「で、国の名前はどうするんじゃ?」
レヴィアはレオンの顔を覗き込んだ。
「えっ!? 国名……?」
レオンは言葉に詰まった。自分たちの夢を載せる理想の国の名前など、すぐには思いつかない。
「う、うーん……、えーと……」
希望の国フェリシア? 笑顔の国リリア……?
どれもどこか作ったような響きで、胸にグッと来ない。
名前というのは大切だ。それは国の魂であり、理念の象徴であり、すべての民が誇りを持って口にするものでなければならない。
「そんなの『アルカナ』でいいわよ」
エリナは得意げに言った。黒曜石の瞳が珍しく悪戯っぽく輝いている。
「あ……そうだねぇ……」
レオンは考え込んだ。確かにアルカナが立ち上げる国なんだから「アルカナ」でいいのかもしれないが――それでは何か物足りない気がした。パーティと国では重みが違うのではないだろうか?
「同じなのは芸が無いわ。『大アルカナ』にしましょうよ。ふふっ」
ミーシャがいつもの微笑みを浮かべながら提案した。
「あーっ、いいねぇ! ふふふっ」
ルナがノリノリで腕を突き上げる。
「私も賛成!」
シエルも微笑んだ。
「確かに『より重要なカード』って意味なら確かにふさわしい……かな?」
レオンも頷いた。
大アルカナ――タロットカードの中でも特に重要な意味を持つ二十二枚のカード。愚者から始まり、世界で終わる、人生の旅路を象徴するカードたち。
それは自分たちがこれから歩もうとしている道のりにも、ふさわしい名前のように思えた。
愚者のように何も持たずに旅立ち、数々の試練を乗り越え、最後には「世界」というカードにたどり着く。すべてを統合し、完成を迎える。それこそが自分たちの目指す理想郷ではないか。
「パーティから国への大きなグレードアップね。いいじゃない」
エリナもまんざらではなさそうである。
「じゃあ『大アルカナ王国』としてプロジェクトを立ち上げるぞ!」
レヴィアは宙に指を滑らせた。虚空に見えない文字を描くように。
刹那、ポウッと淡い光が一行を包んだ。
「うわっ!」「えっ!?」「なにこれ?」
温かい光が身体の奥底まで染み渡っていく。まるで祝福を受けているかのような感覚。
「お主らを王族として指定しといたんじゃ。これで我のシステム運用上いろいろな権限が付与される」
レヴィアはパシパシと宙を指で叩きながら、何でもないことのように言った。
「お、王族!?」
ルナがキラリと目を輝かせた。
「え? 僕らが王様……ですか?」
レオンは信じられないという顔でレヴィアを見つめた。落ちこぼれたちが今、王族になろうとしている。追放され、蔑まれ、誰からも期待されなかった自分たちが――。
運命とはなんと皮肉なものなのだろう。
「お前らが国を作るんじゃろ? なら王様に決まっとろうが!」
その時、レヴィアはふと何かに気づいたように目を見開いた。
「……って、何じゃお主ら一夫多妻か!?」
「あ、いや、まぁ、これは……」
レオンはしどろもどろになる。
「はぁ、お盛んじゃな……」
レヴィアは呆れたように肩をすくめた。そして宙に浮かぶウィンドウをもう一度確認して、さらに目を丸くした。
「……って、さっき結婚したばっかりかい!? ほへぇ……」
その声には純粋な驚きが込められていた。
「面白い奴らだろ? くっくっく」
シアンも嬉しそうに笑った。碧い瞳が悪戯っぽく輝いている。
「想像以上じゃなぁ……」
レヴィアは改めてレオンたちを見回した。その緋色の瞳には呆れと、そしてどこか感心したような色が混じっている。
「でも、新婚さんならお祝いしないとね?」
シアンはにっこりと微笑み、パチンと指を鳴らした。
その瞬間、眩しい虹色の光が一行を包み込んだ。けれど不思議と目は痛くない。温かくて優しい光。まるで祝福そのものが形を持ったかのような、まるで天界からの贈り物のような。
光が晴れていくと、そこに立っていたのは。
「うわぁ! こ、これは……」
レオンは息を呑んだ。
なんとそこには、ウェディングドレスに身を包んだ四人の花嫁がいたのだ。
「素敵……」「夢みたい……」
少女たちの声が風に乗って響く。
エリナは、シンプルで気品のあるAラインのドレスに身を包んでいた。純白のシルクが彼女の凛とした美しさを際立たせている。戦場の女神が、今宵だけは花嫁になった。
ミーシャは、身体のラインに沿ったマーメイドラインのドレス。上半身から膝までぴったりとフィットし、そこから優雅に広がるシルエットが、彼女の大人の魅力を余すところなく引き出している。金色の髪がアップに纏められ、うなじが艶めかしく覗いていた。聖女の清らかさと、成熟した女性の色気が絶妙に調和している。
ルナは、ふんわりとしたプリンセスラインのドレス。小柄な身体を雲のようなチュールが包み込んでいる。赤い髪が繊細な編み込みでまとめられ、小さなティアラが星のように輝いていた。いつもの勝気な表情が今は恥ずかしそうに染まっていて、その姿はまるで童話から抜け出してきたお姫様のようだった。
シエルは、すっきりとしたスレンダーラインのドレス。シンプルだが上質な生地が彼女の気品を引き立てている。男装の麗人が今は完全な淑女として、そこに立っている。凛とした佇まいはそのままに、女性としての柔らかさが加わって、息を呑むほど美しかった。
レヴィアはレオンの顔を覗き込んだ。
「えっ!? 国名……?」
レオンは言葉に詰まった。自分たちの夢を載せる理想の国の名前など、すぐには思いつかない。
「う、うーん……、えーと……」
希望の国フェリシア? 笑顔の国リリア……?
どれもどこか作ったような響きで、胸にグッと来ない。
名前というのは大切だ。それは国の魂であり、理念の象徴であり、すべての民が誇りを持って口にするものでなければならない。
「そんなの『アルカナ』でいいわよ」
エリナは得意げに言った。黒曜石の瞳が珍しく悪戯っぽく輝いている。
「あ……そうだねぇ……」
レオンは考え込んだ。確かにアルカナが立ち上げる国なんだから「アルカナ」でいいのかもしれないが――それでは何か物足りない気がした。パーティと国では重みが違うのではないだろうか?
「同じなのは芸が無いわ。『大アルカナ』にしましょうよ。ふふっ」
ミーシャがいつもの微笑みを浮かべながら提案した。
「あーっ、いいねぇ! ふふふっ」
ルナがノリノリで腕を突き上げる。
「私も賛成!」
シエルも微笑んだ。
「確かに『より重要なカード』って意味なら確かにふさわしい……かな?」
レオンも頷いた。
大アルカナ――タロットカードの中でも特に重要な意味を持つ二十二枚のカード。愚者から始まり、世界で終わる、人生の旅路を象徴するカードたち。
それは自分たちがこれから歩もうとしている道のりにも、ふさわしい名前のように思えた。
愚者のように何も持たずに旅立ち、数々の試練を乗り越え、最後には「世界」というカードにたどり着く。すべてを統合し、完成を迎える。それこそが自分たちの目指す理想郷ではないか。
「パーティから国への大きなグレードアップね。いいじゃない」
エリナもまんざらではなさそうである。
「じゃあ『大アルカナ王国』としてプロジェクトを立ち上げるぞ!」
レヴィアは宙に指を滑らせた。虚空に見えない文字を描くように。
刹那、ポウッと淡い光が一行を包んだ。
「うわっ!」「えっ!?」「なにこれ?」
温かい光が身体の奥底まで染み渡っていく。まるで祝福を受けているかのような感覚。
「お主らを王族として指定しといたんじゃ。これで我のシステム運用上いろいろな権限が付与される」
レヴィアはパシパシと宙を指で叩きながら、何でもないことのように言った。
「お、王族!?」
ルナがキラリと目を輝かせた。
「え? 僕らが王様……ですか?」
レオンは信じられないという顔でレヴィアを見つめた。落ちこぼれたちが今、王族になろうとしている。追放され、蔑まれ、誰からも期待されなかった自分たちが――。
運命とはなんと皮肉なものなのだろう。
「お前らが国を作るんじゃろ? なら王様に決まっとろうが!」
その時、レヴィアはふと何かに気づいたように目を見開いた。
「……って、何じゃお主ら一夫多妻か!?」
「あ、いや、まぁ、これは……」
レオンはしどろもどろになる。
「はぁ、お盛んじゃな……」
レヴィアは呆れたように肩をすくめた。そして宙に浮かぶウィンドウをもう一度確認して、さらに目を丸くした。
「……って、さっき結婚したばっかりかい!? ほへぇ……」
その声には純粋な驚きが込められていた。
「面白い奴らだろ? くっくっく」
シアンも嬉しそうに笑った。碧い瞳が悪戯っぽく輝いている。
「想像以上じゃなぁ……」
レヴィアは改めてレオンたちを見回した。その緋色の瞳には呆れと、そしてどこか感心したような色が混じっている。
「でも、新婚さんならお祝いしないとね?」
シアンはにっこりと微笑み、パチンと指を鳴らした。
その瞬間、眩しい虹色の光が一行を包み込んだ。けれど不思議と目は痛くない。温かくて優しい光。まるで祝福そのものが形を持ったかのような、まるで天界からの贈り物のような。
光が晴れていくと、そこに立っていたのは。
「うわぁ! こ、これは……」
レオンは息を呑んだ。
なんとそこには、ウェディングドレスに身を包んだ四人の花嫁がいたのだ。
「素敵……」「夢みたい……」
少女たちの声が風に乗って響く。
エリナは、シンプルで気品のあるAラインのドレスに身を包んでいた。純白のシルクが彼女の凛とした美しさを際立たせている。戦場の女神が、今宵だけは花嫁になった。
ミーシャは、身体のラインに沿ったマーメイドラインのドレス。上半身から膝までぴったりとフィットし、そこから優雅に広がるシルエットが、彼女の大人の魅力を余すところなく引き出している。金色の髪がアップに纏められ、うなじが艶めかしく覗いていた。聖女の清らかさと、成熟した女性の色気が絶妙に調和している。
ルナは、ふんわりとしたプリンセスラインのドレス。小柄な身体を雲のようなチュールが包み込んでいる。赤い髪が繊細な編み込みでまとめられ、小さなティアラが星のように輝いていた。いつもの勝気な表情が今は恥ずかしそうに染まっていて、その姿はまるで童話から抜け出してきたお姫様のようだった。
シエルは、すっきりとしたスレンダーラインのドレス。シンプルだが上質な生地が彼女の気品を引き立てている。男装の麗人が今は完全な淑女として、そこに立っている。凛とした佇まいはそのままに、女性としての柔らかさが加わって、息を呑むほど美しかった。



