危険すぎる恋に、落ちてしまいました。番外編

美羽は恐る恐る、足を海に浸す。

「冷た……!」

「はっ、最初だけだ。」

隣に来た椿が、何の躊躇もなく海に入っていく。

その背中を見て、美羽も意を決した。

「えいっ!」

ざぶん、と膝まで水に浸かる。

「……気持ちいい。」

その瞬間。

「それーっ!」

「きゃあ!」

後ろから、思いきり水をかけられた。

振り向くと、にやにや笑う悠真。

「油断してるからだよ、美羽ちゃーん!」

「もう!悠真くんたらっ!」

「ほらほら、会長も~!」

「は?」

次の瞬間、悠真は椿にも水をかけた。

一瞬、静寂。

「……覚悟できてんだろうな?」

「え、ちょ、待――」

遅かった。

椿は容赦なく水をすくい、悠真に反撃する。

「ぎゃー!冷たい冷たい!」

「自業自得だ!」

「遼ー!助けてー!」

「え~無理無理~♪」

「薄情ぉぉ!!」

気づけば、碧まで参戦し、完全な水の掛け合い。

美羽は少し離れたところで、その様子を見て笑っていた。

すると、横からそっと水がかかる。

「……椿くん?」

振り向いた瞬間、また水。

「えっ、ちょ!」

「ほら、ぼーっとすんな。」

珍しく、椿が楽しそうに笑っていた。

美羽の胸が、ぎゅっとなる。

「……ずるい。」

「何がだ。」

「そんな顔、反則じゃない!」

椿は一瞬きょとんとし、すぐにそっぽを向いた。

「……知るか。」

耳が、ほんのり赤い。