蒼天乃王

第六話】悪夢の世界と囚われの姫
 これは幻想でもない空間。あるのは闇のみ…私は闇の中にいる。もう希望もない。幸せにもなれない。絶望。
 そうは思いませんか?
 私は暗闇でそう思い少女にもたれた。その少女から何も闇の気配を感じなかったからだ。私は未来の手に触れようとした。その時、声が聞こえた。
「駄目だ。そいつに触れるな。」
 私は我に返り、少女から離れた。そして後ろを振り返ると。浩之が立っていた。
「浩之君。」
「鈴、大丈夫か?」
「どうしてここに?」
「君を助けに来た。」
「私を? でもあの人が助けてくれるって。」
「あいつは敵だ。お前を支配しようとしている。」
「そんな!」
「間違いない。君は闇の力で意識不明状態だ。」
「私が?」
「つまり、理の心は夢術に取り込まれたんだ。それで俺は鈴を助けるため君の中に漂う夢術に力を解き放ったんだ。」
「じゃあ浩之君は?」
「このなかだ。」
「俺の本体は眠っている。」
「なるほど。理解したけど脱出は?」
「あいつを倒してからな。」
「わかった。」
「俺から離れるなよ。」
「うん。」
 未来は言った。
「よくも邪魔をしてくれたわね。お仕置きをさせて貰わないとね。」
「お前が奪った鈴を取り返しに来た。」
「私の道具をよくも邪魔したわね。これ以上邪魔をしないでね。ブールルト!」
 闇を解き放った。
「鈴、俺の手を離すなよ。」
「うん。」
「いくぜ。ブルーライトフラワーズ!」
 浩之は闇の王女の力をはね返した。
「私の力を跳ね返すとはいったい何者なのかしら。」
「倒したの?」
「まだだ。簡単には倒せない。まずあいつの力を知らないと。一つ聞く。あいつの名前を知ってるよな。」
「うん。」
「なんて名前だ。」
「鉱王女未来。」
「やつは未来って名前なんだな。」
「うん。」
「能力は?」
「それは分らない。だだ浩之君が来る前、少し感じたの。」
「何をだ。」
「微かな闇の光よ。その光が少し見えて、その光の先から声が聞こえたの。私の運命を変えてくれるといってくれたからついうれしくて手を伸ばそうとした。その少女が闇だと知らず。これだけじゃ足りないかな?」
「いいや、十分だ。これでやつの能力がわかった。」
「本当?」
「ああ。やつは青龍の神を光に変え、それを剣に込めている。その神の力は光、花、氷、火、水の力が出る。さらに融合術を唱えれば闇の光ができる。」
「じゃあ私が誘い込まれたのは。」
「おそらくだが、融合術に掛けられたのだ。」
「そうだったの…。」
 パチパチ…
「見切ったことは誉めてあげるわ。だがそれもここまで。ここで終わりにしましょう。さあ一緒に祈りましょう。」
「終わりにはしない。終わりはお前だ!」
「どういうことかしら。」
「おまえは青龍の神の力を光に変え、それを剣に込めてるんだ。貴様の剣には花と光、そして氷、火、水の四つの力が備わっている。また闇は五つ目の能力で備わっている。」
「さすがね。でも見抜いたところで貴様らに勝ち目はないわ。」
「いいや。俺の剣は属性ではない。だが俺の剣は光の神の持つ黄金薔薇の剣から作られた剣。これには闇を浄化する力が流れてるんだ。」
「たとえ流れても私には勝てないって言ったでしょ。食らいなさい。ダークレバーズ!」
 闇が浩之に襲いかかってきた。
「言ったろ。俺には闇が効かないって。食らえ、ライトソード!」
 浩之の放った光は闇の力を跳ね返し、浄化した。
 「なんですって? この私の力を跳ね返すとは!
 「お前の力は俺には効かない。なぜな俺には貴様の弱点を見る目があるからだ。」
 「おのれ! 死ね、ソードダーク!」
 未来は闇の禁術で浩之に攻撃した。
 「バリア!」
 浩之は結界を張り、闇を無効化した。
「鈴。いけるか?」
「いけるよ。」
「よし、行け鈴!」
「うん!」
奴を花の力で包み込み、禁忌目録の力で破壊するんだ。」
「わかった。やってみる。」
「……。」
「防げたところで私に勝てるわけがない!」
「そんなことはない。世の中には強く願い、諦めない意志を持ち戦う人がいるんだから。私と浩之君のようにね。」
「食らえ。ハランフラワーソード! これで終わりよ!」
 花の吹雪が敵を包み込んだ。
「くっ、言ったはずよ。勝てないって。浄化発動! 禁忌無限精霊光、禁忌目録発動!」
 王女は私に力を跳ね返した。
「無駄じゃない。まだ諦めるわけにはいかないんだから! フラワースイートファイアーフリード!」
 火の力を解き放った。
「私には火は効かないのよ。属性だから。ハー、食らいなさい。フォーディライト!」
 鈴の力が跳ね返された。鈴は吹き飛ばされた。
「きゃー!」
 浩之は鈴に駆け寄った。
「鈴! 大丈夫か。鈴!」
「熱い。体が焼けそう。私の力が効かないなんて。」
「待っていろ。リライトフォーティ…」
 浩之は鈴の傷を癒やし、火の力を浄化した。
「ありがとう。」
「ここであいつを倒し、夢から帰らないといけないからな。」
「そうね。もう少しだね。」
「ああ。鈴、まだ戦えるか?」
「うん。いけるよ。」
「よし。禁忌であいつの力を食い止めるんだ。」
「わかった。禁忌目録発動。 ライト!」
 鈴は光の禁忌術を解き放ち、未来の闇の火を包み込み、浄化した。
「何? 禁忌だと。私以外で使えるとは。まあいい。なかなかやるわね。私の力を浄化する姫がいたとは。誉めてやろう。」
「……。」
「だがその花の光は通用しないわ。たとえ花でもね。 ハーッ、ライトスノー!」
 鈴の花の光を跳ね返した。
「これで終わりよ。」
「いやまだだ。終わりはお前だ。食らえ! 青薔薇氷期スノーベールソード!」
「まだよ。ダークハード!」
 王女は闇の禁忌目録を発動させた。
「だから効かないって言ってるだろ。ハーッ!」
 僕は剣を握り走った。
「行けーッ、浩之君!」
 そして、僕は敵に剣を突き刺した。
「なに。ああっ」
「食らえ、王女! スノー青薔薇ライトフリーズ!」
「ああーっ」
 王女の体から鈴の力が抜けていった。力は鈴の元へ戻った。
「なぜ君は強い…?」
 浩之は未来に言った。
「強くない。ガキだから俺は。守りたい大事なものを守るために戦ってるんだ、この短剣で。」

「そうか。お前の守りたいものは何だ?」
「この国と彼女を守ることだ。」
「そうか。それは間違っている。」
「どういうことだ?」
「あなた方が行っているのは主より邪悪なものです。じきに我が国の王が正すでしょう、いつか。地獄で見ていてください。」
「……。」
「最後に聞く。お前たち青龍国の目的は何だ?」 未来は言った。
「光の神を破壊し、我が青龍国の支配下に置くこと。あと花の破壊だ。」
「それだけか。」
「ええ。」
 鈴は尋ねた。
「あなたの目的はわかりました。あなたはなぜここに私を呼んだのですか。」
 未来は言った。
「……わかりません。私は気がつくとここにいたから、命じられて。」
「誰に?」
「斉藤友也。」
「まだ戦いは終わってないんだな…。」
「はい。主は言っていました。この光天国を我が物にすると。」
「統一か。」
「はい。私はその手助けにと言われここに来ました。」
「そうか。」
 浩之は言った。
「お前は記憶を操作されて生まれたんだ。君は本来いた場所の記億を書き換えられたんだ。」
「そんなばかな。」
「まあそんなことをするのは青龍国ぐらいだが。」
「そこまで我が国を知っているとは。でも神は我らを仏より愛してくださった。それは主。イエスが私たちにされていることは救いの道です。」
 鈴は言った。
「それは違います。主は私の光天国をあなたがたから救ってくださったのです。」
「馬鹿な。神は我らに…。でももうよい。神は私に記憶より大事な命をくれた。これこそ神よ。ああイエスよ、我を地獄より天へ導き給え。」
 王女は手を広げ叫んだ。王女は氷の結晶となり消えて行った。
「終わったね。」
「ああ。帰るぞ。」
「でも帰れない。出口もないし。」
「出口は作る。鈴俺の手をしっかり握ってろ。脱出術を唱えて脱出する。」
「わかった。」
 私は彼の手を握った。心の中でこう思った。
 浩之君の手、温かいな。
「絶対に離すなよ。」
「うん。」
「行くぜ。」
 浩之は術を唱えた。
「光の扉よ。我が汝、浩之の名によりそのいにしえの光の扉を開きたまえ。オープンライトドアーズ!」
 光の渦扉が開いた。
「行こう。」
「うん。」
私と浩之は雄介のいる地上に戻れた。
「戻れたみたいね。」
「ああ、そうみたいだな。だが僕らが目を開けないと。」
「そうだね。あれ? 私、体が光ってる。どうして。」
「鈴の意識が戻りかけてるんだ。」
「私の?」
「そうだよ、鈴。俺は君を助けるために君の夢に入った。けど僕にできることはここまでだ。僕も戻らないと。」
「そうだね。また目が覚めたら会える。」
「ああ、会えるよ。」
「うん。またあとで。」
「ああ。」
 パチ
「浩之!」
「雄介…。」
「よく戻ったな。おまえすごくうなされてた。」
「そうか。どれだけ眠ってた?」
「一時間以上だ。」
「そうか。…実は敵と戦ってた。」
「そうだったんだ。途中で闇に染まりかけたからちょっと浄化しておいたぜ。」
「ありがとう。それで鈴は?」
「それが、意識が戻りかけてるんだ。」
「何だって? 本当か?」
「ああ。」
僕は眠っている鈴を見た。そして、声を掛けた。
「鈴。しっかりしろ。鈴!」
「浩之君…私…。」
 鈴は目を開けた。
「鈴! よかった。」
「助けてくれてありがとう。」
「うん。」
 僕の頬から涙がこぼれ落ちた。
「鈴…。」
 雄介君が私に飛びついてきた。そして雄介君は私を抱きしめた。
「雄介君…。」
「よかった。鈴が無事で。」
「心配してくれてありがとう。」
「おい、鈴から離れろ。」
「なんだよ。嫉妬かよ。嫉妬の理由はなんだよ。」
「私の好きな人だからよ。」
「浩之が?」
「なんで? 決められたからか?」 鈴は顔を赤くして言った。
「違う。好きだから。そうでしょう?」
「ああ。それに俺が王になるのは中学を卒業してからだ。鈴は俺の妃になる。高校卒業するまでだ。定めなんだ、俺が第二王になることは。」
雄介は言った。
「早い。お前らその先は離れるんだよ。」
「わかっている。けれどそれが運命だ。あいつらが消えない限り。覚悟の上だ。」
「仕方ないな、それは。俺らもいずれなるんだよな。」
「ああ。それと俺の鈴だ。それだけは忘れるなよ。」
「どういうこと?」
「友達だろ?」
「そうだね。」
 鈴は気になり尋ねた。
「それは鈴…。」
「おーい。お前ら。」
「拓也君、吉岡君。」
「無事か、よかった。城から知らせが来たんだけど、終わったみたいだな。」
「まあね。」
「戻ろう。」
「うん。」
 私たちは城に帰還した。
 一方、青龍国では新たな作戦を練ろうとしていた。だが友也は自分が作り上げた作戦を破られ、怒りと悲しみがあふれ出していた。
「くそ。俺らの邪魔をするとは。」
「どうします?」
「時を待ち、倒そう。奴らの敗北する日はすぐ来るだろう。今の戦力は弱いが我が軍は着々と成長している。時を待ちこの軍を使い、奴らを倒し平和を取り戻すんだ。光天よ。あがくのも今のうちだ。ははは!」
続く