「次は池袋、池袋。お出口は左側です。湘南新宿ライン、埼京線、東武東上線、西武池袋線、地下鉄丸の内線、地下鉄有楽町線、地下鉄副都心線はお乗り換えです。」
窓には、たくさんの高層ビルやわいわいとした雰囲気が映し出される。
初めての大都会。アナウンスからも、たくさんの電車が通ってることがわかる。
いつもと違う雰囲気に心が潰されそう…不安と緊張で震えが止まらない。
今日は、有名なチャットサイト「とーきんぐ」で出会ったネッ友と初めて会う日。「とーきんぐ」っていうのは、趣味があっていたり年齢が近かったりすると自動で繋がれて話せるサイト。実年齢じゃないと利用できないので、高度な安全性で評価されている。犯罪につながるケースも今まで一件もなかったという。
────
数年前、私はいじめられていた。毎日物を隠され汚されて。
先生も家族も「どうせ嘘なんでしょ?」と嘲笑してばっかり。
周りに相談する人なんていない。そんな時に出会ったのがこのアプリ。
初めて繋がった「はる」という人は、その時の私と同じ中学1年生。
今まであの子たちにされてきたことなどを全部打ち明けることができた。
それを「はる」は否定することなく、親身に話を聞いてくれて、ホッとすることができた。
はるは私の人生を救ってくれた救世主。
それ以降、私とはるは1日に3時間も話すような仲になっていった。
そして、高校受験が終わり、高校生になった今。
はるは地元神奈川の有名進学校「曙学園」に特待生として入学。
そして私は地元から離れた都内市部のスポーツ強豪校として有名な「米倉高校」に入学した。もちろん特待生にはなっていない。
そこではるから提案されたのが「リア友になりたい、」ということだ。
高校受験も終わってゆとりもあるから一回会ってみたい、とのこと。
数年間話しているが、実際私たちはビデオ通話以外は実際に顔を見たことがない。
そして、お互いのことを信用しているということで、私たちは今日池袋で会うことにしたのだ。
真っ黒だった画面が、突如ロック画面になり、画面下に通知が出てくる。
《茉莉、今何駅?》
はるからのメッセージ。
ちなみに茉莉っていうのは私のニックネームだ。
実ははるには名前を偽っている。彼には茉莉が本名だって数年前伝えてしまった。理由は単純に知らない人に本名を教えるのは怖いから。いまだに真実を打ち明けられていなくて、バレないようにどうにかやり過ごしている。
《あ、俺は今池袋駅つきそう。》
はるからもう一件メッセージがくる。ふと電光掲示板を見る。次が池袋。だいたい同じくらいなんだ。
《私もそろそろ池袋駅だよ。》
《そっかー!お互い同じくらいだな笑》
《だね〜!》
そんな会話をしたのち、電車のスピードが遅くなる。池袋駅に到着。
ドアが開き、足を一本プラットフォームに踏み入れる。
今まで感じたことのない圧に思わずよろけそうになる。
大都会、池袋。
いつどこで何をしていても聞こえる人々の話し声。
初めてきた場所で、今日ネッ友のはると初めて出会う。
プラットホームを出ると、尚更緊張と不安が募ってくる。
何もバレないといいな。
そんな思いを胸に抱きながら、切符を改札に入れた。
窓には、たくさんの高層ビルやわいわいとした雰囲気が映し出される。
初めての大都会。アナウンスからも、たくさんの電車が通ってることがわかる。
いつもと違う雰囲気に心が潰されそう…不安と緊張で震えが止まらない。
今日は、有名なチャットサイト「とーきんぐ」で出会ったネッ友と初めて会う日。「とーきんぐ」っていうのは、趣味があっていたり年齢が近かったりすると自動で繋がれて話せるサイト。実年齢じゃないと利用できないので、高度な安全性で評価されている。犯罪につながるケースも今まで一件もなかったという。
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数年前、私はいじめられていた。毎日物を隠され汚されて。
先生も家族も「どうせ嘘なんでしょ?」と嘲笑してばっかり。
周りに相談する人なんていない。そんな時に出会ったのがこのアプリ。
初めて繋がった「はる」という人は、その時の私と同じ中学1年生。
今まであの子たちにされてきたことなどを全部打ち明けることができた。
それを「はる」は否定することなく、親身に話を聞いてくれて、ホッとすることができた。
はるは私の人生を救ってくれた救世主。
それ以降、私とはるは1日に3時間も話すような仲になっていった。
そして、高校受験が終わり、高校生になった今。
はるは地元神奈川の有名進学校「曙学園」に特待生として入学。
そして私は地元から離れた都内市部のスポーツ強豪校として有名な「米倉高校」に入学した。もちろん特待生にはなっていない。
そこではるから提案されたのが「リア友になりたい、」ということだ。
高校受験も終わってゆとりもあるから一回会ってみたい、とのこと。
数年間話しているが、実際私たちはビデオ通話以外は実際に顔を見たことがない。
そして、お互いのことを信用しているということで、私たちは今日池袋で会うことにしたのだ。
真っ黒だった画面が、突如ロック画面になり、画面下に通知が出てくる。
《茉莉、今何駅?》
はるからのメッセージ。
ちなみに茉莉っていうのは私のニックネームだ。
実ははるには名前を偽っている。彼には茉莉が本名だって数年前伝えてしまった。理由は単純に知らない人に本名を教えるのは怖いから。いまだに真実を打ち明けられていなくて、バレないようにどうにかやり過ごしている。
《あ、俺は今池袋駅つきそう。》
はるからもう一件メッセージがくる。ふと電光掲示板を見る。次が池袋。だいたい同じくらいなんだ。
《私もそろそろ池袋駅だよ。》
《そっかー!お互い同じくらいだな笑》
《だね〜!》
そんな会話をしたのち、電車のスピードが遅くなる。池袋駅に到着。
ドアが開き、足を一本プラットフォームに踏み入れる。
今まで感じたことのない圧に思わずよろけそうになる。
大都会、池袋。
いつどこで何をしていても聞こえる人々の話し声。
初めてきた場所で、今日ネッ友のはると初めて出会う。
プラットホームを出ると、尚更緊張と不安が募ってくる。
何もバレないといいな。
そんな思いを胸に抱きながら、切符を改札に入れた。
