暗闇の世界で君だけが光だった

そんな声が自然と飛ぶ。
「そんなことないよ」
優等生としての笑顔でその言葉を受け止めながら、心の中でちいさくため息をついた。
出来て、当たり前……なわけないじゃん。
ふと横を見るとあやちゃんがこっちを見ていた。
きょとんとするとぐっとサインが返ってきた。
ありがとうと口パクで伝え黒板に向き直る。
教卓の上で先生が新しい資料を整える音がして、クラスの空気がまた少しずつ日常の授業モードに入っていく。
私はふっと息を吐いてさっき胸の奥に走った緊張を何でもないと自分に言い聞かせるように流していった____。
「……してこうなるのね。今日はここまで」
その後も授業は進み、昼休みのチャイムが鳴ると同時に、教室は一気にざわめきに包まれた。
「希空~一緒に食べよ!」
あやちゃんは当然のように笑顔を向けてくる。
「うん、行こっか」
二人でいつもの窓際の席に座り、お弁当を開くと同時に、あやちゃんは待ちきれないといわんばかりに身を乗り出してきた。
「ねぇきいてよ~。昨日彼氏がね……」
きた。
私は箸を止めずに、うんうん、と相づちを打つ。
「寝落ち電はしてたらさ、あっちの方が先に寝ちゃって!可愛くない?あれ絶対私の声で落ちたんだよ!」
「ふふ。あやちゃんの声、落ち着くもん。そりゃ寝ちゃうよ」
「でしょー?てかさ、あの時ね――」
あやちゃんはどんどん盛り上がって、恋バナ特有の明るいテンポで話がはねていく。
私は笑顔で聞きながらも胸の奥がひんやりとしていくのを感じていた。
……いいな。恋ってこんなふうに話せるものなんだ。
気づかれないように、そっと視線を弁当に落とす。
――私は、本当の事話せてないのにな。
学校では優等生。
裏では天才シンガー。
本当はどこに置いてきてしまったのだろうか。
あやちゃんはそんな私に気づかぬまま話を続ける。
「てか、希空は?好きな人いないの?絶対いそうなのに~」
「えっ?い、いないよ。全然」
「ほんとぉ?嘘ついてない?」
「ついてないよ」