この十万のスタンピードを止める。王都を救う。それは……かつて辺境の街を救った時とは、比べ物にならないほどの……世界史に刻まれるべき「偉業」。
この絶望的な状況を覆すほどの、強大な『命運』の担い手であると……この世界の理に、認めさせることができたなら……!
それは、神に祈ることではない。
神の領域に、踏み込むこと。
あまりにも傲慢で――けれど、唯一の活路。
レオンは、ゆっくりと顔を上げた。
その瞳には、狂気にも似た、凄まじい決意の光が宿っていた。
もう、迷いはない。恐怖もない。ただ、やるべきことがある。それだけだ。
レオンはあぐらをかいて床に座ると、背筋をピンと伸ばし、目を薄く閉じた。
そして、魂の底にあるスキルとの接続点に意識を合わせる。
すぅぅぅ……はぁぁぁ……。
深い呼吸。心を鎮め、意識を内へと向けていく。
徐々に、スキルの領域へとフォーカスしていく――。
ピロン!
レオンの視界に、メッセージが浮かび上がった。
【繧ケ繧ュ繝ォ繝。繝?そ繝シ繧ク】
文字化けしている。まだ壊れたままだ。イザベラの呪いが、スキルの核を蝕んでいる。
しかしレオンは諦めない。さらに意識を集中していく――。
【繧ケ繧ュ繝ォ繝。繝?そ繝シ繧ク】
【繧ケ繧ュ繝ォ繝。繝?そ繝シ繧ク】
【繧ケ繧ュ繝ォ繝。繝?そ繝シ繧ク】
まだだ。まだ、もっと深く――。
【荳顔ュ峨□繝舌き驥朱ヮ?】
メッセージが変わった。何かが、反応し始めている。
【荳顔ュ峨□繝舌き驥朱ヮ?】
【荳顔ュ峨□繝舌き驥朱ヮ?】
【荳顔ュ峨□繝舌き驥朱ヮ?】
行け! 『命運』で上書きせよ!
しかし――。
【荳顔ュ峨□繝舌き驥朱ヮ?】
【荳顔ュ峨□繝舌き驥朱ヮ?】
【荳顔ュ峨□繝舌き驥朱ヮ?】
いつまで経っても、そこから先へは進まなかった。まるで、見えない壁に阻まれているかのように。
その時、大きな地響きが響いた。
ズン……ズン……ズン……。
十万の魔物たちが、動き始めている。王都へと向かって、進軍を始めたのだ。一歩ごとに大地が震え、一歩ごとに破滅が近づいてくる。
「くっ!」「始まっちゃった……」「あぁ……」「いやぁ……」
少女たちが不安そうにあたりを見回す。その顔に、再び絶望の影が差し始める。
そして、その絶望を煽る重低音が――レオンのトラウマを、容赦なく揺り起こした。
脳裏に、あの日の記憶が蘇る。
逃げ惑う人々。悲鳴。炎。そして――妹の姿。
血を流して倒れている、小さな体。
動かない。もう、動かない。
助けられなかった。何もできなかった。
くぅぅぅ……。
なぜだ。なぜ、スキルは反応しないのか? 条件は整っているはずなのに!
拳を握りしめる。爪が手のひらに食い込む。血が滲む。けれど、その痛みすら感じない。心の痛みに比べれば、こんなもの。
その時だった。
「私にできること……ない?」
エリナが、レオンの肩にそっと手を置いた。
冷たい石の牢獄の中で、その手の温かさがレオンに響く。
「……え?」
レオンが顔を上げる。
「そうよ、スキルを呼び起こすんでしょ? あたしにも手伝わせて」
ルナがかがみ込み、レオンの手を取った。小さな手が、レオンの指を包み込む。
「私だって!」
「手伝わせて……」
シエルもミーシャもレオンの手を取った。四つの手が、レオンを囲む。四つの温もりが、レオンを包む。
「み、みんな……」
レオンはみんなの顔を見回した。
エリナの黒曜石の瞳。ミーシャの空色の瞳。ルナの緋色の瞳。シエルの碧眼。
みんな、深い覚悟と決意をもって、真っ直ぐにレオンを見つめている。
そうだ。スキルを呼び起こすには、運命に影響できる彼女たちの力が大前提だったのだ。一人では、何も変えられない。けれど、みんなとなら――。
「ありがとう……みんな」
レオンは立ち上がると、改めてみんなの前に手のひらを差し出した。
震えていた手が、今は真っ直ぐに伸びている。
「僕一人じゃ、何もできない。戦う力もない。未来を視る力も失った。でも……」
声が震える。けれど、止まらない。
「みんながいる。みんなと一緒なら……未来を創れる!」
その手の上に――エリナの手が、そっと重ねられた。
芯に確かな熱を秘めた手。剣ダコのある、戦士の手。
「君となら、どんな絶望も恐れない……」
エリナの声は静かだった。けれど、魂の重みを感じさせる。黒曜石の瞳が、暗闇の中で静かに輝いていた。
「どんな敵も今ならすべて焼き払えるわ!」
ルナの手が、勢いよく重ねられた。
小さくて、けれど驚くほど温かい手。強大な炎を操る魔法使いの手。
シエルの手が、優しく重ねられた。
「ボクは、みんなと出会えて本当に良かった。この絆のためなら何でもできる!」
シエルの声が震える。碧眼から、涙が零れ落ちる。
この絶望的な状況を覆すほどの、強大な『命運』の担い手であると……この世界の理に、認めさせることができたなら……!
それは、神に祈ることではない。
神の領域に、踏み込むこと。
あまりにも傲慢で――けれど、唯一の活路。
レオンは、ゆっくりと顔を上げた。
その瞳には、狂気にも似た、凄まじい決意の光が宿っていた。
もう、迷いはない。恐怖もない。ただ、やるべきことがある。それだけだ。
レオンはあぐらをかいて床に座ると、背筋をピンと伸ばし、目を薄く閉じた。
そして、魂の底にあるスキルとの接続点に意識を合わせる。
すぅぅぅ……はぁぁぁ……。
深い呼吸。心を鎮め、意識を内へと向けていく。
徐々に、スキルの領域へとフォーカスしていく――。
ピロン!
レオンの視界に、メッセージが浮かび上がった。
【繧ケ繧ュ繝ォ繝。繝?そ繝シ繧ク】
文字化けしている。まだ壊れたままだ。イザベラの呪いが、スキルの核を蝕んでいる。
しかしレオンは諦めない。さらに意識を集中していく――。
【繧ケ繧ュ繝ォ繝。繝?そ繝シ繧ク】
【繧ケ繧ュ繝ォ繝。繝?そ繝シ繧ク】
【繧ケ繧ュ繝ォ繝。繝?そ繝シ繧ク】
まだだ。まだ、もっと深く――。
【荳顔ュ峨□繝舌き驥朱ヮ?】
メッセージが変わった。何かが、反応し始めている。
【荳顔ュ峨□繝舌き驥朱ヮ?】
【荳顔ュ峨□繝舌き驥朱ヮ?】
【荳顔ュ峨□繝舌き驥朱ヮ?】
行け! 『命運』で上書きせよ!
しかし――。
【荳顔ュ峨□繝舌き驥朱ヮ?】
【荳顔ュ峨□繝舌き驥朱ヮ?】
【荳顔ュ峨□繝舌き驥朱ヮ?】
いつまで経っても、そこから先へは進まなかった。まるで、見えない壁に阻まれているかのように。
その時、大きな地響きが響いた。
ズン……ズン……ズン……。
十万の魔物たちが、動き始めている。王都へと向かって、進軍を始めたのだ。一歩ごとに大地が震え、一歩ごとに破滅が近づいてくる。
「くっ!」「始まっちゃった……」「あぁ……」「いやぁ……」
少女たちが不安そうにあたりを見回す。その顔に、再び絶望の影が差し始める。
そして、その絶望を煽る重低音が――レオンのトラウマを、容赦なく揺り起こした。
脳裏に、あの日の記憶が蘇る。
逃げ惑う人々。悲鳴。炎。そして――妹の姿。
血を流して倒れている、小さな体。
動かない。もう、動かない。
助けられなかった。何もできなかった。
くぅぅぅ……。
なぜだ。なぜ、スキルは反応しないのか? 条件は整っているはずなのに!
拳を握りしめる。爪が手のひらに食い込む。血が滲む。けれど、その痛みすら感じない。心の痛みに比べれば、こんなもの。
その時だった。
「私にできること……ない?」
エリナが、レオンの肩にそっと手を置いた。
冷たい石の牢獄の中で、その手の温かさがレオンに響く。
「……え?」
レオンが顔を上げる。
「そうよ、スキルを呼び起こすんでしょ? あたしにも手伝わせて」
ルナがかがみ込み、レオンの手を取った。小さな手が、レオンの指を包み込む。
「私だって!」
「手伝わせて……」
シエルもミーシャもレオンの手を取った。四つの手が、レオンを囲む。四つの温もりが、レオンを包む。
「み、みんな……」
レオンはみんなの顔を見回した。
エリナの黒曜石の瞳。ミーシャの空色の瞳。ルナの緋色の瞳。シエルの碧眼。
みんな、深い覚悟と決意をもって、真っ直ぐにレオンを見つめている。
そうだ。スキルを呼び起こすには、運命に影響できる彼女たちの力が大前提だったのだ。一人では、何も変えられない。けれど、みんなとなら――。
「ありがとう……みんな」
レオンは立ち上がると、改めてみんなの前に手のひらを差し出した。
震えていた手が、今は真っ直ぐに伸びている。
「僕一人じゃ、何もできない。戦う力もない。未来を視る力も失った。でも……」
声が震える。けれど、止まらない。
「みんながいる。みんなと一緒なら……未来を創れる!」
その手の上に――エリナの手が、そっと重ねられた。
芯に確かな熱を秘めた手。剣ダコのある、戦士の手。
「君となら、どんな絶望も恐れない……」
エリナの声は静かだった。けれど、魂の重みを感じさせる。黒曜石の瞳が、暗闇の中で静かに輝いていた。
「どんな敵も今ならすべて焼き払えるわ!」
ルナの手が、勢いよく重ねられた。
小さくて、けれど驚くほど温かい手。強大な炎を操る魔法使いの手。
シエルの手が、優しく重ねられた。
「ボクは、みんなと出会えて本当に良かった。この絆のためなら何でもできる!」
シエルの声が震える。碧眼から、涙が零れ落ちる。



