈(みな)ちゃんでーす!』

「お、これで最後らしいよ」

 レオンはステージの袖から姿を現した、美しい女子大生を見下ろした。

 チェストナットブラウンの髪を優美に揺らしながら、ゆっくりとステージの中央へと歩いていく。白いワンピースが風に揺れ、スポットライトを受けて輝いている。その姿は、場違いなほどにたおやかで、それでいて凛とした強さを感じさせた。

「みーなちゃーーん!!」「頑張ってー!!」「大好きー!!」

 会場から熱狂的な声援が上がった。かなりの人気者らしい。数十万人の観客の中に、彼女のファンが大勢いるのだろう。

 美奈はマイクを手に取ると、静かに息を吸い込んだ。その瞬間、会場が静まり返る。数十万人の視線が、彼女一人に集中した。

「『響けArcana(アルカナ)』です。聴いてね……」

 彼女の声は、静かだが芯のある響きを持っていた。

 そして、演奏が始まる――。


      ◇


 アップテンポのイントロが流れ始めると、美奈は目を閉じて音楽に身を委ねた。そして、その瞳を開いた瞬間、のびやかな歌声が一気に会場を圧倒した――。

『崩れ落ちた朝 色彩(いろ)を失くした世界で♪』

 会場に、どよめきが走った。

 その声は、少しハスキーで、どこか切なさを帯びていた。しかし同時に、魂の奥底から湧き上がるような力強さがあった。聴く者の心を鷲掴みにして、離さない。そんな声だった。

『傷だらけの弱さを 見せ合えたあの日から♪』

 歌詞が、レオンの胸に突き刺さる。

 十五年前、仲間たちと出会った日のことを思い出す。みんな、傷ついていた。みんな、弱さを抱えていた。しかしだからこそ、互いを支え合うことができたのだ。

『凍てついた針が 動き始めたね♪』

 美奈の声が、会場いっぱいに響き渡る。観客たちは、魅入られたように動かなくなっていた。誰もが動きを止め、ただその歌声に聴き入っている。

「おぉ……これはすごいよ」

 レオンは思わず声を漏らし、知らず知らずのうちに湧き上がってくる涙をぬぐいながら、レヴィアに振り返った。

「ん……? な、なんじゃ……?」

 レヴィアはポテトチップの袋を抱えたまま、のそりとソファーから起き上がった。面倒くさそうに窓辺までやってきて、ステージを見下ろし――。

 ポトリ。

 その手から、ポテトチップの袋が落ちた。

「へ……? ま、まさか……」

 レヴィアの顔に、驚愕が広がっていく。

 怠惰な少女の表情が消え、深紅の瞳が大きく見開かれ、唇が微かに震えている。

『響け Arcana この空の果てまで♪』

 サビに入ると、美奈の声はさらに力強さを増した。

『「ゼロ」だった僕らの()が 未来を掴んだ♪』

 その美しい歌声が会場に響き渡り、観客たちの心を震わせる。涙を流している者がいる。拳を握りしめている者がいる。隣の人と手を取り合っている者がいる。

 この歌は、この国の物語だった。

 何もなかった場所から始まり、みんなで力を合わせて、ここまで来た。その道のりを、美奈は歌にしていたのだ。

「ちょっと、ポテチこぼさないでよ……」

 レオンはポテトチップの袋を拾い上げながら、レヴィアに声をかけた。しかし、レヴィアは口をポカンと開けたまま固まっている。

「何? この歌気に入った? いい曲だよね」

 レオンは不思議そうにレヴィアを見つめた。

 今まで面倒くさそうに「まぁまぁじゃな」程度の反応をするだけだったレヴィアが、こんな反応をするのは初めてだった。

『誰もが「不可能」だと (わら)い捨てた理想郷(ユートピア)♪』
『それでも君は 諦めなかったね♪』

 美奈の声が、さらに高みへと昇っていく。感情を込めて、魂を込めて、全身全霊で歌い上げている。

 上空に浮かぶディスプレイには、♡の数がリアルタイムで表示されていた。その数字が、信じられない速度で跳ね上がっていく。三十万、四十万、五十万……。今までのどのパフォーマンスも比較にならないほどの評価が、ステージの上空でカウントアップしていく。

 そして突然、レヴィアが動いた。

「これはイカン!」

 血相を変えて叫ぶと、レヴィアは指先で素早く宙を斬った。何もない空間に、まるで布を切り裂いたような亀裂が生まれる。光が漏れ出すその裂け目を両手で広げると、レヴィアはためらうことなくその中へと飛び込んでいった。

「え? ちょっと! どこ行くの?」

 レオンは慌てて呼び止めた。

「着替えるだけじゃ、待っとれ!」

 レヴィアはそう言い残して空間を閉じ、まるで最初からいなかったかのように消えていった。

 レオンは呆然と、レヴィアがいた場所を見つめた。

 着替える? なぜ今? 一体何が起きているのだ?

 レオンはレヴィアの真意を測りかね、首をかしげた。

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『響けArcana』は下記で公開中です(●´ω`●)
自分は日ごろから口ずさんでいます。
ぜひ、読者の方も歌ってくださいね♪

https://suno.com/s/8GRvEqL5FliiDcCp


響けArcana

崩れ落ちた朝 色彩(いろ)を失くした世界で
たった一人 膝を抱え震えていた
誰も信じられず 声さえ枯れた喉で
それでも君は 微かな運命(カード)に手を伸ばした


傷だらけの弱さを 見せ合えたあの日から
凍てついた針が 動き始めたね
ありふれた「大丈夫」が こんなにも温かく
凍えた心を溶かす 魔法に変わる


響け Arcana この空の果てまで
「ゼロ」だった僕らの()が 未来を掴んだ
カラッポだからこそ 詰め込めたね
溢れるほどの(きせき)


誰もが「不可能」だと (わら)い捨てた理想郷(ユートピア)
それでも君は 諦めなかったね
不可能の壁を何度でも
絆という名の光で照らして


正解のない道を選んで
転んで 迷って 泥だらけ
振り返れば そこには
黄金(きん)色に輝く足跡(ちず)がある


めくれ Arcana 星の海へ漕ぎ出せ
ルール飛び越え 世界を描け
痛みも悲しみも 全部翼に変えて
ほぅら 夜明けが来るぞ


守りたい人がいる 叶えたい約束も
ありがとう 出会ってくれて
ありがとう 信じてくれて
この奇跡を 絶対に離さない
ハッピーエンドの、その先へ

響け Arcana 永遠(とわ)に鳴り止まない
僕たちが選び取った 最高の物語(ストーリー)
さあ、行こう 新しい夜明けへ
(メジャー)アルカナの旗を 高らかに掲げて!