祭壇の前に並んだ新郎新婦。
静かな音楽が流れ、ゲストたちの視線が二人に注がれる。
司祭が厳かに問いかける。
「あなたは、この人を生涯の伴侶として愛し、支え続けることを誓いますか?」
楓介は真剣な眼差しで優花を見つめ、力強く答えた。
「誓います」
続いて、優花が小さく息を整え、微笑みながら答える。
「誓います」
その瞬間、会場の空気が温かく満ちていく。
ゲスト席からは静かな涙がこぼれ、スタッフたちも胸の奥で感動を覚えていた。
「では、指輪を交換してください」
司祭の言葉に、楓介が優花の指に指輪をそっとはめる。
優花もまた、彼の指に指輪を通す。
二人の手が重なり合い、視線が自然に交わる。
彩夏は進行表を握りしめながら、その光景を見つめていた。
――準備を重ねてきた時間が、いま、この瞬間に結実している。
胸の奥に熱いものが込み上げ、思わず息を呑む。
横でカメラを構える優斗が、低い声で囁いた。
「すごくいい表情ですね…彩夏さん、見てください」
彩夏は思わず優斗のカメラ越しに映る二人を覗き込む。
そこに映るのは、愛そのものの姿だった。
――彼と一緒に、この瞬間を支えているんだ。
ほんの少し、心が近づいたような気がした。
音楽が高まり、司祭の声が響く。
「ここに、二人が夫婦となったことを宣言します」
拍手が広がり、チャペルは祝福の音に包まれた。
結婚式は、いよいよクライマックスへと進んでいく。
