キグルミ

みんなに見せるわたしだけじゃなくて、ぼくまで愛してほしかった。
小さい頃から、戦隊ヒーローや男の子と遊んだりするのがすきだった。
でもみんな、おままごととかお人形遊びとか女の子みたいなものをやらせた。
男の子みたいなものを観たりしたりすると、ぼくに女の子らしくしなさいって言った。

"らしさ"っていったいなんだろう。

ぼくが好きなのはカッコイイぼくなのに。
女の子らしいカワイイわたしじゃないのに。
どれだけメイクをして着飾っても、ぼくはわたしを好きにはなれない。
ぼくがわたしを好きになって認めたら、ぼくがいなくなってしまう気がする。
もし、ぼくのことを話したら、きっとみんなは遠ざかっていってしまう気がする。

だから、ぼくはみんなと話すときはわたしって言うし、黒くて長い髪もおろす。
でも本当はぼくって言いたいし、マッシュくらい短くしてシルバーみたくもしたい。

"ぼくが理想とするぼく"と"周りが望んでいるわたし"

それはきっと全然似てない別人。
本当のぼくは誰にも求められてない。
女の子らしい可憐なわたし以外はいらない。
なのに、必死に心の中でぼくはぼくだって叫んでる。
女の子は大きな声なんて発したりなんかしないからね。

ぼくの生きる意味はなんだろう。
今日も終わりのない疑問とぼくを内側に隠した。
そうして、行ってきますとわたしは家の扉を開けた。