【第五話】英雄王子と成精鉱王女】(前編)
「一つ礼を言う。かわいい坊やよ。娘を守ってくれてありがとう。お前が娘を助けたことは確かだ。園児なのにたいした強さだ。伸びがある。」
「ありがとうございます。でも僕は戦いたくて戦ってる訳じゃないんだ。」
「では聞くがお前はなんのために戦っているんだ?」
「わかりません。僕が何の為に戦ってるのか。」
王は浩之の肩に手を添え笑って言った。
「幼いから無理もないであろう。だが簡単な答えはあるであろう。」
「あります。」
「申してみよ。」
浩之は言った。
「鈴のためです。」
王は誉めた。
「よく言った。幼いが上出来だ。なら鈴の友達として支えてくれるかな。それが私からのお願い事だ。」
「はい。」
「感謝するぞ。これからもよろしくな。」
「はい。」
「では失礼する。」
王様は兵を率い、園児達の前から去っていった。
「いいのかよ、引き受けて。」
「いいんだよ。俺がしたいから。」
「ふーん。」
後ろから声が聞こえた。
「二人とも大丈夫?」
「鈴、拓也、無事だったんだ。」
「うん。私達二人で倒したんだ。」
「すごいね。」
「こいつがいなかったら俺は死んでた。こいつがが来てくれなかったらあいつを倒せてなかった。」
「そうなんだ。でも浩雪君。彼を指差しちゃだめ。失礼でしょ。」
「ごめん、鈴。」
「いいよ。私からも礼を言うね。ありがとう。」
「うん。」
「名前なんて言うの?」
「吉岡啓介。」
「吉岡君ね。私、鈴。そういえばよく教会で会ってたね。」
「そうだったな。」
「いま思い出したわ。よろしくね。吉岡君。」
「ああ。」
「そういえばあなたも強いの?」
「もちろん。僕も君を守るために戦ってるから強くないと。だから僕は鍛えてきたんだ、園児だけど。」
「そうなんだ。じゃあこれからも私のために兵士として青龍国と戦ってくれる?」
「僕たちも君と同じでまだ園児だよ。」
「それは分かるけど。私はただお願いしてるだけだよ。」
「そうなんだ。わかった。理のためなら僕たち何でもするから。なあ、拓也?」
「うん。」
「ありがとう。これからもよろしくね。」
「おう。」
浩之は言った。
「そういえば鈴。さっきお父様が俺たちのところに来たんだ。」
「お父様が? それでお父様はなんか言ってた?」
「いや、何も。」
「そう。じゃ帰ろう。」
「うん。」
僕たちは自分の屋敷に帰還した。
一方、青龍国は城に戻り作戦を行い始めた。
「くそ。このままでは光天家にやられる。」
「どうします。奴らを皆殺しにするしか方法がありません。」
友也は激怒した。
「貴様は子供の命を奪えというのか。」
「それは…。」
「我らは光国の姫、鈴に青龍の呪の呪いをかけた。まだ勝ち目はある。だが子供らは強い。いずれ我らにたち向かう敵となろう。それまで時を見よう。そして、その時が来たら戦おう。」
「はい。」
一方、光天国では穏やかな気配が少しずつ近づいていた。
続く
【英雄王子と成精鉱王女】後編
浩之は鈴に挨拶に光天国に訪れた。
「こんばんは、鈴。」
「こんばんは。どうしたの?」
「鈴の無事を案じて来たんだ。」
「そう、ありがとう。」
「うん。鈴君に聞きたいことがあるんだけどいいか。」
「いいよ。拓也とはどんな関係。」
「友達だよ。」
「俺にはそんなふうに見えないよ。もっと別の関係に見える。」
「そんなんじゃないよ。あの時拓也君が来てくれなかったら私、闇に犯されてた。」
「そうか…。 あともう一つ聞くがいいかな鈴。」
「いいよ。なに?」
「最近変わりないか。ほら闇とか?」
「うん。それは大丈夫。ねえ私モテモテね。だって皆私が好きだもん。そう思わない?」
「それは…」
「吉岡君だって拓也君だって浩之君だって同じじゃない?」
「僕はあの二人とは違う。」
「どう違うの?」
「好きの意味が違う。」
「浩之君は私のこと、友達として好きなの?」
「それは…僕は…」
「待て。言うなよ。」
拓也が突然僕と鈴の前に現れ、僕に短剣を抜いた。
「ちょっと拓也君。短剣を下ろして。」
「だめだ。浩之君は私と話してただけだ。」
「うるさい。鈴は口挟むなよ。これは男の問題だ。黙って見てろ。」
「拓也君。」
「拓也…どういうつもりだ。短剣を下ろせ。」
「嫌だね。君に言われる筋合いはないよ。それに鈴に好きって言っていいのは僕だけだ…。なのにお前は鈴に告白しようとした。僕は君を許すことができない。」
「拓也。やめるんだ。」
「君に何が判るんだ。浩之、ここで死ね。」
「拓也。やめろ。お前とは戦いたくない。」
「うるさい。はー!」
拓也は短剣で浩之を切り裂こうとした。
見ていた鈴は泣きながら訴えた。
「お願い、拓也君。短剣を捨てて。お願い、殺さないで。お願い!」
僕は殺されると思い、目を閉じた。
バン!
誰かが短剣を受け止める音がした。僕が目を開けると、あの時俺を助けてくれた吉岡君が立っていた。
「吉岡!」
「君たちやめろよ。争いをする君達、僕嫌いなんだ。それに僕も鈴のこと好きだよ、拓也と浩之と同じように。けど決めるのは鈴なんだから。僕たちが決めるんじゃないんだしね。違うか?」
「そうだな。ごめん鈴。」
「うん。」
「ただこれだけは言える。今一番幸せだということだ。そう、ここに友達といるから。そう思えた…。」
「ねえ、吉岡君。もう喧嘩収まったの? お願い、喧嘩はやめて。」
「喧嘩じゃない。男だけの取り合いだ。」
「誰の?」
「鈴しかいないだろう。」
「もしかして、二人とも私のこと好きなの?」
「当然だ。」
「私、好きな人いるよ、三人。」
「誰だよ。」
「拓也君と吉岡君。」
「やっぱりいるじゃん。ライバルがよ。」
「もう一人は?」
「言わないよ。中学生になったらその子に言うよ。」
「わかった。俺らにも教えろよな。約束だよ、鈴。」
「うん。」
僕たちは鈴と指切りをした。
あれから月年が過ぎた。
私達は小学生になった。
吉岡君は違う学校に。拓也と浩之、雄介君は同じ学校になり、私達は、クラスは違うが仲がよく、いつも一緒であった。
理由は、戦いはまだ終わっていないからである。
「おはよう。鈴。」
「おはよう。あれから 敵が攻めてくることはないの?」
「ないよ。って、浩之。なんで後ろからついて来るんだよ。」
「ごめん。鈴がお前に取られるのが怖いだけだ。」
「なんだと。お前に鈴は渡さない。」
「なんだと。」
その時、地面が揺れた。
ゴロゴロ。
「なんだ。この揺れは。地震?」
「違うぜ。ものすごい妖気を感じる。闇だ。」
「きゃーッ、浩之君、助けて!」
鈴は地面から吹き出た闇に引きずられていた。
「鈴! させるか! ブルーセレクト!」
青き光で鈴を救おうと探検の力を闇に放った。しかし、闇はそれを吸収し跳ね返した。
「なに! 俺の力を跳ね返すとは。これは前と違う!」
「確かに。呪の気配が違う。もしかして別の敵の仕業かもしれない。」
「だとしても戦わないといけないだろ。」
「だな。それより鈴は?」
浩之は辺りを見渡した。鈴はロッカーの前に倒れていた。
「鈴、大丈夫か?」
僕たちは鈴の傍に駆け寄った。
「鈴、しっかりしろ!」
「……。」
「浩之、鈴は?」
「息はある。ただ闇に呑まれ意識を失っているだけだ。それに脈も動いてるし。だから鈴はまだ生きてる。」
「浩之…、俺はお前の奇跡に託す。」
「おう。だから鈴は俺が助ける。お前はここで待っていろ。俺になにかあったらその短剣
で助けてくれ。」
「わかった。浩之はどうするんだよ。」
「鈴を助ける。鈴は俺が好きなんだ、たぶん。だから助けに
行く。それに鈴の力を感じる。俺には分かるんだ。」
「お前には敵わないさ。行ってこい。そして必ず戻ってこい。
夢の闇に負けるなよ。お前が死ねば鈴も危ないんだから。」
「ああ。やつの力は弱まってる。さっき俺が力で無効化した
し。だから今がチャンスだ。」
「死ぬなよ、浩之。奴の力は外で弱めることはできても夢で
はそうはいかない。気をつけろ。」
「おう。」
「行くぜ。…闇の地面の扉を開きたまえ。青き光よ、セリ
ナーブルー!」
浩之は地面に光を解き放った。その瞬間、闇の扉が開いた。
「これが闇の扉か…。」
その時、闇が浩之に襲いかかった。
「危ない! 精霊バリア!」
拓也は浩之に結界を張った。結界は闇を跳ね返した。
「助かったぜ。」
「礼はいい。この結界は長く持たない。俺が食い止めてる間に飛び込め。」
「わかった。」
「気をつけろ。」
「ああ。必ず戻る。」
「浩之。必ず鈴とともに帰ってこい。約束だ。」
「おう。」
二人は拳をぶつけた。そして浩之は短剣を抜き、握りしめて闇の中に飛び込んだ。その瞬間、闇が浩之に再び襲いかかった。
「こんなところで死ぬわけにはいかないんだ。ブルーバリア!」
浩之は精霊の結界で敵の攻撃を跳ね返した。
「助かった。けど鈴の姿がない。ただ俺を襲ってきた闇が消えた。」
「浩之。大丈夫か?」
「ああ。闇の気配はしない。鈴の気配を感じる。この闇の向こうにいる可能性が高い。俺はこの先に行く。」
「わかった。必ず戻れよ。」
「おう。」
「じゃあまたな。」
「うん。」
僕は心の中で思った。
鈴を助ける。鈴は俺が好きなんだ。待ってろ、鈴。すぐ助けるから。
浩之は闇の中に走り、飛び込んだ。
「どれくらい眠っているんだろう?」
私は夢の闇の中にさまよい続けていた。
「ここはどこ? 夢の中?」
私は闇の空間に立っていた。辺りは闇ばかり。
遠くから声が聞こえた。
「さあいらっしゃい。我が源の元へ。我は王の力でできた成精鉱王女未来よ。あなたはもうここで生きるの。私とともにこの世界を支配しあの光から。あなたは呼ばれたの。私が闇であなたを呼んだ。あなたは私の道具。」
声が強くなった。闇のほうから聞こえたそれは女の声だった。
私は恐怖を感じていた。
「なんで夢なのに声が聞こえるの?」
しかし、私は闇に引きずられ、ついに女性のもとにたどり着いた。
「あなたが未来?」
「そうよ。さあ私は全て話したの。覚えてる?」
「はい。でも私はあなたのいる場所には行かない。」
「そう。でもそれは私の配下により変えられた。あなたはこの友也の下部の道具になるの。あなたがいる世界には平和がない。」
「そんな!」
私は崩れ落ちた。未来は私に近づき座った。
「未来様。私は…。」
「もう大丈夫。私とともに友也を守るの。それであなたの運命が決まるのよ。それがあなたの運命。」
「私の運命が?」
「そうよ。」
私は近づいた。
「さあ。」
私は少女にもたれた…。
「…。」
果たして鈴の運命は。鈴は闇の支配から逃れ得られるのか。
「一つ礼を言う。かわいい坊やよ。娘を守ってくれてありがとう。お前が娘を助けたことは確かだ。園児なのにたいした強さだ。伸びがある。」
「ありがとうございます。でも僕は戦いたくて戦ってる訳じゃないんだ。」
「では聞くがお前はなんのために戦っているんだ?」
「わかりません。僕が何の為に戦ってるのか。」
王は浩之の肩に手を添え笑って言った。
「幼いから無理もないであろう。だが簡単な答えはあるであろう。」
「あります。」
「申してみよ。」
浩之は言った。
「鈴のためです。」
王は誉めた。
「よく言った。幼いが上出来だ。なら鈴の友達として支えてくれるかな。それが私からのお願い事だ。」
「はい。」
「感謝するぞ。これからもよろしくな。」
「はい。」
「では失礼する。」
王様は兵を率い、園児達の前から去っていった。
「いいのかよ、引き受けて。」
「いいんだよ。俺がしたいから。」
「ふーん。」
後ろから声が聞こえた。
「二人とも大丈夫?」
「鈴、拓也、無事だったんだ。」
「うん。私達二人で倒したんだ。」
「すごいね。」
「こいつがいなかったら俺は死んでた。こいつがが来てくれなかったらあいつを倒せてなかった。」
「そうなんだ。でも浩雪君。彼を指差しちゃだめ。失礼でしょ。」
「ごめん、鈴。」
「いいよ。私からも礼を言うね。ありがとう。」
「うん。」
「名前なんて言うの?」
「吉岡啓介。」
「吉岡君ね。私、鈴。そういえばよく教会で会ってたね。」
「そうだったな。」
「いま思い出したわ。よろしくね。吉岡君。」
「ああ。」
「そういえばあなたも強いの?」
「もちろん。僕も君を守るために戦ってるから強くないと。だから僕は鍛えてきたんだ、園児だけど。」
「そうなんだ。じゃあこれからも私のために兵士として青龍国と戦ってくれる?」
「僕たちも君と同じでまだ園児だよ。」
「それは分かるけど。私はただお願いしてるだけだよ。」
「そうなんだ。わかった。理のためなら僕たち何でもするから。なあ、拓也?」
「うん。」
「ありがとう。これからもよろしくね。」
「おう。」
浩之は言った。
「そういえば鈴。さっきお父様が俺たちのところに来たんだ。」
「お父様が? それでお父様はなんか言ってた?」
「いや、何も。」
「そう。じゃ帰ろう。」
「うん。」
僕たちは自分の屋敷に帰還した。
一方、青龍国は城に戻り作戦を行い始めた。
「くそ。このままでは光天家にやられる。」
「どうします。奴らを皆殺しにするしか方法がありません。」
友也は激怒した。
「貴様は子供の命を奪えというのか。」
「それは…。」
「我らは光国の姫、鈴に青龍の呪の呪いをかけた。まだ勝ち目はある。だが子供らは強い。いずれ我らにたち向かう敵となろう。それまで時を見よう。そして、その時が来たら戦おう。」
「はい。」
一方、光天国では穏やかな気配が少しずつ近づいていた。
続く
【英雄王子と成精鉱王女】後編
浩之は鈴に挨拶に光天国に訪れた。
「こんばんは、鈴。」
「こんばんは。どうしたの?」
「鈴の無事を案じて来たんだ。」
「そう、ありがとう。」
「うん。鈴君に聞きたいことがあるんだけどいいか。」
「いいよ。拓也とはどんな関係。」
「友達だよ。」
「俺にはそんなふうに見えないよ。もっと別の関係に見える。」
「そんなんじゃないよ。あの時拓也君が来てくれなかったら私、闇に犯されてた。」
「そうか…。 あともう一つ聞くがいいかな鈴。」
「いいよ。なに?」
「最近変わりないか。ほら闇とか?」
「うん。それは大丈夫。ねえ私モテモテね。だって皆私が好きだもん。そう思わない?」
「それは…」
「吉岡君だって拓也君だって浩之君だって同じじゃない?」
「僕はあの二人とは違う。」
「どう違うの?」
「好きの意味が違う。」
「浩之君は私のこと、友達として好きなの?」
「それは…僕は…」
「待て。言うなよ。」
拓也が突然僕と鈴の前に現れ、僕に短剣を抜いた。
「ちょっと拓也君。短剣を下ろして。」
「だめだ。浩之君は私と話してただけだ。」
「うるさい。鈴は口挟むなよ。これは男の問題だ。黙って見てろ。」
「拓也君。」
「拓也…どういうつもりだ。短剣を下ろせ。」
「嫌だね。君に言われる筋合いはないよ。それに鈴に好きって言っていいのは僕だけだ…。なのにお前は鈴に告白しようとした。僕は君を許すことができない。」
「拓也。やめるんだ。」
「君に何が判るんだ。浩之、ここで死ね。」
「拓也。やめろ。お前とは戦いたくない。」
「うるさい。はー!」
拓也は短剣で浩之を切り裂こうとした。
見ていた鈴は泣きながら訴えた。
「お願い、拓也君。短剣を捨てて。お願い、殺さないで。お願い!」
僕は殺されると思い、目を閉じた。
バン!
誰かが短剣を受け止める音がした。僕が目を開けると、あの時俺を助けてくれた吉岡君が立っていた。
「吉岡!」
「君たちやめろよ。争いをする君達、僕嫌いなんだ。それに僕も鈴のこと好きだよ、拓也と浩之と同じように。けど決めるのは鈴なんだから。僕たちが決めるんじゃないんだしね。違うか?」
「そうだな。ごめん鈴。」
「うん。」
「ただこれだけは言える。今一番幸せだということだ。そう、ここに友達といるから。そう思えた…。」
「ねえ、吉岡君。もう喧嘩収まったの? お願い、喧嘩はやめて。」
「喧嘩じゃない。男だけの取り合いだ。」
「誰の?」
「鈴しかいないだろう。」
「もしかして、二人とも私のこと好きなの?」
「当然だ。」
「私、好きな人いるよ、三人。」
「誰だよ。」
「拓也君と吉岡君。」
「やっぱりいるじゃん。ライバルがよ。」
「もう一人は?」
「言わないよ。中学生になったらその子に言うよ。」
「わかった。俺らにも教えろよな。約束だよ、鈴。」
「うん。」
僕たちは鈴と指切りをした。
あれから月年が過ぎた。
私達は小学生になった。
吉岡君は違う学校に。拓也と浩之、雄介君は同じ学校になり、私達は、クラスは違うが仲がよく、いつも一緒であった。
理由は、戦いはまだ終わっていないからである。
「おはよう。鈴。」
「おはよう。あれから 敵が攻めてくることはないの?」
「ないよ。って、浩之。なんで後ろからついて来るんだよ。」
「ごめん。鈴がお前に取られるのが怖いだけだ。」
「なんだと。お前に鈴は渡さない。」
「なんだと。」
その時、地面が揺れた。
ゴロゴロ。
「なんだ。この揺れは。地震?」
「違うぜ。ものすごい妖気を感じる。闇だ。」
「きゃーッ、浩之君、助けて!」
鈴は地面から吹き出た闇に引きずられていた。
「鈴! させるか! ブルーセレクト!」
青き光で鈴を救おうと探検の力を闇に放った。しかし、闇はそれを吸収し跳ね返した。
「なに! 俺の力を跳ね返すとは。これは前と違う!」
「確かに。呪の気配が違う。もしかして別の敵の仕業かもしれない。」
「だとしても戦わないといけないだろ。」
「だな。それより鈴は?」
浩之は辺りを見渡した。鈴はロッカーの前に倒れていた。
「鈴、大丈夫か?」
僕たちは鈴の傍に駆け寄った。
「鈴、しっかりしろ!」
「……。」
「浩之、鈴は?」
「息はある。ただ闇に呑まれ意識を失っているだけだ。それに脈も動いてるし。だから鈴はまだ生きてる。」
「浩之…、俺はお前の奇跡に託す。」
「おう。だから鈴は俺が助ける。お前はここで待っていろ。俺になにかあったらその短剣
で助けてくれ。」
「わかった。浩之はどうするんだよ。」
「鈴を助ける。鈴は俺が好きなんだ、たぶん。だから助けに
行く。それに鈴の力を感じる。俺には分かるんだ。」
「お前には敵わないさ。行ってこい。そして必ず戻ってこい。
夢の闇に負けるなよ。お前が死ねば鈴も危ないんだから。」
「ああ。やつの力は弱まってる。さっき俺が力で無効化した
し。だから今がチャンスだ。」
「死ぬなよ、浩之。奴の力は外で弱めることはできても夢で
はそうはいかない。気をつけろ。」
「おう。」
「行くぜ。…闇の地面の扉を開きたまえ。青き光よ、セリ
ナーブルー!」
浩之は地面に光を解き放った。その瞬間、闇の扉が開いた。
「これが闇の扉か…。」
その時、闇が浩之に襲いかかった。
「危ない! 精霊バリア!」
拓也は浩之に結界を張った。結界は闇を跳ね返した。
「助かったぜ。」
「礼はいい。この結界は長く持たない。俺が食い止めてる間に飛び込め。」
「わかった。」
「気をつけろ。」
「ああ。必ず戻る。」
「浩之。必ず鈴とともに帰ってこい。約束だ。」
「おう。」
二人は拳をぶつけた。そして浩之は短剣を抜き、握りしめて闇の中に飛び込んだ。その瞬間、闇が浩之に再び襲いかかった。
「こんなところで死ぬわけにはいかないんだ。ブルーバリア!」
浩之は精霊の結界で敵の攻撃を跳ね返した。
「助かった。けど鈴の姿がない。ただ俺を襲ってきた闇が消えた。」
「浩之。大丈夫か?」
「ああ。闇の気配はしない。鈴の気配を感じる。この闇の向こうにいる可能性が高い。俺はこの先に行く。」
「わかった。必ず戻れよ。」
「おう。」
「じゃあまたな。」
「うん。」
僕は心の中で思った。
鈴を助ける。鈴は俺が好きなんだ。待ってろ、鈴。すぐ助けるから。
浩之は闇の中に走り、飛び込んだ。
「どれくらい眠っているんだろう?」
私は夢の闇の中にさまよい続けていた。
「ここはどこ? 夢の中?」
私は闇の空間に立っていた。辺りは闇ばかり。
遠くから声が聞こえた。
「さあいらっしゃい。我が源の元へ。我は王の力でできた成精鉱王女未来よ。あなたはもうここで生きるの。私とともにこの世界を支配しあの光から。あなたは呼ばれたの。私が闇であなたを呼んだ。あなたは私の道具。」
声が強くなった。闇のほうから聞こえたそれは女の声だった。
私は恐怖を感じていた。
「なんで夢なのに声が聞こえるの?」
しかし、私は闇に引きずられ、ついに女性のもとにたどり着いた。
「あなたが未来?」
「そうよ。さあ私は全て話したの。覚えてる?」
「はい。でも私はあなたのいる場所には行かない。」
「そう。でもそれは私の配下により変えられた。あなたはこの友也の下部の道具になるの。あなたがいる世界には平和がない。」
「そんな!」
私は崩れ落ちた。未来は私に近づき座った。
「未来様。私は…。」
「もう大丈夫。私とともに友也を守るの。それであなたの運命が決まるのよ。それがあなたの運命。」
「私の運命が?」
「そうよ。」
私は近づいた。
「さあ。」
私は少女にもたれた…。
「…。」
果たして鈴の運命は。鈴は闇の支配から逃れ得られるのか。


