ドラゴンは観客の目前を悠然と飛行し、その巨大な翼が起こす風が、前列の観客たちの髪を激しく揺らした。
大歓声が巻き起こる――。
まるで地震のような、体の芯まで響く歓声だ。
レオンは観客に大きく手を振りながら、その声援に応えた。純白のスーツが風になびき、翠色の瞳が喜びに輝いている。その姿は、まさに英雄そのものだった。
ドラゴンは一旦高く上がって旋回し、ステージへ向けて着陸態勢に入ると、大きな翼をはためかせて速度を落としていく。
地響きを起こしながらステージに着陸するさまを、観客たちは固唾を呑んで見守った。
湖面が大きく揺れ、波紋が同心円状に広がっていく。
おぉぉぉぉ!
無事ステージに降り立ったドラゴンに観衆は大歓声で手を振った。
降りてきたレオンに、エリナが笑顔で駆け寄る。
二人は軽くハグを交わし、エリナは幸せそうな笑顔でレオンの頬にそっとキスをした。
その姿を見て、会場から「きゃー!」という黄色い歓声が上がる。
国王と王妃。
十五年前、追放された少年と、復讐に囚われた少女だった二人――。
今はそんな面影はどこにもない、堂々たる輝かしい王族だった。
◇
レオンはエリナと手を繋いだまま前に進み出ると、観客に向かって両手を高々と掲げた。
歓声が、さらに大きくなる。
「みなさーん! 元気ですかーー?!」
レオンの声が、会場に響き渡った。
「「「「「元気ーーーー!!」」」」」
数十万人の声が、一つになってタワー群にこだました。
そのエネルギーは湖面を震わせ、空の果てまで響いていく。
「おっけー! 最高!!」
レオンはにこやかに右腕を突き上げ、そして少しだけ表情を引き締めた。
「今日はね、十五周年。十五年前のこの日、僕は熾天使様に言われたんだ」
会場が静まり、数十万人がレオンの言葉に耳を傾ける。
レオンは少し高い声色で、当時の言葉を再現した。
『面白いことやってよ』
その言葉に、会場がざわめいた。最高位の天使である熾天使が付きつけてくる哲学的な依頼。それは難解な謎解きのようにすら見える。
「これ、どういう意味かというと……」
レオンは肩をすくめて、苦笑いを浮かべた。
「面白いことやってくれないなら、この世界を焼き払うって意味なんだよね。まぁ、実質脅しですよ」
会場に笑いが広がった。しかし、その笑いの底には、緊張感が潜んでいた。この世界の根底に関わる『脅し』という言葉の重みを、彼らは理解しているのだ。
「でも、僕には夢があった」
レオンの声が、少しだけ柔らかくなった。
「『誰もが笑顔で暮らせる世界』を作りたいってね」
レオンは幸せそうに観客を見回した。
数十万人の希望に輝く瞳が、そこにある。みんな真っすぐにレオンを見つめている。
その一つ一つが、レオンの夢の結晶だった。
「そう、みんなのおかげで、夢はかないつつあるんだ」
レオンの声が、少しだけ震えた。
「ありがとう」
深々と、頭を下げた。
おぉぉぉぉ! という歓声とともに盛大な拍手が鳴り響いた。
たくさんのエアモンが舞い、多くの花びらが舞い降りてくる。
そんな華やかな風景の中で、みんな目をキラキラとさせながら自慢の我が国王を称賛していた。
◇
国王が、民に向かって頭を下げている――。
その姿に、レスター三世はキュッと口を結んだ。
自分は、民に頭を下げたことがあっただろうか。民に感謝したことがあっただろうか。いつも当然のように税を徴収し、当然のように忠誠を求め、当然のように君臨してきた。
この男は、違う。
この男は、民と共に歩んでいる。
そんなの偽善だし、欺瞞だと一蹴したかったが――なぜか負けた気がしてきてしまう。心の底ではわかっているのだ。彼が羨ましいと。
レスター三世はギリッと奥歯を鳴らすと、乱暴にシャンパンのグラスをグッとあおった。
◇
レオンは幸せそうに観客たちを見回す――。
そして、拍手の鳴りやむのを待ち、続けた。
「もちろん、この程度では熾天使様はご満足されないでしょう」
レオンはこぶしを握り、再び力強い声で続けた。
「もっと大きく、もっと魅力的に、もっと楽しい国にしていきたい。ぜひ、僕に力を貸してください!」
その言葉に、会場が爆発した。
「うぉぉぉぉぉ!!」
地鳴りのような大歓声が、空を震わせた。
数十万人が立ち上がり、拳を突き上げ、声の限りに叫んでいる。その熱狂は、まるで街が一つの生き物になったかのようだった。
レオンは満足そうにうなずくと、「ありがとう!!」と大きく手を振った。
その瞬間、彼の目に涙が滲んでいるのを見て、エリナの目にも熱いものがこみあげてくる。
大歓声が巻き起こる――。
まるで地震のような、体の芯まで響く歓声だ。
レオンは観客に大きく手を振りながら、その声援に応えた。純白のスーツが風になびき、翠色の瞳が喜びに輝いている。その姿は、まさに英雄そのものだった。
ドラゴンは一旦高く上がって旋回し、ステージへ向けて着陸態勢に入ると、大きな翼をはためかせて速度を落としていく。
地響きを起こしながらステージに着陸するさまを、観客たちは固唾を呑んで見守った。
湖面が大きく揺れ、波紋が同心円状に広がっていく。
おぉぉぉぉ!
無事ステージに降り立ったドラゴンに観衆は大歓声で手を振った。
降りてきたレオンに、エリナが笑顔で駆け寄る。
二人は軽くハグを交わし、エリナは幸せそうな笑顔でレオンの頬にそっとキスをした。
その姿を見て、会場から「きゃー!」という黄色い歓声が上がる。
国王と王妃。
十五年前、追放された少年と、復讐に囚われた少女だった二人――。
今はそんな面影はどこにもない、堂々たる輝かしい王族だった。
◇
レオンはエリナと手を繋いだまま前に進み出ると、観客に向かって両手を高々と掲げた。
歓声が、さらに大きくなる。
「みなさーん! 元気ですかーー?!」
レオンの声が、会場に響き渡った。
「「「「「元気ーーーー!!」」」」」
数十万人の声が、一つになってタワー群にこだました。
そのエネルギーは湖面を震わせ、空の果てまで響いていく。
「おっけー! 最高!!」
レオンはにこやかに右腕を突き上げ、そして少しだけ表情を引き締めた。
「今日はね、十五周年。十五年前のこの日、僕は熾天使様に言われたんだ」
会場が静まり、数十万人がレオンの言葉に耳を傾ける。
レオンは少し高い声色で、当時の言葉を再現した。
『面白いことやってよ』
その言葉に、会場がざわめいた。最高位の天使である熾天使が付きつけてくる哲学的な依頼。それは難解な謎解きのようにすら見える。
「これ、どういう意味かというと……」
レオンは肩をすくめて、苦笑いを浮かべた。
「面白いことやってくれないなら、この世界を焼き払うって意味なんだよね。まぁ、実質脅しですよ」
会場に笑いが広がった。しかし、その笑いの底には、緊張感が潜んでいた。この世界の根底に関わる『脅し』という言葉の重みを、彼らは理解しているのだ。
「でも、僕には夢があった」
レオンの声が、少しだけ柔らかくなった。
「『誰もが笑顔で暮らせる世界』を作りたいってね」
レオンは幸せそうに観客を見回した。
数十万人の希望に輝く瞳が、そこにある。みんな真っすぐにレオンを見つめている。
その一つ一つが、レオンの夢の結晶だった。
「そう、みんなのおかげで、夢はかないつつあるんだ」
レオンの声が、少しだけ震えた。
「ありがとう」
深々と、頭を下げた。
おぉぉぉぉ! という歓声とともに盛大な拍手が鳴り響いた。
たくさんのエアモンが舞い、多くの花びらが舞い降りてくる。
そんな華やかな風景の中で、みんな目をキラキラとさせながら自慢の我が国王を称賛していた。
◇
国王が、民に向かって頭を下げている――。
その姿に、レスター三世はキュッと口を結んだ。
自分は、民に頭を下げたことがあっただろうか。民に感謝したことがあっただろうか。いつも当然のように税を徴収し、当然のように忠誠を求め、当然のように君臨してきた。
この男は、違う。
この男は、民と共に歩んでいる。
そんなの偽善だし、欺瞞だと一蹴したかったが――なぜか負けた気がしてきてしまう。心の底ではわかっているのだ。彼が羨ましいと。
レスター三世はギリッと奥歯を鳴らすと、乱暴にシャンパンのグラスをグッとあおった。
◇
レオンは幸せそうに観客たちを見回す――。
そして、拍手の鳴りやむのを待ち、続けた。
「もちろん、この程度では熾天使様はご満足されないでしょう」
レオンはこぶしを握り、再び力強い声で続けた。
「もっと大きく、もっと魅力的に、もっと楽しい国にしていきたい。ぜひ、僕に力を貸してください!」
その言葉に、会場が爆発した。
「うぉぉぉぉぉ!!」
地鳴りのような大歓声が、空を震わせた。
数十万人が立ち上がり、拳を突き上げ、声の限りに叫んでいる。その熱狂は、まるで街が一つの生き物になったかのようだった。
レオンは満足そうにうなずくと、「ありがとう!!」と大きく手を振った。
その瞬間、彼の目に涙が滲んでいるのを見て、エリナの目にも熱いものがこみあげてくる。



