チャペルの扉が静かに開いた。
柔らかな音楽が流れ、ゲストたちの視線が一斉にバージンロードへと注がれる。
純白のAラインドレスに身を包んだ優花が、父に手を引かれながら一歩を踏み出す。
長いトレーンの裾に施された花柄の刺繍が、光を受けてきらめき、後姿をより一層美しく見せていた。
正面から見ても、ウエストから緩やかに広がるラインが清らかで、まるで一輪の花が咲いたようだった。
その先で待つ楓介は、白のタキシードに身を包み、緊張と喜びを隠せない表情で彼女を見つめていた。
光を受けて輝くその姿は、優花と並んだ瞬間に一枚の絵のような調和を生み出す。
「…綺麗だ」
楓介が小さく呟いた声は、優花にだけ届くほどの静けさだった。
優花は頬を赤らめ、微笑みを返す。
ゲスト席からは、感嘆の息が漏れる。
彩夏は進行表を握りしめ、胸の奥で静かに思った。
――この瞬間のために、すべての準備を重ねてきた。
横でカメラを構える優斗が、低い声で彩夏に囁く。
「完璧ですね。二人の表情、すごくいいです」
その言葉に、彩夏の心が少し温かくなる。
音楽が高まり、優花と楓介が祭壇へと歩みを進める。
ゲストの視線、スタッフの緊張、そして二人の想い。
すべてが重なり合い、結婚式は静かに、そして華やかに始まった。
