危険すぎる恋に、落ちてしまいました。2


夏の熱気がすっかり消え、風が少し冷たく感じる朝。
学校の正門には大きなキャリーケースとワクワクが充満していた。

「修学旅行だーっ!!」
莉子が朝からテンションMAX。
美羽も負けずにはしゃいでいた。

新幹線の自由席――
黒薔薇メンバーと美羽と莉子は同じ車両になり、なんだかんだで全員で一緒に座ることに。

「そうだ!ババ抜きしよーよ!」
悠真が突然トランプを取り出し、全員の同意を待つ前にシャッフルを始めた。

列は、美羽 → 莉子 → 遼 → 碧 → 玲央 → 悠真 → 椿 の順。

ゲームが始まり、美羽の手札に――
ひょっこりジョーカーが混ざった。

(……え、ちょっ……最悪……!!)

美羽の顔は一瞬で曇り、口元がピクピク。

その様子を椿が横目で見て、ニヤリとした。

「なんだ、美羽。いいカードでも引いたのか?」

「え!?い、いや……全然……!」

(嘘!絶対バレてるよね!?なんでわかるの!?てか、椿くんが私のカード引くとかもう、負け確定じゃん!!)

椿はわざとゆ〜っくり美羽のカードに手を伸ばし、
指先でカードをゆらゆら揺らす。

「どれだ〜……これか?」

「あっ!ちょっとぉっ……!」

見事にジョーカーを当てられ、
美羽の心は秒で崩壊した。

結果――
美羽、圧倒的敗北。

「もう!椿くん!!心読まないでよ〜〜!!」

「読んでねぇ。すぐ顔に出るお前が悪い。」

椿が肩を揺らして笑う。
その笑顔に、負けた悔しさも少し和らいでしまうからずるい。