優しく咲く春 〜先生とわたし〜


小学校では女子だけが集められて、女性教師が話していた話を、男性である井田先生が、男女分けることなく、はっきりと話していたからだ。

「月経は恥ずかしいことでも隠すべきことでもない。もちろん、誰かれ構わずオープンにしろってわけでもないよ。大事な体の話だからね。性別で異なる体の基本的なことを、正しく理解するための第一歩だと思ってね」

井田先生は生理の説明し終わったあとに、そう言った。

大人たちは、大人になるわたし達の体の話をする時に、「まだ早い」と言う。でも、井田先生は「知ることは悪くない」と伝えているように思えた。

「このノートは、体だけじゃなくて、心のこと……そうだな、相談とか悩みがあるときは自由に書いていいからね。このノートに記された全てを、僕は真剣に受け止めます」

井田先生は、微笑みながらも、わたし達中学生に対して、対等にしっかりと言葉を伝えてくれていた。みんながそれぞれ、心に残ることがあった。

井田先生は、周りの大人でいちばん信用出来る大人なんだと、わたしは感じていた。

教室を沈黙が包んだのは、井田先生の言葉を飲み込もうとしたためだと思う。