玄関先で首を吊った女がいるんだとか

篤「村ひとつなくなってるんだ。これだけじゃ足りないだろ」

篤が恐ろしいことを言いながら奥へと進んでいきます。
祭壇の手前まで来ると長方形の箱が置かれているのが見えました。
まるで棺桶そのものです。

篤「浩平!?」

篤の声かけに反応するように棺桶が内側からガタガタと揺れました。
まだ生きている!
僕と篤は釘が打ち付けられている棺桶の蓋を力をあわせてこじ開けました。
中には布で口を塞がれ、手足をロープで縛り上げられた浩平の姿があったのです。

僕「浩平! よかった、生きてたんだな」

すぐに布を外してやると浩平は激しくせき込み、ボロボロと涙とこぼし始めました。
もう少しで命を落とすところだったんですから、相当な恐怖を味わったのでしょう。
手足が自由になった浩平は自力で棺桶から這い出してきました。

浩平「あいつら、狂ってる」

全身をガタガタと震わせる浩平を座らせて、落ち着くまでしばらく待ちました。
僕はずっと浩平の背中をさすって、ようやく落ち着いてきた頃地上へとつづく階段を登り始めました。
そこには当然のように二宮さんが顔をのぞかせていて、扉に手をかけています。