病院の外にある庭に出ると、
風が木々を揺らし、葉の影が地面に落ちて踊っていた。
ベンチに座ると、
横顔の距離がなんだか近くて、美羽は無意識に背筋を伸ばした。
(き、緊張する……!
てかなんで私、心臓バクバクしてるの!?いや、微妙に気まずいんだけどぉぉ!?)
それを察したのか、秋人はくすっと笑った。
「そんな身構えなくていいのに。
……って言っても無理だよねぇ。第一印象、最悪だったし。」
美羽は慌てて手をぶんぶん振る。
「ち、違うの!ただ……ちょっとまだ、混乱してて……」
秋人は、少しだけ視線を落とした。
「無理もないよ…。前に、美羽ちゃんに怖い思いをさせたのは俺だし。
あの時は…本当に、ごめん!君にどうしても謝りたかったんだ。」
深く頭を下げる。
「え!?秋人くん!頭を上げて!!
もう怒ってないから!恨んでもないし……!
秋人くんが、今まで本当に辛くて必死だったの…なんとなく気付いてたから…」
秋人が顔を上げると、
そのオッドアイは驚いたように大きく揺れた。
「え?…」
太陽の光の中で、秋人の呼吸が一瞬止まった。
風がふっと吹き抜ける。
美羽は続けた。
「正直、椿くんと秋人くんの話は少しだけしか聞いていないので…私がどうこう言えないけど…。でも、今回は本当に私もピンチだったから…、
秋人くん。椿くんを助けてくれて、ありがとう。」
「椿くんて…、あんまり自分の事、教えてくれないけど…秋人くんが帰って来てくれて本当はとても嬉しかったと思います。」
「美羽、ちゃん……」
秋人の声は、どこか震えていた。
美羽は秋人の目を見つめた。
陽光が当たって、左右の瞳の色が違って見える。
「それにね…、秋人くん、眼帯してない方がとってもキラキラしてて、凄く綺麗だよ!私はそっちの方が好きだなぁ。」
秋人は、息を止めたように固まった。
木々の影が揺れ、陽光がオッドアイを透かす。
――その瞬間。
秋人の胸の奥で、何かがほどけたように見えた。
「ははっ、…椿と同じだ。なぜ君が気になっていたのか、わかった気がするよ。」
「え?」
「前に椿が言ってくれたんだ。
“目の色が違っててもいいだろ。人より違っててかっけぇよ、お前は。”って」
美羽は息をのんだ。
秋人はゆっくり立ち上がり、
風に髪を揺らされながら、ベンチの前に立つ。
「美羽ちゃん。
俺はね、ずるい人間なんだ。」
光の中で振り返った秋人は、
どこか切なく笑っていた。
そして――
「君を好きになっても、いいかな?」
風の音さえ止まったような気がした。
オッドアイが、
美羽だけを映して揺れていた。
美羽は数秒固まり――
「って……えええええええええ!?!?!?」
病院の庭に全力で叫んだ。
鳥が一斉に飛び立つほどの大声だった。
秋人は、ふっと微笑んで肩を竦める。
「返事は急がなくていいよ。」
「ま、待って秋人くん!?え、えっ!?ど、どゆこと!?!?」
逃げるように歩き出す秋人。
美羽は頬を真っ赤にしたまま、ベンチから転げ落ちそうになり、
「ちょ、ちょっと!!
秋人くんんん……っ?!!」
けれど秋人は振り返りもせず、
風の向こうへ消えていった。
美羽は両手で顔を覆い、
庭のベンチで一人パニックに陥る。
「(えっと、ちょっとまって?!最初は私、秋人くんに怖い目にあったよね?!で、秋人くんが椿くんの見方になって、、で、私さりげなく告白されたってこと?! どうなってんのよ、もう!!
てか!椿くんにどう説明すればいいのぉお!?)」
青空の下、
美羽の悲鳴が病院に響き渡った。
風が木々を揺らし、葉の影が地面に落ちて踊っていた。
ベンチに座ると、
横顔の距離がなんだか近くて、美羽は無意識に背筋を伸ばした。
(き、緊張する……!
てかなんで私、心臓バクバクしてるの!?いや、微妙に気まずいんだけどぉぉ!?)
それを察したのか、秋人はくすっと笑った。
「そんな身構えなくていいのに。
……って言っても無理だよねぇ。第一印象、最悪だったし。」
美羽は慌てて手をぶんぶん振る。
「ち、違うの!ただ……ちょっとまだ、混乱してて……」
秋人は、少しだけ視線を落とした。
「無理もないよ…。前に、美羽ちゃんに怖い思いをさせたのは俺だし。
あの時は…本当に、ごめん!君にどうしても謝りたかったんだ。」
深く頭を下げる。
「え!?秋人くん!頭を上げて!!
もう怒ってないから!恨んでもないし……!
秋人くんが、今まで本当に辛くて必死だったの…なんとなく気付いてたから…」
秋人が顔を上げると、
そのオッドアイは驚いたように大きく揺れた。
「え?…」
太陽の光の中で、秋人の呼吸が一瞬止まった。
風がふっと吹き抜ける。
美羽は続けた。
「正直、椿くんと秋人くんの話は少しだけしか聞いていないので…私がどうこう言えないけど…。でも、今回は本当に私もピンチだったから…、
秋人くん。椿くんを助けてくれて、ありがとう。」
「椿くんて…、あんまり自分の事、教えてくれないけど…秋人くんが帰って来てくれて本当はとても嬉しかったと思います。」
「美羽、ちゃん……」
秋人の声は、どこか震えていた。
美羽は秋人の目を見つめた。
陽光が当たって、左右の瞳の色が違って見える。
「それにね…、秋人くん、眼帯してない方がとってもキラキラしてて、凄く綺麗だよ!私はそっちの方が好きだなぁ。」
秋人は、息を止めたように固まった。
木々の影が揺れ、陽光がオッドアイを透かす。
――その瞬間。
秋人の胸の奥で、何かがほどけたように見えた。
「ははっ、…椿と同じだ。なぜ君が気になっていたのか、わかった気がするよ。」
「え?」
「前に椿が言ってくれたんだ。
“目の色が違っててもいいだろ。人より違っててかっけぇよ、お前は。”って」
美羽は息をのんだ。
秋人はゆっくり立ち上がり、
風に髪を揺らされながら、ベンチの前に立つ。
「美羽ちゃん。
俺はね、ずるい人間なんだ。」
光の中で振り返った秋人は、
どこか切なく笑っていた。
そして――
「君を好きになっても、いいかな?」
風の音さえ止まったような気がした。
オッドアイが、
美羽だけを映して揺れていた。
美羽は数秒固まり――
「って……えええええええええ!?!?!?」
病院の庭に全力で叫んだ。
鳥が一斉に飛び立つほどの大声だった。
秋人は、ふっと微笑んで肩を竦める。
「返事は急がなくていいよ。」
「ま、待って秋人くん!?え、えっ!?ど、どゆこと!?!?」
逃げるように歩き出す秋人。
美羽は頬を真っ赤にしたまま、ベンチから転げ落ちそうになり、
「ちょ、ちょっと!!
秋人くんんん……っ?!!」
けれど秋人は振り返りもせず、
風の向こうへ消えていった。
美羽は両手で顔を覆い、
庭のベンチで一人パニックに陥る。
「(えっと、ちょっとまって?!最初は私、秋人くんに怖い目にあったよね?!で、秋人くんが椿くんの見方になって、、で、私さりげなく告白されたってこと?! どうなってんのよ、もう!!
てか!椿くんにどう説明すればいいのぉお!?)」
青空の下、
美羽の悲鳴が病院に響き渡った。



