第5話
◯領主の家
領主の部屋に案内される咲良。
使いの男「ここだ」
咲良「失礼します」
咲良だけ部屋の中に入る。
豪華な布団の中で身体を起こしている領主の時雨(若い男性)。
咲良「私が現筆姫の雪村咲良と申します。使いの方に呼ばれて参りました」
時雨「ありがとう。私の名は時雨。突然呼び出して申し訳ない」
使いの男とは違い穏やかな物腰の時雨。
時雨「よかったらそこに座ってくれまいか?」
咲良「し、失礼します」
咲良(なんて綺麗なお顔立ち)
見惚れる咲良。
時雨「……顔色が悪いだろう?」
咲良の視線にそう笑って返す時雨。
咲良「そ、そんなことは……」
時雨「心配性の従者が無理を言って申し訳なかった」
咲良「い、いえ」
時雨「来てくれたことには心より感謝する」
時折時雨は心臓辺りを手で押さえる。
時雨「私はもう長くはないだろう」
咲良「……」
時雨「そなたの噂を聞いた私の従者が少しでもよくなればと…」
胸を押さえる時雨。
時雨「……施術を頼めるだろうか」
咲良「はい。もちろんです」
浮かない表情の咲良。
時雨の心臓辺りに「和」と文字を書く。
時雨「……ありがとう。少し良くなった気がするよ」
笑顔で感謝を述べる時雨に心が痛む咲良。
だが時雨の想いに応える為精一杯の笑顔を向ける。
咲良「きっと大丈夫。もっと良くなりますよ」
咲良の笑顔に驚く時雨。
罪悪感で苦しい胸を押さえる咲良。
そんな咲良の仕草を心配する時雨。
時雨「どうかしたのか?」
咲良「いいえ」
立ち上がる咲良。
咲良「では私は失礼します」
時雨「……ああ、気をつけて」
咲良「ありがとうございます……」
咲良は時雨の部屋を出る。
◯廊下
浮かない表情で廊下を歩く咲良。
咲良(本当にこれでいいのだろうか……)
そこを使いの男に呼び止められる。
使いの男「どこへ行く」
咲良「施術を終えたのでもう帰らせていただきます」
使いの男「ならぬ」
咲良「え?」
使いの男「今日からそなたはここに住むのだ」
咲良「どういうこと?」
使いの男「見てわかっただろう? 主様は深刻な状態なのだ。ここに住み込み毎日主様に仕えよ」
部屋に入れられる咲良。
咲良「そんな」
咲良(領主様が心配なのはわかるけれどあまりに強引だわ。他の患者様達もいるのに)
咲良「帰してください!」
使いの男「そなたの家族の了承も得ている。ずっとここに暮らして構わない。大金を渡したから彼らも満足していた。悪い話ではないだろう? そなた自身も何も不自由はない豪華な暮らしが約束されている。村では味わえない暮らしだ」
そういい戸を閉めて立ち去る使いの男。
戸は開かなくされている。
咲良「だ、出して」
咲良(どういうこと? 私はお金で売られたの?)
涙ぐむ咲良。
咲良(結局家族にとって私はお金を稼ぐ価値しかなかったのね)
咲良はその場に座り込む。
咲良(どうしよう。時雨様に全てを話し、説得してもらう? いっそ皆に真実を話せば……だけどそれだと、術の力を信じてくれている人達がどうなるの? 少しでも暗示の効果があればとやってきたことも無駄になってしまう。やっぱり全部、間違っていたんだ)
一人苦しむ咲良。
咲良(晴彦……助けて……)
咲良「晴彦……」
咲良は窓の外を見つめる。
咲良(晴彦も、こんな私を非難するかもしれない。だけど……晴彦に)
咲良「会いたい」
涙を流し呟く咲良。
◯領主の家
領主の部屋に案内される咲良。
使いの男「ここだ」
咲良「失礼します」
咲良だけ部屋の中に入る。
豪華な布団の中で身体を起こしている領主の時雨(若い男性)。
咲良「私が現筆姫の雪村咲良と申します。使いの方に呼ばれて参りました」
時雨「ありがとう。私の名は時雨。突然呼び出して申し訳ない」
使いの男とは違い穏やかな物腰の時雨。
時雨「よかったらそこに座ってくれまいか?」
咲良「し、失礼します」
咲良(なんて綺麗なお顔立ち)
見惚れる咲良。
時雨「……顔色が悪いだろう?」
咲良の視線にそう笑って返す時雨。
咲良「そ、そんなことは……」
時雨「心配性の従者が無理を言って申し訳なかった」
咲良「い、いえ」
時雨「来てくれたことには心より感謝する」
時折時雨は心臓辺りを手で押さえる。
時雨「私はもう長くはないだろう」
咲良「……」
時雨「そなたの噂を聞いた私の従者が少しでもよくなればと…」
胸を押さえる時雨。
時雨「……施術を頼めるだろうか」
咲良「はい。もちろんです」
浮かない表情の咲良。
時雨の心臓辺りに「和」と文字を書く。
時雨「……ありがとう。少し良くなった気がするよ」
笑顔で感謝を述べる時雨に心が痛む咲良。
だが時雨の想いに応える為精一杯の笑顔を向ける。
咲良「きっと大丈夫。もっと良くなりますよ」
咲良の笑顔に驚く時雨。
罪悪感で苦しい胸を押さえる咲良。
そんな咲良の仕草を心配する時雨。
時雨「どうかしたのか?」
咲良「いいえ」
立ち上がる咲良。
咲良「では私は失礼します」
時雨「……ああ、気をつけて」
咲良「ありがとうございます……」
咲良は時雨の部屋を出る。
◯廊下
浮かない表情で廊下を歩く咲良。
咲良(本当にこれでいいのだろうか……)
そこを使いの男に呼び止められる。
使いの男「どこへ行く」
咲良「施術を終えたのでもう帰らせていただきます」
使いの男「ならぬ」
咲良「え?」
使いの男「今日からそなたはここに住むのだ」
咲良「どういうこと?」
使いの男「見てわかっただろう? 主様は深刻な状態なのだ。ここに住み込み毎日主様に仕えよ」
部屋に入れられる咲良。
咲良「そんな」
咲良(領主様が心配なのはわかるけれどあまりに強引だわ。他の患者様達もいるのに)
咲良「帰してください!」
使いの男「そなたの家族の了承も得ている。ずっとここに暮らして構わない。大金を渡したから彼らも満足していた。悪い話ではないだろう? そなた自身も何も不自由はない豪華な暮らしが約束されている。村では味わえない暮らしだ」
そういい戸を閉めて立ち去る使いの男。
戸は開かなくされている。
咲良「だ、出して」
咲良(どういうこと? 私はお金で売られたの?)
涙ぐむ咲良。
咲良(結局家族にとって私はお金を稼ぐ価値しかなかったのね)
咲良はその場に座り込む。
咲良(どうしよう。時雨様に全てを話し、説得してもらう? いっそ皆に真実を話せば……だけどそれだと、術の力を信じてくれている人達がどうなるの? 少しでも暗示の効果があればとやってきたことも無駄になってしまう。やっぱり全部、間違っていたんだ)
一人苦しむ咲良。
咲良(晴彦……助けて……)
咲良「晴彦……」
咲良は窓の外を見つめる。
咲良(晴彦も、こんな私を非難するかもしれない。だけど……晴彦に)
咲良「会いたい」
涙を流し呟く咲良。
