月はきっと、星を願う

次の日、二人だけで、学校の近くにある川沿いに行き、星を見ていた。

「今日は星がめちゃくちゃ綺麗に見えるな」

「だね。まぁ、月がいない方が星は輝けるからね〜」

「えそうなん?」

意外そうに晴月くんが言う。

「うん。月の光って結構強いから、暗い星とか見えにくくなるんだよね〜」

「へぇ……じゃあ、今日みたいな夜は、星の独壇場、星だけが主役ってわけか」

「うん。こういう日は、星のこと、しっかりみてたいんだ」

そう言って空を見上げると、川の水面にも星が揺れて映っていた。

「綺麗だなぁ…」

心の声を思いっきり漏らしてしまった。

「なんかさ」

晴月くんが、少しだけ間を置いてから続ける。

「お前って、ほんと星のこと好きだよな」

「え、今さら?」

「いや、前から思ってたけどさ」

軽く笑いながら、隣に座る距離を少しだけ詰めてくる。

「でもさ、星ってさ」

「うん?」

「遠いのに、ちゃんと見えるの不思議だよな」

その言葉に、胸が少しだけざわつく。

「……だね。何百年も前の光が、今の私達に届いてる。」

小さく呟いた。

「ほんと、神秘的だし、星もなめてらんないな」

晴月くんは空を見たまま、笑いながら言う。

その横顔を見て、言葉が出なくなる。

川の音だけが静かに流れていく。

「ねぇ」

「ん?」

「もしさ」

一度、息を吸う。

「もし何かあっても……ちゃんと、星みたいにそこにいてくれる?」

変なことを言った自信は会った。それでも、晴月くんは笑って、

「当たり前だろ」

そう言った。そして、

「お前こそ、星なんだから、ずっとそこに、輝き続けとけよ。」

「なにそれー」

「そのままだよ」

その言葉が、やけに遠くまで響いた気がした。