【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~戦闘力ゼロの追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と送る甘々ライフ~

「何も言ってこないということは……きっと、何か策があるはずだ。僕たちが知らない、何か大きな策が……必ずある……」

 その言葉は、自分自身に言い聞かせているようでもあった。信じたい。信じなければ、心が折れてしまう――――。

 レオンはふぅと大きく息をつく。

「今は……みんなを信じよう。戦っている仲間たちを。命をかけて戦ってくれている人たちを」

 一人一人の目をしっかりと見つめながら言った。エリナ、ミーシャ、ルナ、シエル。

「最後に勝つのは僕たちだ。僕がみんなに初めて会った時に見た【栄光の未来】は必ずある! まだ慌てる時間じゃない!」

 その言葉に、四人の目に少しだけ光が戻った。闇の中に、小さな希望の光が灯る。

「……うん」

 エリナが、涙を拭いながら小さく頷いた。

「信じる……わ。みんなを……レオンを」

 ミーシャも、杖を握り直す。震えていた手に、少しずつ力が戻ってくる。

「レオンがそう言うなら……私も信じます」

 シエルが、弓を抱きしめる。その目に、強さが戻ってくる。

「あたしも……信じる。絶対、勝つんだから」

 ルナが、小さく拳を握る。

 まだ不安は消えない。恐怖も残っている。けれど、レオンの言葉が、少しだけ心を支えてくれる。沈みかけた心を、かろうじて繋ぎ止めてくれていた――。


       ◇


 連合軍は、多大な犠牲を出しながらも、なんとか体勢を立て直しつつあった。

 さすがは歴戦の猛者たちである。初めて遭遇する空間攻撃に当初は翻弄されたものの、徐々に対応策を見出し始めている。空間の歪みが発生する直前の微細な魔力の揺らぎを読み取り、攻撃のタイミングをずらし、陣形を流動的に変化させる。

「空間の歪みを感じたら、即座に散開しろ!」

 ベテランの冒険者が叫ぶ。

「魔法は利用されないように隙を見て撃て!」

 魔術師たちが、戦術を修正する。

 けれど、敵も容赦ない。空間の裂け目から溢れ出す魔物たちの数は、まるで尽きることを知らない。ゴブリン、ワーウルフ、スケルトン。倒しても倒しても、次から次へと現れる。まるで、無限に湧き出る悪夢のように。

 じり貧だった――。

 時間が経てば経つほど、連合軍の消耗は激しくなっていく。体力も、魔力も、武器の耐久力も。そして何より、精神力が削られていく。

「くそっ……いつまで続くんだ……!」

 疲労で息を切らせた騎士が、膝をつきそうになる。

「諦めるな! まだ戦える!」

 仲間が肩を貸し、立ち上がらせる。

 そんな必死の抵抗の中――。

 アラクネ・ファンタズマが、連合軍を蹂躙しながら、ゆっくりと、けれど確実に、アルカナの馬車へと進んでくる。

 その動きは緩慢で、まるで時間を気にしていないかのよう。けれど、その一歩一歩が着実に距離を詰めてくる。

 水晶の脚が地面を踏むたびに――。

 パリン!

 まるでガラスが砕け散るかのような、鋭く不気味な音が響く。

 パリン! パリン!

 その音が、規則正しく、リズミカルに響く。まるで、死神が刻む時計の針の音のように。

 もう、目の前に迫っていた――――。

 周囲では、騎士たちと冒険者たちが血を流しながらも必死に抵抗していた。アラクネの進路を塞ぎ、攻撃を加え、少しでも時間を稼ごうとする。

「させるか! この化け物め!」

 一人の屈強な騎士が、雄叫びを上げながらアラクネの脚に斬りかかった。鍛え抜かれた筋肉と、磨き上げられた剣技。その一撃は、岩をも砕くほどの威力だった。

 ガキィンッ!

 剣が、水晶の脚に当たる。火花が散る。けれど――弾かれる。傷一つつかない。まるで、鋼鉄の壁を斬りつけたかのよう。

 その瞬間、騎士の周囲の空間が歪んだ。

「うわっ!?」

 騎士の体が、突然消失する。そして次の瞬間――。

「ぐあっ!」

 後方にテレポートさせられ、味方の陣形に叩きつけられた。重い鎧を着た体が、仲間に激突する。

「ギャアア!」

 連鎖的に、複数の兵士が倒れる。また一人、また一人と、戦線から離脱していく。

 他の兵士たちも剣を振るい、魔法を放ち、矢を射る。必死に、必死に攻撃を加える。けれどその攻撃は、なかなか通らない。空間の歪みに吸い込まれるか、反射されるか。決定打には、まったくつながらない。

 アラクネは、その全てを意に介していない。まるで、蟻の攻撃を気にしない象のように、ただ馬車へと進み続ける。

 その複眼が、冷たく光っている。無数の目が、馬車を捉えている。まるで、獲物を見つけた捕食者のように。餌を前にした、飢えた獣のように――――。

 二十メートル――、十メートル。

 アラクネの巨大な影が、馬車全体を覆い始める。陽の光が遮られ、馬車の中が急速に暗くなっていく。それは死の影が降りてきたかのようにすら見えた。

 馬車の中、五人は身を寄せ合い、息を呑む。

 窓から見える光景は、絶望そのものだった。傷つき、倒れていく仲間たち。それでも必死に立ち上がり、戦い続ける姿。けれど、まったく効果がない攻撃。そして、確実に、着実に、容赦なく迫ってくる死の化身――――。