甘葛で甘みをつけた菓子はとても高価で、上流階級の人間しか口に入らない。
慌てて辞退した朱華だったが、高天帝の勧めを断りきれず、「頂戴いたします」と言ってモソモソと口にした。
すると柔らかな餅に練り込まれた歯ごたえのある胡桃が香ばしく、何ともいえず美味しい。思わず目を輝かせた朱華は、口の中のものを嚥下してつぶやいた。
「とても美味しゅうございます。このように甘いお餅、初めていただきました」
「そうか。では、もうひとつ食べるといい」
クスリと笑った彼が再び勧めてきて、朱華は急いで答える。
「も、もう充分でございます。陛下はご政務がおありなのですから、わたくしはこれで下がらせていただきます」
「そうか。遠慮せずともよいのに、殊勝なことだ。ではこれを持っていけ」
高天帝が自らの懐から取り出した手巾に豆菓子と干し杏を包み始め、それを見た朱華はモソモソと告げた。
「まるで子どものお駄賃のようです。わたくしはそうした年齢ではございませんのに」
「そなたが胡桃餅を食べている姿は、素直で可愛らしかった。これは毎日私の話につきあってくれている褒美だ」
そう言って包みを差し出され、受け取った朱華はじんと心が震えるのを感じる。
〝褒美〟というのなら本来は金品だろうが、こうして気遣ってくれる気持ちが何よりもうれしかった。
朱華は目を伏せ、彼に向かって丁寧に礼を述べた。
「……謹んでお受けいたします」
慌てて辞退した朱華だったが、高天帝の勧めを断りきれず、「頂戴いたします」と言ってモソモソと口にした。
すると柔らかな餅に練り込まれた歯ごたえのある胡桃が香ばしく、何ともいえず美味しい。思わず目を輝かせた朱華は、口の中のものを嚥下してつぶやいた。
「とても美味しゅうございます。このように甘いお餅、初めていただきました」
「そうか。では、もうひとつ食べるといい」
クスリと笑った彼が再び勧めてきて、朱華は急いで答える。
「も、もう充分でございます。陛下はご政務がおありなのですから、わたくしはこれで下がらせていただきます」
「そうか。遠慮せずともよいのに、殊勝なことだ。ではこれを持っていけ」
高天帝が自らの懐から取り出した手巾に豆菓子と干し杏を包み始め、それを見た朱華はモソモソと告げた。
「まるで子どものお駄賃のようです。わたくしはそうした年齢ではございませんのに」
「そなたが胡桃餅を食べている姿は、素直で可愛らしかった。これは毎日私の話につきあってくれている褒美だ」
そう言って包みを差し出され、受け取った朱華はじんと心が震えるのを感じる。
〝褒美〟というのなら本来は金品だろうが、こうして気遣ってくれる気持ちが何よりもうれしかった。
朱華は目を伏せ、彼に向かって丁寧に礼を述べた。
「……謹んでお受けいたします」
