そうしていたずらに時ばかりが過ぎ、気が付けば鬼が景の父に雇われてから、三日を数えるまでになっていた。
夕方になると景の父がちらりと様子を見に訪れ、娘の安否を確認するのと、時々思い出したように下女が用事を聞きに来る以外は、いつもふたりきりだった。
おきくとやらは、ついぞ顔さえ見せない。
屋敷の奥にひっそりと暗く佇む景の部屋は、本来なら飯炊き女か下女あたりにあてがわれる離れなのだろう。しかし、景はその不便を鬼に詫びる以外、文句らしい文句さえ一言も口にしないし、己の身の上を嘆いている風情も一切なかった。
景は潔よい娘で、心優しく、鬼の目にはどこか不思議なものにさえ映った。
夕刻、重く垂れこめた雲に覆われた空が、じっとりと湿気を帯びた風を運んでくる。あと一刻もしないうちに雨が降り出しそうだった。
西に傾いた太陽は、厚い雨雲にさえぎられ、辺りは早くも薄暗くなり始めている。

