【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~戦闘力ゼロの追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と送る甘々ライフ~

 レオンは空を見上げた。

 青空の向こうにかすむ天蓋(キャノピー)のさらに向こうには、大宇宙が広がっている。

 熾天使(セラフ)は見ているだろうか?

 この光景を、どう思っているだろうか?

 『面白いことやってよ』と言ったあの気まぐれな神の使いは、少しは満足してくれただろうか。それとも、「まだまだだね」と肩をすくめているだろうか。

 んーーっ。

 やっぱりまだまだ、これからだ。

 レオンは小さく首を振り、心の中でそう呟いた。この国はまだ生まれたばかりで、やるべきことは山ほどある。神を納得させるには、もっともっと大きく、もっともっと輝かしい国にしなければならない。

 しかし、不思議と不安はなかった。

 だって、仲間がいる。民がいる。信じてくれる人々がいる。

 一人では無理でも、みんなとなら、きっとできる。

 レオンは再び観客に向かって手を振った。歓声が波のように押し寄せ、体の芯まで震わせる。

 夢は、まだ道半ばなのだから。

 そして、道半ばであることが、逆にレオンには嬉しかった。

 レオンは微笑む――。

 十五年前、すべてを失った少年の顔には、今、王としての誇りと、夢を追う者の輝きが宿っていた。


       ◇


 続いて、住民による歌やダンス、活動紹介が始まった。

 トップバッターはアルカナ大学のダンス部によるパフォーマンスで、揃いの衣装に身を包んだ十数人の若者たちがステージに現れると、会場から歓声が上がった。

 軽快な音楽が流れ始めると、彼女たちはキレッキレのダンスを披露し始める。腕の振り、足の運び、表情の一つ一つまで徹底的に練り上げられた動きは、見る者の心を躍らせた。

 可愛らしい笑顔を振りまきながら踊る姿に、会場は大盛り上がりとなる。

 このイベントでは、観客が評価をリアルタイムで送ることができる仕組みになっていた。♡1の「Good」から♡3の「Excellent」まで三段階で評価を送ると、それが空中に浮かぶ巨大なディスプレイに集計されていくのだ。

 ダンスが終わると、銀髪のアリスが拍手をしながらステージに現れた。

「素敵なパフォーマンスありがとうございます! ♡が349,113個! 平均♡2.3と大好評ですね! ありがとうございました!」

 その数字に、ダンス部のメンバーたちは抱き合って喜んでいる。一年間の練習の成果が、こうして数字になって返ってくる。それは、何よりも分かりやすい報酬だった。

 その後も、趣向を凝らした出し物が次々と続いた。

 アカペラグループによる美しいハーモニー、地元のワイナリーによる自慢のお酒のプレゼンテーション、子供たちによる可愛らしい劇、老人たちによる昔話の朗読。この一年間、この日のために準備してきた渾身のパフォーマンスが、次から次へと披露されていく。

 時にはブーイングが起こり、時には爆笑が起こり、時には涙を誘う場面もあった。観客たちは思い思いに♡を送り、歓声を上げ、この祭りを心から楽しんでいた。


        ◇


「レヴィア、どう? 今年はなかなか盛り上がってるよ?」

 アルカナタワーのロイヤル席からステージを見下ろしながら、レオンは背後に向かって声をかけた。

 ロイヤル席は、貴賓室のさらに上階に設けられた、王族専用の特別な空間だった。ガラス張りの壁面からは会場全体を一望でき、上質な調度品が並ぶ贅沢な部屋だ。しかし今、レヴィアはさっきまでの威厳ある姿など片鱗もなく、金髪オカッパの少女姿でソファーに寝転んでいた。着ているのはヘタったユニクロのフリースで、あちこちに毛玉が見える。足は行儀悪くソファーのひじ掛けに乗せていた。

「頑張ってはおるけど、まーだまだじゃな。学生のお遊戯って感じじゃ」

 レヴィアはつまらなそうにポテトチップをバリバリッと貪った。

 この姿を住民たちが見たら、腰を抜かすに違いない。あの神々しいドラゴンの正体が、ポテチを齧る怠惰な少女だとは、誰が想像できるだろうか。

「手厳しいなぁ……まぁ、まだみんな経験少ないからなぁ……」

 レオンは渋い顔をして口をキュッと結んだ。

 シアンに認めてもらうには、技術だけでは足りないのだ。単に「AIで自動化した社会を作りました」というだけでは、存在意義がない。シアンが求めているのは『面白いこと』であり、それは効率や便利さだけでは満たされない。

 聴いたことのない心に響く歌、見たことのない心躍らせるダンス、味わったことのない感動を呼ぶ物語。そういった斬新な文化の醸成が急務なのである。人間にしか生み出せない、魂の輝き。それこそが、この国の存在意義を証明するものなのだ。

「まぁ、そう簡単には行かんじゃろ。カッカッカ」

 レヴィアは笑いながらポテトチップをパリッとかじる。その態度は、まるで他人事のようだった。いや、実際、彼女にとっては他人事なのかもしれない。シアンがこの世界を吹き飛ばしたとしても、彼女には次の世界の仕事が割り当てられるだけなのだから。

 レオンは小さくため息をついた。まだまだ道は遠い。