笑って返したけど、心の中はもやもやしていた。
笑顔は、自分を守るための盾。
でもやっぱり、そんな自分にひどく疲れてしまう。
「私トイレ行ってくるね」
「うんー!行ってらっしゃい」
あやちゃんの笑顔はあっけらかんと楽しそうでその無邪気さがまぶしかった。
遠ざかる喧騒にまぎれて小さくため息をついた。
「つうかさぁ、彩花ムカつかね?」
「わかるわ。天然ですってマジぶりっ子すぎ。優等生ちゃんと仲いいからって調子乗ってるよね」
「まじ空気読めないのかなww」
扉の前に立ち絶句した。
一軍女子とも言われている前園さんたちがあやちゃんの悪口を言っていたのだった。
あやちゃん……そんなふうに思われてたんだ。
ガラガラ……
「あ、希空聞いてたんだぁ」
「注意してあげなよぉ、もう少し空気読めってさ」
ぎゃははと汚い笑い声が響く。
この人たちに、あやちゃんを傷つけさせたくない。
私は急いで教室に戻った。
教室についたときには前園さんたちも教室にいた。
ふと目が合うと、にやりと不敵な笑みを浮かべていた。
そんなの今はどうでもいい。
あやちゃんの席に駆け寄り、言葉を放った。
考える暇もなく。
後悔するとも知らずに。
「あやちゃん。もう少し周り見て、空気読んでうごいたほうがいいよ」
「え……?」
この声はざわついた教室を静かにさせるには十分な声量だった。
視線が一気にこっちを向く。
「いやあの、あやちゃんに傷ついてほしくなくて……」
「あ、え、あ!そ、そうだよね!ありがと」
周りは何か言っている。
