『車より着物が必要だろう。近いうちに買いに行かねばな』
「お給料が入ったら買いに行きます」
『そうか』
頷きながらも、颯雅はなにか思案する様子だった。
この日はまず、ふたりで司令室に向かった。
許可を得て部屋に入ると、燈子が尚吾郎に説明した。
「朝からすみません。重要なお話がありまして」
前置きし、燈子は颯雅が人の姿になれるという話をした。
けげんな顔をする尚吾郎の前で、お見せします、と颯雅に着物を着せ、前足に口づける。
直後、狼は消えて銀髪の青年が現れた。
「綾月大尉!? 本当に!?」
「驚かせて申しわけございません」
愕然とする尚吾郎に、颯雅は肯定する。
「これは……今日はまず、医師の診察を受けてくれ。解明が必要だろう」
「はい」
想定内だったので、颯雅は迷いなく了承する。
今後の対応を本部と協議するため、この事実は軍医以外には伏せるようにと言われた。
軍用犬の訓練は訓練士に任され、燈子は彼とともに軍医の元へ行く。
軍医は驚いたあと、興奮ぎみに彼の体を検査した。
その間、燈子は衝立をはさんで椅子に座って待つ。
「診た限りでは普通の人間と変わりないな。研究所で詳しく調べてほしいものだ」
「軍務に影響のない範囲でしたら、いくらでも協力します」
検査を終えたあとは燈子の足の具合も見てもらい、もう大丈夫と太鼓判をもらった。
その後は軍用犬の訓練の見学となった。現在の彼は誰からも颯雅と認識されず、見学の際には訓練士が不審そうに彼を見ていた。
「お給料が入ったら買いに行きます」
『そうか』
頷きながらも、颯雅はなにか思案する様子だった。
この日はまず、ふたりで司令室に向かった。
許可を得て部屋に入ると、燈子が尚吾郎に説明した。
「朝からすみません。重要なお話がありまして」
前置きし、燈子は颯雅が人の姿になれるという話をした。
けげんな顔をする尚吾郎の前で、お見せします、と颯雅に着物を着せ、前足に口づける。
直後、狼は消えて銀髪の青年が現れた。
「綾月大尉!? 本当に!?」
「驚かせて申しわけございません」
愕然とする尚吾郎に、颯雅は肯定する。
「これは……今日はまず、医師の診察を受けてくれ。解明が必要だろう」
「はい」
想定内だったので、颯雅は迷いなく了承する。
今後の対応を本部と協議するため、この事実は軍医以外には伏せるようにと言われた。
軍用犬の訓練は訓練士に任され、燈子は彼とともに軍医の元へ行く。
軍医は驚いたあと、興奮ぎみに彼の体を検査した。
その間、燈子は衝立をはさんで椅子に座って待つ。
「診た限りでは普通の人間と変わりないな。研究所で詳しく調べてほしいものだ」
「軍務に影響のない範囲でしたら、いくらでも協力します」
検査を終えたあとは燈子の足の具合も見てもらい、もう大丈夫と太鼓判をもらった。
その後は軍用犬の訓練の見学となった。現在の彼は誰からも颯雅と認識されず、見学の際には訓練士が不審そうに彼を見ていた。



