いまさらながら、鬼はじっと景の姿形を見下ろした。『たいした別嬪さんなんだ』とザクロは言った。別嬪という言葉がこの少女を表すのに適しているのかどうかは分からない。そう呼ぶにはまだ少し幼い、咲き誇る前の花のつぼみのような時期。まだ、誰かが守ってやらなければならない小娘。
「お前の父親はなにをしている」
出し抜けに、鬼はうなっていた。
なぜか鬼は、急激に深い怒りのようなものを感じていた。一体どこの誰が、なんの理由でこの少女の命を奪おうとしているのだ、と。鬼はそれこそ、その依頼人の首をひねってやりたい気分だった。
鬼は暗殺者だった。その身も、魂も、すべて、完全に。
人を殺すことに躊躇したことはなかった。いつだって一切の心を挟まずに相手を一撃した。それはそもそも鬼が心を持たなかったからだが、もしたとえ鬼に心があったとしても、ザクロが選んでくる標的はほとんど同情の余地のない連中ばかりだった。
それが、今度はなんだ。
依頼そのものが、鬼と剣の両方に振り分けられるという例外に加え、景はザクロが殺しを受け持ちたがるような悪人ではない。たとえどれだけ金を積まれてもザクロは道義を踏み外さなかった。
今までは。
それはつまりザクロが心を変えたか、そうでなければ鬼の目が狂っていて、本来の景は鬼の与える残酷な死に値する悪人だということだ。
そんなことがありえるだろうか?
だからこそ、ザクロは鬼にも剣にも依頼を渡したのだろうか?

